会社の定期健康診断、40歳未満は血液検査を省略できる? 知っておきたい法律の決まりと2027年の変更点

「会社から健康診断を受けてきて」と言われたとき、「どんな検査が必要なの?」「血液検査って全員やるの?」と疑問に思ったことはありませんか? 実は、年齢によっては一部の検査を省略できるケースがあります。この記事では、定期健康診断の項目・省略ルール・2027年からの変更点をわかりやすく整理します。

定期健康診断は全部で11項目

労働安全衛生規則第44条により、事業者は従業員に対して年1回、以下の11項目の健康診断を実施しなければなりません。

  1. 既往歴(過去の病気)・業務歴の確認
  2. 自覚症状・他覚症状(本人の訴えと医師の診察)の有無
  3. 身長・体重・腹囲・視力・聴力の測定
  4. 胸部エックス線検査および喀痰(かくたん)検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(赤血球・ヘモグロビンなど)
  7. 肝機能検査(AST・ALT・γ-GTなど)
  8. 血中脂質検査(コレステロール・中性脂肪など)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

これが法律で定められた「定期健康診断の基本セット」です。

40歳未満は血液検査と心電図を省略できる場合がある

ただし、全員が必ず全項目を受けなければならないわけではありません。厚生労働省の告示(平成10年労働省告示第88号)では、医師が「必要でない」と認めた場合に限り、年齢などに応じて一部の検査を省略できる規定があります。

主な省略ルールをまとめると、以下のとおりです。

省略できる項目 対象となる条件
身長 20歳以上
腹囲 40歳未満(35歳を除く)、BMI20未満、妊娠中など
胸部エックス線検査 40歳未満(20・25・30・35歳を除く)で、じん肺法などの対象外の人
貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図 40歳未満(35歳を除く)

つまり、35歳を除く40歳未満の人は、医師が必要でないと判断すれば、血液検査4項目(貧血・肝機能・血中脂質・血糖)と心電図を受けなくてもよい、ということです。

ただし、これはあくまで「省略できる権利がある」というだけで、会社が全項目の受診を求めている場合は、会社の指示が優先されます。受診前に会社の担当者や指定の用紙を確認しておきましょう。

入社時の健康診断(雇入時健診)は省略ルールが違う

入社のタイミングで受ける「雇入時健康診断」(労働安全衛生規則第43条)も11項目が定められていますが、年齢による省略の規定はありません。

省略が認められるのは、「入社前3か月以内に受けた健康診断の結果証明書を会社に提出した場合、その受診済みの項目に限って省略できる」というケースだけです。つまり、既に検査を受けているなら重複して受けなくてよい、という考え方です。

2027年4月からここが変わる! 腎臓の検査が追加、喀痰検査は廃止

法律の改正(令和8年厚生労働省令第89号)により、2027年(令和9年)4月1日から定期健康診断の項目に変更が加わります。主なポイントは3つです。

①「血清クレアチニン検査」が新たに加わる

腎臓の働きを調べる「血清クレアチニン検査」が健診項目に追加されます。クレアチニンとは筋肉が活動した際に生じる老廃物で、腎臓がうまく働いていないと血液中に溜まります。この値から「eGFR(推算糸球体濾過量)」という腎機能の指標も計算でき、慢性腎臓病(CKD)の早期発見につながります。なお、40歳未満の人は医師が必要でないと認めれば省略可能です。

②「喀痰検査」が廃止される

従来、胸部エックス線と合わせて実施されていた喀痰(痰を採取して調べる)検査が、定期健康診断の項目から削除されます。

③肝機能検査の名称が変わる

「GOT・GPT・γ-GTP」という表記が、国際的に統一された名称の「AST・ALT・γ-GT」に変更されます。検査の内容自体は同じです。

健診前に確認しておきたい3つのポイント

会社の健康診断をスムーズに受けるために、事前に以下を確認しておくと安心です。

  • 会社が指定する項目・用紙を確認する:省略できる項目でも、会社が全項目の受診を求めている場合があります。指定の用紙があるなら、受診前に医療機関に送っておくとスムーズです。
  • 食事制限の有無を確認する:血糖検査をHbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均値を示す指標)で行う場合は食事制限不要ですが、空腹時血糖を測る場合は食事を抜く必要があります。会社や受診先に確認しましょう。
  • 尿検査がある場合は直前のトイレを控える:来院直前にトイレに行ってしまうと尿が採れなくなるため、注意が必要です。

まとめ

  • 定期健康診断は法律で定められた11項目が基本。年1回の受診が義務づけられている。
  • 35歳を除く40歳未満の人は、医師が必要でないと認めれば血液検査(貧血・肝機能・血中脂質・血糖)と心電図を省略できる。ただし会社の指示を優先して。
  • 入社時の雇入時健診には年齢による省略規定はない。
  • 2027年4月から、腎機能を調べる「血清クレアチニン検査」が追加され、「喀痰検査」は廃止。肝機能検査の名称もGOT→ASTなどに変更される。
  • 受診前は「会社指定の項目・用紙」「食事制限の有無」「尿検査前のトイレ控え」を確認しておこう。

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