インフルエンザと新型コロナ、ワクチンは同じ日に打っていいの?
秋が深まると、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症、両方の予防接種の案内が届く時期になります。「2本とも打つなら同じ日でいいのか」「間を空けなければいけないのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
現在の厚生労働省の案内では、医師が認めた場合には同じ日に接種でき、別々の日に打つ場合も接種間隔の決まりはありません。この記事では、公的な情報をもとに、同時接種の考え方・副反応・別々に打つときの注意点を、わかりやすく整理します(主に成人の接種を想定しています)。
同じ日に打っていい?——現在のルールをおさらい
厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」によると、新型コロナワクチンと他のワクチンの同時接種は、医師が認めた場合に可能で、他のワクチンとの接種間隔に制限はないとされています。インフルエンザワクチンも、もちろんこの「他のワクチン」に含まれます。
以前は、新型コロナワクチンと同時に打てるのはインフルエンザワクチンに限られ、それ以外のワクチンとは2週間あけるルールがありました(2024年3月時点)。現在はこの扱いが変わっていますので、古い情報を覚えている方はご注意ください。
また、異なるワクチンどうしの接種間隔についても、2020年10月以降は「注射生ワクチンどうしは27日以上あける」という制限だけが残り、それ以外の組み合わせには一律の日数制限がなくなりました。インフルエンザの注射ワクチン(不活化ワクチン)と新型コロナワクチンの組み合わせは、この27日ルールの対象外です。
定期接種の対象者とスケジュールのしくみ
インフルエンザと新型コロナのワクチンは、どちらも予防接種法に基づく定期接種として、毎年秋冬に1回行われます。対象となるのは、主に次のような方です。
- 65歳以上の方
- 60〜64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある方、またはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)による免疫機能に重い障害がある方
新型コロナワクチンの定期接種は、あくまでも個人の重症化予防を目的としたもので、接種は強制ではなく本人の意思に基づくものと厚生労働省は説明しています。接種期間や自己負担額は市区町村ごとに異なりますので、お住まいの自治体の案内を確認してみましょう。定期接種の対象に当たらない方の接種は、任意接種(自費)となります。
なお、現在国内で使われているインフルエンザワクチンは、A型2種類・B型1種類を含む「3価ワクチン」です。含まれる株はその年の流行を踏まえて選ばれるため、前のシーズンに接種した方も毎年の接種が推奨されています。
同時接種の効果と副反応——研究でわかっていること
英国で行われた大規模な臨床試験(ComFluCOV試験、2021年報告)では、新型コロナワクチンと季節性インフルエンザワクチンを同じ日に接種した場合について、安全性の面での大きな懸念は見られず、両方のワクチンに対する免疫反応(抗体の産生)も保たれていたと報告されています。全身の副反応の多くは軽度から中等度でした。
ただし、試験した6通りのワクチンの組み合わせのうち一部では、全身の副反応が新型コロナワクチンのみを接種した場合と比べて増えないとは言い切れなかった結果もあります。また、この試験は当時の従来型ワクチンで行われたものであることも頭に置いておきましょう。
それぞれのワクチンで知られている主な副反応は以下のとおりです。
インフルエンザワクチンの副反応
- 接種部位の赤み・腫れ・痛み:接種を受けた方の10〜20%にみられ、通常2〜3日で治まります
- 発熱・頭痛・寒気・だるさなどの全身症状:5〜10%にみられ、こちらも通常2〜3日で消えます
- まれな副反応:ショックやアナフィラキシー様症状(発疹・じんましん・呼吸困難など)、ギラン・バレー症候群(手足の脱力やしびれが起きる神経の病気)、急性脳症、けいれん、肝機能障害、喘息発作、血小板減少性紫斑病(血が止まりにくくなる状態)などが報告されています
新型コロナワクチンの副反応
- 注射した部分の痛み、疲労感、頭痛、筋肉や関節の痛みなどがみられることがあります
- リンパ節の腫れ:接種した側の脇の下や首が腫れることもあります
- まれな副反応:アナフィラキシー(重いアレルギー反応)のほか、ごくまれに心筋炎・心膜炎(心臓の筋肉や周囲の膜に炎症が起きる状態)を疑う事例が報告されています。厚生労働省は、接種後4日程度の間に胸の痛みや息切れが出ることが想定されるとして注意を呼びかけています
同じ日に打つ?それとも別々に?——メリット・デメリット
どちらを選ぶかは、それぞれの特徴を踏まえたうえで、接種を受ける医療機関で相談するのがベストです。
【同じ日に打つ場合】
通院が1回で済み、両方を早めに完了しやすいメリットがあります。一方で、熱や腕の痛みなどが出たとき、どちらのワクチンによるものか区別できないのが難点です。
【別々の日に打つ場合】
接種間隔の決まりはありませんが、1本目の後に発熱や接種部位の腫れが治まり、体調が回復してから2本目を受けることが推奨されています。厚生労働省も「接種できる時期であっても、発熱や腫れがなく体調が良いことを確認してから接種を」と呼びかけています。
インフルエンザは例年12月〜3月に流行し、1月末〜3月上旬にピークを迎えます。厚生労働省は12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。ただし2026年は8月下旬という異例の早さで流行入りが確認されており、別々に打つ場合でも2本目が遅くなりすぎないよう早めにスケジュールを立てておきましょう。
また、この時期は肺炎球菌や帯状疱疹のワクチン接種と重なる方もいますが、「注射生ワクチンどうし」の組み合わせでなければ一律の間隔の決まりはありません。同じ日に何本接種するかは医師と相談して決めてください。
接種の前後で気をつけたいこと
接種を受けられないケース:
- 明らかな発熱がある
- 重い急性の病気にかかっている
- ワクチンの成分で重いアレルギー(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある
注意が必要な方:
- 心臓・腎臓・肝臓などに持病がある方
- 過去の予防接種後に発熱や発疹が出たことがある方
- けいれんを起こしたことがある方
- 免疫不全と診断されたことがある方
- インフルエンザワクチンでは、間質性肺炎・気管支喘息などの呼吸器の病気がある方、鶏卵・鶏肉などにアレルギーのある方も含まれます
接種当日・接種後のポイント:
- 血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を飲んでいる方は、接種後に接種部位を2分程度しっかり押さえましょう
- 当日の入浴は基本的に問題ありませんが、注射した部分を強くこすらないようにしましょう
- 当日は激しい運動や過度の飲酒は控えましょう
- 発熱や痛みに市販の解熱鎮痛薬を使うことも選択肢のひとつですが、持病のある方や他の薬を飲んでいる方は、事前に主治医や薬剤師に確認しておくと安心です
- 新型コロナに感染・回復したことがある方も接種できます。回復後いつから接種できるかの一律の決まりはありません
万一、接種によって健康被害が生じた場合、定期接種では予防接種法に基づく健康被害救済制度、任意接種では医薬品副作用被害救済制度の対象となります。
こんなときは早めに医療機関へ
- 接種後数日のうちに、胸の痛みや息切れが出た
- 息苦しさ、じんましん、発疹、強いかゆみなど、アレルギーを疑う症状が出た
- 発熱やだるさ、接種部位の腫れが数日経っても治まらない、またはひどくなっていく
- 持病の治療中で、接種してよいか・同じ日に打ってよいか迷っている
まとめ
- インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは、医師が認めれば同じ日に接種できる。別々に打つ場合の接種間隔の決まりもない
- 同時接種は通院回数を減らせる反面、副反応が出たときにどちらが原因か判別しにくい
- 研究では同時接種の安全性に大きな問題はないと報告されているが、一部の組み合わせで全身の副反応が増える可能性も示されている
- 2026年はインフルエンザの流行入りが異例に早く、スケジュールは早めに立てることが大切
- 持病がある方・服薬中の方は、接種前に必ず医師や薬剤師に相談を
- 接種後に胸の痛みや息切れ、強いアレルギー症状が出た場合は速やかに医療機関へ
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