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真夏の避難生活で気をつけたい健康被害——熱中症・エコノミークラス症候群・持病の薬を内科医が解説
地震などの大規模災害が発生したあとは、揺れによるけがだけでなく、その後の避難生活によって体調を崩す方が増えます。とくに真夏に被災した場合、停電や断水が重なると健康リスクはさらに高まります。この記事では、避難生活で起こりうる健康被害と、その予防・受診の目安を内科医の視点でわかりやすく整理します。
避難されている方はもちろん、ご家族が被災された方、支援に向かう方にもぜひ読んでいただければと思います。
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最優先は熱中症——真夏の避難生活で最も差し迫ったリスク
夏の災害で、まず警戒すべきは熱中症です。停電でエアコンが使えない、体育館や車の中に大勢が過ごす、水が自由に使えない——避難生活は熱中症の条件がそろいやすい状況です。
- こまめに水分をとる。汗を多くかいたときは塩分(経口補水液など)も一緒に補給する
- 風通しを確保し、うちわ・扇風機・冷たいタオル・保冷剤などで体を冷やす
- 車の中は短時間でも高温になるため、とくに日中の車内で過ごすのは避ける
- 高齢の方、乳幼児、持病のある方は、周囲が声をかけて水分と体調を確認する
⚠️ 熱中症による高体温には、一般的な解熱薬(イブプロフェン・アセトアミノフェンなど)は効きません。まず体を冷やし、水分・塩分をとることが基本です。
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車中泊で起こる「エコノミークラス症候群」に注意
過去の大規模地震でも大きな問題となったのが、車中泊によるエコノミークラス症候群です。正式には「深部静脈血栓症・肺塞栓症」と呼びます。
狭い場所で足を動かさずに長時間過ごすと、足の静脈に血のかたまり(血栓)ができます。これが血流に乗って肺の血管に詰まると、命に関わることがあります。避難生活では脱水(水分不足)とトイレを控える行動が重なり、リスクがさらに高まります。
予防のポイント
- 水分をこまめにとる(トイレを気にして水分を控えないことが大切)
- 同じ姿勢を続けず、数時間おきに歩く。座ったままでも足首を動かす・ふくらはぎをもむ・つま先を上下させる
- 眠るときは、できるだけ足を伸ばせる姿勢をとる。可能なら車中泊を続けず、体を横にできる環境へ
- ベルトなど体を締めつけるものはゆるめる
- 弾性ストッキング(着圧ソックス)が使える場合は活用する
🚨 片方の足の腫れ・痛み・赤み、突然の息苦しさ・胸の痛みは危険なサインです。すぐに医療者に伝えてください。
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断水・トイレ問題から始まる「脱水の悪循環」
断水や仮設トイレの不便さから、「トイレに行きたくないので水を飲まない」という行動が起こりがちです。しかしこれが、脱水・熱中症・血栓症・膀胱炎・便秘の引き金になります。
水分を控えるのではなく、水分はきちんととったうえで、トイレの環境を整えることを優先してください。携帯トイレの活用、夜間の照明確保なども有効です。
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避難所で広がりやすい感染症・夏の食中毒
集団生活では、感染症が広がりやすくなります。
- 胃腸炎(ノロウイルスなど):吐物・便の処理は使い捨て手袋とマスクで。手洗いを徹底する
- 呼吸器の感染症(新型コロナ、インフルエンザなど):症状がある方はマスクを着け、可能なら場所を分ける
- 夏の食中毒:停電で冷蔵できない・配給の食品を長時間置く状況では細菌が増えやすい。少しでも傷んでいると感じたら食べない判断を
手洗いができないときは、アルコール手指消毒も役立ちます。ただしノロウイルスにはアルコールが効きにくいため、可能なときは流水と石けんでの手洗いを優先しましょう。
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持病の薬が途切れることの怖さ
避難時に見落とされがちですが、内科的にもっとも心配なことのひとつです。高血圧・糖尿病・心臓病・喘息・てんかん・血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)など、中断すると危険な薬があります。
災害時はストレスや睡眠不足で血圧が上がりやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まるとされています。
- お薬手帳(または薬の写真・名前のメモ)を持って避難する
- 薬が残り少ないときは、早めに医療機関・薬局・避難所の医療班に相談する
- 災害時には、処方箋がなくても薬局で必要な薬を受け取れる特例的な取り扱いがとられることがある。まず相談を
- 自己判断で中止・減量しない
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「生活不活発病」——動かないことで体が弱る
避難所で座ったまま過ごす時間が長くなると、数日から数週間で筋力や体力が落ち、歩きにくくなることがあります。とくに高齢の方で問題になります。
- 一日一回は立って歩く
- 可能な範囲で片付けや手伝いなど、役割を持つ
- 座ったままでもできる体操を取り入れる
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口の中の清潔——誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の予防
水が貴重な状況では、歯みがきが後回しになりがちです。しかし口の中が不潔になると、とくに高齢の方で誤嚥性肺炎(食べ物や口の中の細菌が誤って肺に入って起こる肺炎)のリスクが高まります。
- 少量の水でのうがい、歯みがきシートや洗口液を活用する
- 入れ歯も清潔を保ち、可能なら夜ははずして休む
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こころの不調と睡眠——「おかしい」のではありません
大きな災害のあとは、眠れない・動悸がする・落ち着かない・涙が出る、といった反応が起こることがあります。これは異常なことではなく、多くの方に起こる自然な反応です。
- カフェインやアルコールで無理に眠ろうとしない(アルコールは睡眠の質を下げ、脱水も助長します)
- できる範囲で規則正しい生活・休息の時間をつくる
- つらさが強い、眠れない日が続く、気力がわかないときは、遠慮なく専門家や支援機関に相談を
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片付け作業でのけが・粉じん・一酸化炭素中毒
- がれきや割れたガラスの片付けでは、厚手の手袋・長袖・底の厚い靴を着用。傷が深い・汚れた傷・さびた釘による傷は破傷風の心配があるため受診を
- ほこりやカビを吸い込むと、せきや喘息の悪化につながります。マスクを着用してください
- 発電機やカセットコンロを室内・車内で使うと一酸化炭素中毒の危険があります。必ず換気のよい屋外で使用してください
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こんな症状はすぐに医療者へ——受診・救急要請の目安
次のような場合は、ためらわず医療者に相談・救急要請(119番)を検討してください。
- 🦵 片足の腫れや痛み、突然の息苦しさ・胸の痛み(肺塞栓症の可能性)
- 🧠 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、けいれん
- 🌡️ 体が熱いのに汗が出ない、水分がとれない(重い熱中症の可能性)
- ❤️ 胸の痛み、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない(心筋梗塞・脳卒中の可能性)
- 💊 持病の薬が切れて数日たつ
- 🤢 下痢や嘔吐が続き、水分がとれない
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まとめ
- ✅ 真夏の避難生活では、まず熱中症・脱水への対策を最優先に
- ✅ 車中泊はエコノミークラス症候群のリスク。水分補給・足を動かす・横になれる環境の確保を
- ✅ トイレを気にして水分を控えるのは逆効果。水は飲んで、トイレ環境を整える工夫を
- ✅ 避難所の感染症・夏の食中毒に注意。手洗いと食品管理を徹底
- ✅ 持病の薬を切らさないこと。お薬手帳を持ち、早めに相談を
- ✅ 片足の腫れ・息苦しさ・胸の痛み・意識の変化は、すぐに医療者へ
避難生活は心身ともに過酷な環境です。「これくらい大丈夫」と思わず、少しでも気になることがあれば、避難所の医療班や近くの医療機関に早めに相談することが大切です。どうか無理せず、自分の体を最優先にしてください。
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経口補水液(OS-1・アクアソリタなど)
熱中症・脱水対策の基本アイテム。水と塩分・糖分をバランスよく補給できる経口補水液は、避難生活の必需品。ペットボトルタイプやゼリータイプなど常備しておくと安心です。
弾性ストッキング(着圧ソックス)
エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の予防に効果的。足に適度な圧力をかけることで血液の流れを助けます。車中泊や長時間の避難生活時に1足あると大変役立ちます。
携帯トイレ・簡易トイレセット
断水時のトイレ問題を解決し、水分を控える悪循環を防ぐために欠かせないアイテム。凝固剤付きで衛生的に使えるタイプが便利。防災袋への常備をおすすめします。
