「味がしない」「髪が抜ける」「口内炎が治らない」——その症状、亜鉛不足かもしれません
「最近、食べ物の味がぼんやりしている」「髪の毛が気になるほど抜ける」「口内炎が何度も繰り返す」「傷がなかなか治らない」——これらの症状、バラバラな悩みのように見えて、じつは亜鉛不足という共通の原因が潜んでいることがあります。
亜鉛は血液検査で調べられる「必須ミネラル」のひとつ。不足しても見落とされやすいのですが、補充によって症状が改善することも多い、知っておきたい欠乏症です。
亜鉛って、体の中で何をしているの?
亜鉛は体内で300種類以上の酵素の働きを助けるミネラルで、じつに多彩な役割を担っています。
- 味を感じるセンサー(味蕾)の維持
- 皮膚・粘膜の再生と修復
- 免疫機能のサポート
- 傷の回復促進
- 髪や爪の成長
- 精子の形成
こんなに幅広く関わっているにもかかわらず、亜鉛は体内に「蓄え」がほとんどないミネラルです。食事からの摂取が減ったり、体外への排泄が増えたりすると、比較的早く不足してしまうのが特徴です。
亜鉛が不足すると、こんな症状が出てくる
亜鉛不足によって起こりうる症状は、ざっと以下のとおりです。
- 🍽️ 味覚障害——味が薄く感じる・金属のような味がする・何を食べてもおいしくない
- 💊 皮膚炎・口内炎——口の周りや手足の皮膚が荒れる・口内炎を繰り返す・傷の治りが遅い
- 💇 脱毛・爪の変化——抜け毛が増える・爪に白い斑点が出る・爪が変形しやすい
- 🤧 免疫の低下——風邪をひきやすい・下痢が続く
- 😞 食欲低下・貧血——鉄不足と同時に起きることも
- 👨 男性の性機能低下・子どもの成長の遅れ
「なんとなく体調がすぐれない」という状態が続いているとき、亜鉛不足が隠れている可能性は意外と高いのです。
こんな人は亜鉛が不足しやすい——チェックリスト
以下に当てはまる人は、亜鉛が不足しやすい傾向があります。
- ✅ 食事制限中・偏食・インスタント食品が多い
(加工食品は亜鉛が少なく、添加物が吸収を妨げることも) - ✅ 高齢の方(食事量の低下+腸での吸収力の低下)
- ✅ 肝臓・腎臓の病気がある(透析を受けている方も)
- ✅ 糖尿病・炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎など)がある
- ✅ 妊娠中・授乳中
- ✅ お酒をよく飲む
- ✅ 特定の薬を飲んでいる
「薬の影響」については少し詳しく説明します。一部の降圧薬(ACE阻害薬・ARBと呼ばれるタイプ)、利尿薬、抗菌薬、抗リウマチ薬などは、亜鉛の排泄を増やしたり、腸での吸収を妨げたりすることが知られています。慢性的に薬を飲んでいる方は、こうした影響にも目を向けておく価値があります。
血液検査でわかる「隠れた亜鉛不足」
亜鉛の不足は、血液検査(血清亜鉛濃度)で調べることができます。健康保険が適用される検査です。
一般的な判断の目安は以下のとおりです(日本臨床栄養学会「亜鉛欠乏症の診療指針2024」より)。
- 60μg/dL未満 → 亜鉛欠乏(明らかな不足)
- 60〜80μg/dL未満 → 潜在性亜鉛欠乏(隠れた不足)
ちなみに、食後は血中の亜鉛濃度が一時的に下がるため、空腹時・午前中に採血するのが正確な評価に向いています。
亜鉛を食事で補うなら、何を食べればいい?
亜鉛が豊富な食品として代表的なのは次のとおりです。
- 🦪 牡蠣(亜鉛の王様と呼ばれるほど豊富)
- 🥩 赤身肉・レバー
- 🥚 卵・チーズ
- 🥜 ナッツ類・大豆製品
「食事が偏りがち……」と感じている方は、まずこれらを意識して取り入れることから始めてみましょう。
サプリや薬で補充するときの注意点
食事改善だけでは補いきれないほど症状が強い場合や、検査値が明らかに低い場合は、亜鉛製剤(保険適用のあるものもあります)による補充が行われることがあります。
ただし、亜鉛の摂りすぎにも注意が必要です。過剰になると「銅の欠乏」を引き起こしたり、吐き気・胃腸症状が出たりすることがあります。市販のサプリメントを自己判断で大量摂取するのは避け、気になる症状がある場合は医療機関で検査を受けたうえで適切な量を確認するのが安全な方法です。
こんな症状が続いたら、受診を考えるサイン
以下のような状態が続いているなら、一度血液検査で亜鉛を調べてもらうことを検討してみてください。
- 味覚の異常が2週間以上続いている
- 口内炎・皮膚炎・脱毛が繰り返す、傷の治りが遅い
- 高齢・肝臓や腎臓の持病・上記のような薬を飲んでいて、上の症状がある
- 原因不明の食欲低下や下痢が続いている
亜鉛不足は「なんとなく不調」の原因として見落とされがちですが、検査と適切な対応でしっかり改善が目指せる欠乏症です。心当たりのある方は、ぜひ一度確認してみてください。
まとめ
- 亜鉛は300種類以上の酵素に関わる必須ミネラルで、体内に蓄えがほとんどない
- 味覚障害・口内炎・脱毛・皮膚炎・傷の治りの遅さなど、幅広い症状に関係する
- 偏食・高齢・持病・特定の薬の使用などで不足しやすい
- 血液検査(血清亜鉛濃度)で確認でき、保険適用あり
- 食事(牡蠣・赤身肉・レバー・卵など)で補うのが基本。サプリの大量摂取は過剰症に注意
- 2週間以上続く味覚異常や繰り返す口内炎・脱毛は、一度検査を受けるきっかけにしよう
