岡山大学の研究教授・研究准教授制度ってどんなもの?

まずは、今回先生方が授与された「研究教授」「研究准教授」という称号について、少しだけ説明させてくださいね。

岡山大学では、将来の学術を担う若手研究者をもっともっと応援して、日本の研究力を強くしていこう!という熱い思いから、この制度を2018年度からスタートさせています。

「研究教授」は、特に優れた研究業績を持つ准教授の先生方に与えられる称号で、独立した研究代表者(PI:Principal Investigator)として、より自由に、そして充実した研究ができるようにサポートするためのものです。研究費の配分など、さまざまな形で研究活動が後押しされます。

そして、2020年4月からは、講師や助教の先生方を対象とした「研究准教授」制度も始まりました。これもまた、若手の先生方がさらに活躍できるようにという、大学からの温かい支援なんです。

岡山大学のロゴの前で、スーツを着た4人の男性が賞状のような書類を持って並んでいる写真

今回称号を授与された先生方は、まさにその分野で抜きん出た素晴らしい研究をされている方々なんですね。それでは、お一人ずつ、その研究内容を詳しく見ていきましょう!

岡山大学が大学院生および若手研究者(45歳以下・39歳以下)の育成・活躍を促進するための支援策を示した資料

大槻純也研究教授の挑戦!未来を拓く新しい物質の設計

まずご紹介するのは、学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)の大槻純也研究教授です。

「物質の中にある『非対称性(アシンメトリ)』に注目して、これまでにない機能を持つ新しい物質を理論的に導き出す」と聞くと、ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんね。でも、簡単に言うと「物質が持つちょっとした個性や偏り」が、実はすごい力を秘めている、という話なんです。

例えば、私たちの右手と左手は、鏡に映したように形は似ているけれど、ぴったり重なることはありませんよね?これが「非対称性」です。物質の世界でも、原子や電子の並びに、こんな「非対称性」があることで、特別な性質が生まれることがあるんです。

大槻研究教授は、この物質の「個性」を細かく記述する「拡張多極子」という新しい考え方を使って、基礎理論を築き、それを応用した計算方法を確立しようとしています。この研究が進むと、将来は、パソコンの中で「こんな性質を持つ物質が欲しいな」と設計図を描くだけで、実際にその物質が持つ機能(例えば、特別な磁石になったり、電気を全く損なわずに流す超電導になったり)を予測できるようになるかもしれません。

この研究が病気で困っている私たちにどう役立つの?

「磁性」や「超電導」と聞くと、医療とは関係ないように思えるかもしれませんが、実はそうではありません。例えば、病院で使われるMRI(磁気共鳴画像診断装置)は、強力な磁石や超電導技術が使われています。もし、より高性能で小型な磁性材料や超電導材料が開発されれば、MRIのような診断機器がもっと高精度になったり、もっと身近な場所で使えるようになったりするかもしれません。

あるいは、全く新しい治療法や、副作用の少ない薬を必要な場所に届けるDDS(ドラッグデリバリーシステム)など、医療技術の革新に間接的に貢献する可能性も秘めています。きっと、未来の医療を支える土台となるでしょう。

大槻研究教授の研究室のウェブサイトはこちらです。興味があれば覗いてみてくださいね。
岡山大学 異分野基礎科学研究所 Jeschke・大槻研究室

研究教授8名の顔写真と氏名、専門分野が一覧で表示されている画像

加来田博貴研究教授の情熱!がん・糖尿病・アルツハイマー病に挑む新薬開発

次に紹介するのは、学術研究院医歯薬学域の加来田博貴研究教授です。

「がん」や「糖尿病」は、私たちにとってとても身近で、多くの人が悩みを抱えている病気ですよね。加来田研究教授は、これらの病気の予防や悪化を防ぐために、病気と深く関わっている「糖尿病」や「炎症」に注目し、「レチノイドX受容体(RXR)」という細胞の中にある大事なスイッチをターゲットにした新しい薬の開発に取り組んでいます。

このRXRは、細胞の働きをコントロールする重要な役割を持っていて、これがうまく機能しないと、がんや糖尿病が悪化してしまうことがあるんです。だから、RXRの働きを調整できる薬ができれば、病気の進行を抑えたり、予防したりできると期待されています。

新技術とAIが切り拓く創薬の未来

加来田研究教授の研究のすごいところは、細胞を傷つけずにRXRの動きをリアルタイムで観察できる新しい技術を開発したこと。これまでは、RXRの動きを詳しく見るには細胞を壊す必要があったのですが、この技術のおかげで、生きた細胞の中でRXRがどう動いているのかを、より正確に、そしてリアルタイムで観察できるようになりました。これは、新しい薬を開発する上で、非常に大きな進歩なんです!

さらに、AI(人工知能)モデルを科学的な裏付けに基づいて創薬に活用する試みも進めています。AIが膨大なデータから効率的に薬の候補物質を見つけ出してくれたり、開発の期間を短縮してくれたりすることで、私たちが新しい薬を手にできる日が、きっともっと早くなるでしょう。

多くの病気で困っている人に希望を

この研究は、がんや糖尿病だけでなく、クローン病のような難治性の病気や、さらにはアルツハイマー病の治療にも応用できると期待されています。これらの病気で苦しむ多くの人々にとって、加来田研究教授の研究は、まさに一筋の光となるはずです。新しい薬が生まれ、症状が和らぎ、普通の生活を送れるようになる。そんな未来が、きっとすぐそこまで来ているのかもしれません。

加来田研究教授の研究室のウェブサイトはこちらです。ぜひご覧になってみてください。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 合成医薬品開発学分野

諏澤憲研究准教授の希望!がん免疫療法の効果を最大限に引き出す

最後にご紹介するのは、学術研究院医療開発領域の諏澤憲研究准教授です。

近年、「がん」の治療法として注目されているのが「免疫チェックポイント阻害剤(ICI)」というお薬です。これは、私たちの体にもともと備わっている免疫の力を利用して、がん細胞と戦うのを邪魔しているブレーキを外すことで、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする画期的な治療法なんです。

特に、手術の前後でICIを使う「周術期治療」は、がんが完全に治る可能性を高めると期待されています。しかし、残念ながら、ICIは全ての人に同じように高い効果があるわけではなく、効果が少ない人もいる、という課題があるのも事実です。

「効く人」「効かない人」のヒミツを探る

諏澤研究准教授は、この課題を解決するために、「ICIの効果が長く続く人」や「がんが完全に治る人」には、どんな特徴があるのかを詳しく調べています。そして、治療効果を予測できる「バイオマーカー」(病気の状態や薬の効果を教えてくれる体のサインのようなもの)を見つけ出すことを目指しています。

もし、事前にバイオマーカーで「この治療が効きそうだ」と分かれば、患者さん一人ひとりに最適な治療法を選べるようになりますよね。無駄な治療を避けたり、副作用を減らしたりしながら、最も効果的な治療を受けられるようになる。これは、がん患者さんにとって本当に大きな希望です。

がん細胞を攻撃する力をアップ!

さらに、この研究では「腫瘍特異的T細胞」という、がん細胞だけを見つけて攻撃してくれる、体の特別な免疫細胞の活動をさらに活発にする新しい治療法の開発も目指しています。私たちの体が持つ本来の力を最大限に引き出すことで、より多くのがん患者さんが、がんを克服できる未来が期待されています。

がんという病気に直面している方、そのご家族の方にとって、この研究はきっと心強い支えとなるでしょう。治療の選択肢が広がり、より効果的な治療を受けられるようになることで、きっと希望が見えてくるはずです。

諏澤研究准教授が所属する呼吸器・乳腺内分泌外科のウェブサイトはこちらです。ご興味のある方はぜひご覧ください。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)

複数の研究者の顔写真と名前、そしてそれぞれの研究分野(ライフサイエンス、ナノテク・材料、地球生命科学)が記載された一覧画像

研究者たちの思いと、私たちへのメッセージ

今回ご紹介した3名の先生方の研究は、どれも私たちの生活、特に医療の未来を大きく変える可能性を秘めています。彼らは、ただ机上の理論を追求するだけでなく、その研究の先に、病気で苦しむ人々が笑顔で暮らせる未来を見据えて、日々研究に情熱を注いでいるんです。

病気と闘うことは、本当に孤独で、時に心が折れそうになるかもしれません。でも、世界中の研究者たちが、あなたのために、そして大切な人のために、諦めずに研究を続けています。最先端の科学技術は、着実に進歩し、不可能だと思われていたことを可能に変えようとしています。

どうか、希望を捨てないでください。これらの研究が実を結び、新しい治療法や薬があなたの元に届く日が、きっと来るはずです。岡山大学の先生方のように、多くの研究者が、あなたの未来を明るくするために、日々奮闘しています。

岡山大学の地域と地球の未来への貢献

岡山大学は、今回ご紹介したような最先端の研究だけでなく、地域社会への貢献や、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも積極的に取り組んでいます。

文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」にも採択されており、地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学を目指しています。若手研究者の育成にも力を入れ、次世代を担う研究者たちが自由に、そして積極的に研究に取り組める環境を整えています。

岡山大学が文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に2023年度に採択されたことを示す画像

また、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援し、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞するなど、社会全体の持続可能性にも貢献しています。研究活動を通じて、より良い社会、そしてより健康な未来を創造しようという強い意志が感じられますね。

岡山大学の那須保友学長を紹介し、地域中核・特色ある研究大学としての役割と、SDGsへの貢献を通じて地域と地球の未来を共創し、持続可能な社会実現を目指すメッセージを伝える画像

まとめ

いかがでしたか? 岡山大学の先生方が進めている研究は、どれも私たちの想像を超えるような可能性を秘めています。病気で困っている方々にとって、これらの研究が具体的な希望となり、明るい未来への一歩となることを心から願っています。

これからも、岡山大学の若手研究者たちの活躍に、ぜひご期待ください!

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