「キーン」「ジー」の耳鳴り、実は内科の出番もある?
耳鳴りといえば耳鼻咽喉科、とすぐ思い浮かべる方が多いと思います。たしかにそれは正解なのですが、じつは内科的な原因——血圧、貧血、薬の副作用など——が背景に隠れているケースも少なくありません。そしてもっと大事なのが、耳鳴りの中には「今日中に動かないと聴力が戻らなくなる」タイプがあるということ。まずはそこから整理していきましょう。
これは急いで!——突発性難聴が疑われる耳鳴りのサイン
朝起きたら突然、片方の耳が聞こえにくい。しかも耳鳴りや耳の詰まった感じまである——これは突発性難聴の典型的なパターンです。
突発性難聴は、内耳(音を感じる器官)への血流が突然悪くなったり、ウイルスが関わったりして起こると考えられています。やっかいなのは、発症から1週間以内、できれば48時間以内に治療を始めるかどうかで、聴力の回復率が大きく変わるとされている点です。
「そのうち治るかも」と数週間様子を見るのが、最も避けたい行動。片耳が急に聞こえにくくなったら、その日か翌日には耳鼻咽喉科を受診することを強くおすすめします。
内科でわかる耳鳴りの原因4つ
急ぎの耳鳴りでなければ、内科的な背景を調べることが次のステップになります。代表的な原因を見ていきましょう。
①高血圧・動脈硬化
耳鳴りの音が「ドクドク」と脈と同じリズムで聞こえる場合、これは拍動性耳鳴りと呼ばれます。血管が硬くなったり、血圧が高くなったりすることで血流の音が耳に伝わりやすくなることがあります。血圧の測定と、場合によっては血管の状態を調べる検査が必要になります。
②貧血
血液中の赤血球やヘモグロビン(酸素を運ぶたんぱく質)が少なくなると、心臓が頑張って血液を送ろうとするため血流が速くなります。その「サーッ」とした流れる音が耳鳴りとして感じられることがあります。めまいや立ちくらみを伴うこともあり、血液検査で簡単に確認できます。
③薬の副作用
意外と見落とされがちなのが、薬が原因の耳鳴りです。一部の抗菌薬・利尿薬(尿を出す薬)・アスピリン(大量服用時)・抗がん剤などで耳鳴りが起きることが知られています。新しい薬を飲み始めた後から耳鳴りが出たなら、お薬手帳を持って処方した医師や薬剤師に相談しましょう。
④甲状腺の異常・糖尿病
甲状腺ホルモンの過不足や、糖尿病による血流・神経への影響が、内耳の働きに悪影響を与えることがあります。これらも血液検査で調べることができます。
「増幅器」になりやすいこと——ストレス・睡眠不足・首の緊張
耳鳴りそのものの原因とは少し異なりますが、ストレス、睡眠不足、肩や首・顎まわりの筋肉の緊張は、耳鳴りの「音量」を大きく感じさせる増幅器のような役割を果たします。耳鳴りがひどくなると感じるときは、生活リズムや体のこりにも目を向けてみましょう。
慢性の耳鳴りとうまく付き合うコツ
原因となる病気がなく、加齢にともなう聴力の変化が主体とわかった耳鳴りは、残念ながら「完全に消す」ことが難しいケースが多いのが現実です。そこで目標を「耳鳴りを気にならなくする」方向に切り替えることが大切です。
- 静かすぎる環境を避ける——川の音や自然音など小さな環境音をBGMにすると、耳鳴りが目立ちにくくなります
- 睡眠をしっかり取る——睡眠不足は耳鳴りの感じ方を悪化させます
- カフェインとアルコールを控える——どちらも内耳の血流や神経に影響します
- 補聴器・音響療法——聴力低下がある場合、補聴器を使うと耳鳴りが楽になることがあります
耳鳴りをピタッと止める「特効薬」は現時点では存在しません。だからこそ、生活習慣の整え方や環境の工夫が実はとても重要なのです。
こんなときはどう動く?受診の目安チェックリスト
- 🔴 突然の片耳の聞こえにくさ+耳鳴り→その日〜翌日に耳鼻咽喉科へ
- 🟠 脈と同じリズムの「ドクドク」耳鳴り→まず血圧を確認、内科を受診
- 🔴 めまい・頭痛・顔の麻痺を伴う→速やかに受診(脳や血管の病気の可能性も)
- 🟡 新しい薬を飲み始めてから耳鳴りが出た→処方した医師や薬剤師に相談
- 🟡 数か月続く耳鳴りで眠れない・生活に支障が出ている→耳鼻咽喉科で聴力検査、内科で血圧・貧血・甲状腺・血糖の確認を
まとめ
耳鳴りは耳だけの問題ではなく、血圧・貧血・薬・甲状腺など、内科的な原因が絡んでいることがあります。一方で、突然の片耳の聞こえにくさを伴う耳鳴りは時間勝負。「そのうち治るだろう」は禁物です。耳鳴りの種類やタイミングをよく観察して、適切な診療科に早めにつながることが、聴力と生活の質を守る一番のポイントです。慢性の耳鳴りには、生活習慣の見直しと環境音の活用が地味ながら有効な手立てになります。焦らず、でも放置せず、上手に付き合っていきましょう。
