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不安・動悸・のどのつかえ……漢方って実際どう使うの?
動悸がする、のどに何かがつかえる感じがある、不安で落ち着かない、眠れない——。そんな症状に対して、漢方薬が選択肢になることがあります。「西洋薬にちょっと抵抗がある」「体の内側から整えたい」という方にとって、漢方は気になる存在ですよね。
この記事では、不安や動悸などの症状に用いられる代表的な漢方を、わかりやすく紹介します。ただし、最初にとても大事なことをお伝えします。
まず知っておきたい大前提:漢方は「標準治療の代わり」ではない
パニック障害や不安症(不安が強く出る状態が続く病気)には、すでに効果が確かめられた治療法があります。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬・抗不安薬による薬物療法や、認知行動療法(考え方や行動のクセを見直すことで症状を和らげる心理療法)がその代表です。
漢方は、こうした治療を補ったり、症状を和らげたりする目的で使われるもの。あくまでサポート役であって、標準的な治療の代わりにはなりません。
とくに次のような場合は、漢方だけで様子をみるのは危険です。
- 発作を繰り返して、外出や仕事など日常生活に支障が出ている
- 強い落ち込みが続いている
- 「消えてしまいたい」という気持ちがある
また、漢方の効能・効果として認められているのは「不安神経症」「神経症」などの症状の範囲であり、「パニック障害」という診断名そのものに対応した薬ではない点も覚えておきましょう。
不安・動悸・不眠に使われる代表的な漢方6選
漢方では、同じ「不安」でも、その人の体質・体力・伴う症状によって選ぶ処方が変わります。これを「証(しょう)に合わせる」といいます。以下に代表的なものを紹介します。
① 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
のどに何かがつかえる感じ(梅の種が引っかかったような違和感)、不安、動悸、吐き気などに使われます。不安に伴うのどの症状がある方に向いていることが多い処方です。
② 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
比較的体力がある方で、精神的な不安・動悸・不眠・イライラがある場合に用いられます。
③ 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
体力があまりない方で、神経過敏・動悸・不眠・疲れやすさがある場合に使われます。
④ 加味逍遙散(かみしょうようさん)
不安・イライラ・のぼせ・気分の波などに用いられ、更年期の不調にも活用される処方です。
⑤ 抑肝散(よくかんさん)
神経の高ぶり、イライラ、怒りっぽさ、不眠などに向いています。
⑥ 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
情緒が不安定で泣きたくなる、眠れないといった場合に用いられます。
⚠️ どれが合うかは、同じ症状でも人によって異なります。自己判断は難しいので、医師や薬剤師に相談して選ぶのがおすすめです。
「すぐ効く」ものと「じっくり効く」ものがある
漢方には、比較的早めに効果を感じられるものと、体質を整えるためにある程度続けて飲む必要があるものがあります。不安や不眠に使う漢方でも、数日で楽になることもあれば、しばらく様子をみながら調整することもあります。
自己判断で急にやめたり、「効かないから」と漫然と長く続けたりするのは避け、経過を見ながら量やタイミングを調整していくことが大切です。
「自然だから安全」は誤解!漢方の副作用と注意点
漢方は生薬を使った薬であり、副作用がないわけではありません。代表的な注意点を確認しておきましょう。
甘草(かんぞう)の摂りすぎに注意
甘麦大棗湯・抑肝散など、多くの漢方に含まれる「甘草」という生薬。摂りすぎると、むくみ・血圧の上昇・体のだるさ・力が入りにくい感じ(血液中のカリウムが下がることで起こる)といった「偽アルドステロン症」を引き起こすことがあります。複数の漢方を併用すると甘草が重なりやすいので要注意です。
柴胡(さいこ)含有の漢方は肺・肝臓に注意
柴胡加竜骨牡蛎湯・加味逍遙散などに含まれる「柴胡」という生薬では、まれに間質性肺炎(肺の組織に炎症が起きる病気)や肝機能障害が報告されています。咳・息切れ・発熱が続く、体がだるい・皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などの症状が出たら、早めに医療機関を受診してください。
山梔子(さんしし)の長期使用は腸に影響することも
加味逍遙散などに含まれる「山梔子」は、長期間の使用によって、まれに腸の血管に障害が起きる(腸間膜静脈硬化症)ことが報告されています。
また、妊娠中・授乳中の方、持病のある方、ほかの薬を飲んでいる方は、必ず医師・薬剤師に相談してから使うようにしましょう。
こんな症状があるときは、漢方より先に医療機関へ
以下のような場合は、漢方で様子をみるより先に、医療機関を受診することを強くおすすめします。
- 動悸・息切れ・胸の痛みなど、心臓や体の病気が心配な症状がある
- 発作を繰り返し、外出や仕事など生活に支障が出ている
- 強い落ち込みが続く、眠れない日が長く続く、気力がまったくわかない
- 「消えてしまいたい」という気持ちがある
とくに動悸や胸の症状は、「不安のせいだろう」と思っていても、甲状腺の病気や不整脈など、別の身体的な原因が隠れていることもあります。まず体の病気がないか確認することが大切です。
まとめ
- 不安・動悸・のどのつかえ・不眠などに、漢方が補助的な選択肢として使われることがある
- ただし漢方は、パニック障害などの標準治療(薬物療法・認知行動療法)の代わりにはならない
- 半夏厚朴湯・柴胡加竜骨牡蛎湯・加味逍遙散など、体質(証)に合わせて選ぶ。自己判断は避けよう
- 甘草による偽アルドステロン症、柴胡剤の間質性肺炎・肝障害など、副作用にも要注意
- 生活に支障がある、強い落ち込みがあるといった場合は、漢方だけにこだわらず医療機関へ
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