『食養』ってなんだろう?健康的な和食の力
「食養」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれませんね。これは、今から100年以上も前に、石塚左玄という食のお医者さんが提唱した、食と健康のバランスを大切にする日本の伝統的な考え方なんです。
日本綜合医学会というNPO法人では、この「食養」の考え方に基づいて、玄米を中心とした和食を「食養ダイエット」として推奨しています。ダイエットと聞くと、体重を減らすことだけをイメージするかもしれませんが、食養ダイエットは「健康的な体を作るための食事法」という意味合いが強いんです。
具体的にどんなものを食べるかというと、メインは玄米。それに加えて、野菜、豆類、きのこ、海藻といった植物性の食品をたくさん摂り、魚は少なめに、そして発酵食品も積極的に取り入れます。お肉や乳製品、加工食品は控えめにするのが特徴です。

これらの食材は、食物繊維がとても豊富。食物繊維は、腸内細菌たちの大好物なんです。まるで腸内細菌たちの「ごはん」のようなもの。彼らが元気になれば、私たちの体も元気になる、というわけですね。
共同研究でわかった!食養ダイエットと腸内環境の素敵な関係
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社とあしかりクリニックが共同で行った研究で、この食養ダイエットを長年続けている高齢の日本人女性たちの腸内環境が、とても健康的な状態であることが分かったんです。
研究では、食養ダイエットを続けているグループと、通常の日本食を食べている健康なグループ、そして通常の日本食を食べているけれど何らかの病気があるグループを比較しました。
すると、食養ダイエットを続けている人たちの腸内細菌の構成は、なんと健康な人たちの腸内細菌の構成とそっくりだったんです!これはすごい発見ですよね。
さらに詳しく調べてみると、食養ダイエットを実践している人たちの腸には、「酪酸(らくさん)産生菌」という、私たちの健康にとってすごく良い働きをする菌がたくさんいたんです。例えば、「Anaerostipes(アナエロスティペス)」や「Coprococcus(コプロコッカス)」、「Kineothrix(キネオトリックス)」といった菌たちですね。
これらの酪酸産生菌は、腸の中で「酪酸」という物質を作り出します。この酪酸が、腸の粘膜を強くしたり、体の炎症を抑えたり、免疫力を高めたりと、たくさんの良い効果をもたらしてくれるんです。
逆に、病気と関連する可能性のある「Eggerthella(エッガテラ)」や「Escherichia/Shigella(エシェリヒア/シゲラ)」といった、あまり良くない菌が少ない傾向も見られました。
この結果は、食養ダイエットが、病気で困っているあなたの腸内環境を、健康な状態へと導いてくれる可能性を示していると言えるでしょう。
食養ダイエットで期待できる具体的なメリット
この研究から見えてきたのは、食養ダイエットが単に腸内環境を整えるだけでなく、私たちの体全体の健康にも良い影響を与えているらしい、ということです。
食養ダイエットを続けているグループの中にも、高血圧や脂質異常症、花粉症といった病気を持っている方はいました。食養ダイエットを実践したからといって、すべての病気と無縁になれるわけではない、という点は理解しておく必要があります。
しかし、注目すべきは、食養ダイエットグループでは、平均的にBMI(肥満度を表す指数)が低かったことです。そして、2型糖尿病、肥満症、便秘症、骨粗鬆症、めまいといった病気にかかっている人が見られなかったんです!これは驚きですよね。
もちろん、この研究は特定のグループを対象としたものであり、食養ダイエットがこれらの病気を「完全に予防する」と断言できるわけではありません。しかし、食養ダイエットによって作られる健康的な腸内細菌叢が、一部の病気の発症を抑え、健康を維持するのに役立っている可能性は十分に考えられます。
もしあなたが、これらの病気で悩んでいたり、予防したいと考えていたりするなら、食養ダイエットは、きっとあなたの食生活を見直す良いきっかけになるはずです。
日本人になじみ深い「食養ダイエット」の魅力
健康的な腸内細菌叢を作る食事として、これまで「地中海食」が有名でした。地中海食は、野菜や果物、豆類、魚、オリーブオイルなどをたっぷり摂り、お肉や乳製品を控える食事法ですね。
確かに素晴らしい食事法なのですが、ギリシャやイタリアなど地中海沿岸の国の伝統的な食事なので、日本人、特に高齢の方にとっては、なかなか日々の生活に取り入れにくいと感じるかもしれません。オリーブオイルをたっぷり使う食習慣や、あまり馴染みのない食材も多いですよね。
その点、食養ダイエットは、玄米や味噌、野菜、海藻など、昔から日本人が親しんできた食材が中心の「和食」です。だから、私たち日本人にとって、日常の食事としてとても受け入れやすく、無理なく続けやすいという大きなメリットがあります。
この研究に参加した方の中には、なんと40年以上も食養ダイエットを続けている方もいたそうです。長く続けられる食事法だからこそ、体の内側からじっくりと健康を育むことができるんですね。
あなたの腸内細菌叢、どんな状態が理想?
研究論文では、食養ダイエットを続けている人たちの腸内細菌が、平均的にどんなバランスで構成されているかのデータも公開されています。

これは、食養ダイエットを実践したときに、あなたの腸内細菌がどんな状態になるかを知るための、貴重な参考情報になります。例えば、「Faecalibacterium(フィーカリバクテリウム)」や「Bifidobacterium(ビフィドバクテリウム)」といった、腸の健康を守る良い菌たちが、どれくらいの割合でいるのが理想的なのか、イメージしやすくなるでしょう。
もちろん、一人ひとりの腸内環境は違いますし、このデータが「絶対的な目標」というわけではありません。でも、自分の食生活を見直す上での一つの目安として、ぜひ参考にしてみてください。
今後の期待と、あなたにできること
今回の研究で、食養ダイエットが健康の維持・増進につながる、とても有望な食事法であることが分かりました。これは、病気で悩む多くの人にとって、大きな希望となるでしょう。
将来的には、食養ダイエットが、すでに乱れてしまった腸内細菌叢を健康な状態に戻したり、その良い状態を長く維持したりするための「食事療法」として、医療の現場でも活用される日が来るかもしれません。
もしあなたが今、腸の不調や、それによって引き起こされる体の様々な病気に悩んでいるなら、食養ダイエットは、薬に頼るだけでなく、食事の力で体の中から健康を取り戻すための、新しい選択肢となる可能性を秘めています。
まとめ:今日から始める食養ダイエットで、新しい自分に出会おう!
病気や不調は、本当に辛いものですよね。でも、今回の研究が示してくれたように、日々の食事が、私たちの健康にこんなにも大きな影響を与えているんです。
日本の伝統的な知恵が詰まった「食養ダイエット」は、私たちの腸内環境を整え、体全体の健康をサポートしてくれる、まさに「日本人のための健康食」と言えるかもしれません。
今日から、少しずつでも食生活を見直して、玄米や野菜、豆類、発酵食品を意識して取り入れてみませんか?きっと、あなたの腸が喜び、体の中から少しずつ元気になっていくのを実感できるはずです。
もし、もっと詳しく知りたい、実践してみたいと思う方は、NPO法人 日本綜合医学会の公式サイトを訪れてみるのも良いでしょう。そこには、食養ダイエットを学ぶための講座やレシピ集など、役立つ情報がたくさんあります。
