秋もつらい花粉症——ブタクサ・ヨモギ・カナムグラが犯人だった
9月から10月にかけて、くしゃみが止まらない、水っぽい鼻水が続く、目がかゆくてたまらない——「もしかして風邪?」と思いながらも、熱はない…という経験はありませんか? 実はこの時期、道端や河原に生える雑草の花粉が盛んに飛んでいます。春のスギ・ヒノキだけが花粉症の原因ではないのです。秋の花粉症の原因植物から、風邪との見分け方、日常でできる対策、薬の注意点まで、まとめて整理しておきましょう。
秋の花粉症の”3大雑草”を知っておこう
日本アレルギー学会の情報によると、秋の花粉症の原因として代表的なのは以下の3種類です。いずれも8〜10月ごろに花粉を飛ばします。
- ブタクサ——道端や河原でよく見かける一年草。秋の花粉症の原因として最も多く、午前中に花粉が多く飛ぶとされています。
- ヨモギ——草もちの材料として知られるあの草です。市街地や堤防など身近な場所に広く生える多年草で、繁殖力が強いのが特徴。
- カナムグラ——道端や荒れ地に生えるつる性の草。葉や茎に下向きのとげがあり、触るとひっかかります。
これらの雑草の花粉は、スギ花粉と違って飛ぶ距離が短いのがポイントです。植物が群生している場所の周辺でのみ飛散するため、通勤・通学路や散歩コース、自宅近くの空き地・河川敷に心当たりがないか思い返してみると、原因の手がかりになります。
症状は?——「口がかゆくなる」意外な症状にも注意
主な症状は春の花粉症と同じです。
- 水のような透明でサラサラした鼻水
- 繰り返すくしゃみ
- 鼻づまり
- 目のかゆみ・充血・涙目・目のごろごろ感(アレルギー性結膜炎)
花粉の量が多いほど症状が強くなる傾向があります。
そしてもうひとつ、知っておきたいのが「花粉-食物アレルギー症候群」です。花粉に含まれるアレルギーの原因物質と、果物・野菜に含まれる物質の形がよく似ているため、特定の生の果物や野菜を食べると、唇・舌・のどにイガイガ・チクチクしたかゆみや刺激感が出ることがあります。
日本アレルギー学会によると、関連する食物の例は次のとおりです。
- ブタクサ花粉——メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ(ウリ科)、バナナなど
- ヨモギ花粉——セロリ、ニンジン(セリ科)、クミン・コリアンダー・フェンネルなどのスパイス類、マンゴーなど
多くは口の中だけの症状で済みますが、まれに全身に症状が広がることも。特にスパイス類ではアナフィラキシー(急速に起こる強いアレルギー反応)が起きる可能性もあると説明されています。心当たりのある食べ物は避けることが基本的な対策です。
風邪との見分け方——ここを見れば区別できる
くしゃみ・鼻水・鼻づまりは風邪とも共通する症状なので、迷いますよね。見分けるポイントを整理しておきましょう。
| チェックポイント | 花粉症・アレルギー | 風邪 |
|---|---|---|
| 症状の続き方 | 長期間続く。天候や花粉量で強弱が変わる | 1〜2週間ほどで回復することが多い |
| 鼻水の性状 | 透明でサラサラ | 粘り気があり、黄色や緑色になることも |
| 発熱・咳・痰 | 基本的にない | 発熱、咳、痰が出ることが多い |
| 目のかゆみ | 強く出やすい | あまりない |
ただし、これらはあくまで目安です。発熱・のどの痛み・強い咳がある場合は、花粉症と決めつけずに医療機関を受診することを検討しましょう。
なお、鼻炎の原因は花粉だけでなく、ハウスダスト・ダニ・ペット・カビなどもあります。何に反応しているかは、皮膚テストや血液検査(IgE抗体という、アレルギーに関係するたんぱく質を調べる検査)で確かめることができます。原因がはっきりすると、避けるべき場所や食べ物の見当がつきやすくなります。
日常でできる花粉対策——まずは”持ち込まない”から
花粉をできるだけ体に取り込まないことが対策の基本です。
① 群生地に近づかない
秋の雑草花粉は飛ぶ距離が短いため、空き地・河原・道端の草むらなど、群生している場所を避けるだけでも効果的です。
② マスク・メガネ・帽子で防御
マスクを着用すると、吸い込む花粉をおよそ3分の1〜6分の1に減らせるとされています。花粉用のメガネや帽子も、顔や髪への花粉の付着を防いでくれます。
③ 家に持ち込まない工夫
帰宅したら玄関の前で衣服の花粉を払い、すぐ着替えを。顔や手など外気に触れた部分も洗い流しましょう。
④ 鼻のケアを習慣に
市販の生理食塩水(食塩水を鼻に入れて洗う専用商品)を使った鼻洗浄は、花粉を物理的に洗い流すのに役立ちます。鼻をかみすぎて皮膚が荒れたときは、白色ワセリンを薄く塗って保護するのもおすすめです。
⑤ 食べ物に注意
生の果物や野菜を食べて口がかゆくなった経験がある方は、該当する食物を避けることが大切です。
薬を使うときに知っておきたいこと
症状を抑える薬には主に以下のものがあります。
- 抗ヒスタミン薬(飲み薬)——アレルギー症状全般に効きます。眠気が出やすいものがありますが、近年は眠気の少ないタイプも増えています。
- 点鼻ステロイド薬——鼻の炎症を直接抑えます。全身への影響は少なく、鼻症状に高い効果があります。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬——鼻づまりの改善に特に効果的な飲み薬です。
- 抗ヒスタミン点眼薬——目のかゆみ・充血に使います。症状が強い場合はステロイドの点眼薬を使うこともあります。
毎年秋に症状が出る方には、花粉が飛び始める前や症状が軽いうちから薬を使い始める「初期療法」が勧められています。
また、体質そのものに働きかける治療法として「アレルゲン免疫療法」(注射や舌の下に薬を置く舌下錠)がありますが、現在日本で舌下錠に保険が適用されているのはスギ花粉とダニのみで、秋の雑草花粉には対応していません。
市販薬を使うときの注意点——持病がある方は要確認
市販の花粉症・鼻炎薬を使う際には、以下の点に注意が必要です。
抗ヒスタミン薬
成分によっては、閉塞隅角緑内障(目の病気の一種)・前立腺肥大など尿の出にくい病気がある方には使えないものがあります。眠気が出やすいため、服用中は自動車の運転や機械の操作を避けてください。
市販の鼻炎用飲み薬(抗ヒスタミン薬+鼻づまり成分の配合製品)
鼻づまりを抑える成分(プソイドエフェドリンなど)が加わった製品では、高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大・緑内障の方は使用に注意や制限があります。持病がある方・他の薬を服用中の方は、購入時に薬剤師または登録販売者に必ず伝えてください。かぜ薬など抗ヒスタミン薬を含む他の飲み薬との併用も避けましょう。
ステロイドの筋肉注射
症状を一時的に抑える効果はあるものの、血糖値の上昇・副腎機能への影響・皮膚障害・月経異常などのリスクがあり、一般的な花粉症治療としては推奨されていません。
こんなときは早めに医療機関へ
- 市販薬を説明書の期間使っても症状が改善しない
- 鼻づまりで眠れない、日常生活に支障が出ている
- 発熱・のどの痛み・咳や痰があり、感染症と区別がつかない
- 咳が長引く、息苦しさやゼーゼーする呼吸がある
- 果物・野菜・スパイスを食べて口やのどがかゆくなったことがある
- 毎年秋に同じ症状が出るので、原因をきちんと調べたい
⚠ 緊急のサイン:食べ物を口にした後に、じんましん・声のかすれ・息苦しさ・動悸・意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、すぐに救急車を呼んでください。アナフィラキシーは迅速な対応が必要です。
まとめ
- 秋の花粉症の主な原因はブタクサ・ヨモギ・カナムグラ。8〜10月に飛散し、飛散距離が短いため生育地の周辺が危険ゾーン。
- 症状は水っぽい鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみ。発熱や色のついた鼻水がなければ花粉症の可能性が高い。
- メロン・セロリ・スパイスなどを食べて口がかゆくなる「花粉-食物アレルギー症候群」にも注意。
- 対策の基本は「近づかない・持ち込まない・洗い流す」。マスク・メガネも有効。
- 市販薬は持病や服用中の薬との組み合わせに注意。薬剤師・登録販売者への相談を忘れずに。
- 毎年繰り返す症状は、原因を確かめて早めに備えるのがおとなの賢い選択。
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