元プロ格闘家・精神科医が提唱する「うつ病の運動療法」

今、医療界で注目を集めているのが、元プロキックボクシングNJKF日本ウェルター級チャンピオンという異色の経歴を持つ精神科医、鈴木宏先生が提唱する「うつ病の運動療法」です。鈴木先生は、東京都豊島区にある「青葉こころのクリニック」の院長を務めています。

彼のユニークなアプローチは、日本最大級の医療従事者向け専門サイト「m3.com」でも特集連載が開始され、多くの医療関係者の関心を集めています。

白衣にグローブ

現代医学の壁:うつ病患者の「3分の1」が改善しない現実

先ほども触れたように、うつ病の治療現場には「3分の1の壁」と呼ばれる深刻な課題があります。これは、薬物療法を尽くしても、約3分の1の患者さんが寛解に至らないという、現代医学の限界を示すものです。

この現実に直面し、鈴木先生は「このままではいけない」という強い思いを抱きました。長年、精神科医として多くの患者さんと向き合う中で、薬物療法だけでは救いきれない命があることを痛感したのかもしれません。

そこで彼が目を向けたのが、精神医学と運動生理学を融合させた「運動療法」でした。これは、心と体を一体として捉え、身体活動を通じて心の健康を取り戻そうという、根本的なアプローチです。

運動療法がうつ病に効く?エビデンスに基づいた「インターバル速歩」

鈴木先生は、自身の直感や経験だけでなく、科学的な根拠(エビデンス)に基づいて運動療法の有効性を証明しようと決意しました。彼は、信州大学大学院スポーツ医科学講座(能勢 博 教授)に入学し、うつ病と運動療法の関係について深く研究を重ねました。

その結果、「インターバル速歩」(早歩きとゆっくり歩きを交互に行うウォーキング)がメンタルヘルスに与える影響を研究し、見事に医学博士の学位を取得しました。

現在の精神科医鈴木宏

「インターバル速歩」ってどんな運動?

「インターバル速歩」は、文字通り「早歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返すウォーキング方法です。例えば、「3分間早歩きをして、3分間ゆっくり歩く」といったサイクルを繰り返します。これを1日に数セット行うことで、心肺機能の向上だけでなく、メンタルヘルスにも良い影響を与えることが研究で示されています。

この運動は、特別な道具や場所を必要とせず、普段の生活に取り入れやすいのが大きな魅力です。通勤中に一駅分をインターバル速歩にしてみたり、近所の公園で実践してみたりと、気軽に始められるでしょう。

鈴木先生は、このエビデンスに基づいた「インターバル速歩」によるうつ病治療を多くの人に知ってもらい、普及させるために本格的な啓発活動を始めています。

「研究のために開業」情熱が生んだ新しい治療の形

鈴木先生の情熱は、とどまることを知りません。彼は、運動療法の有効性を臨床の現場で直接証明するため、自らクリニックを開業しました。そして、東京での診療を続けながら、休診日には片道200km、往復400kmも離れた長野県の大学院へ通い詰める日々を送っていたそうです。

この並々ならぬ努力と情熱が、彼の研究成果を日々の診療にフィードバックすることを可能にしました。彼は、「心・技・体」を極めた元格闘家ならではの鋭い洞察力で、脳と身体の密接な関係性を患者さんに説いています。そして、従来の治療ではなかなか改善が見られなかった多くの患者さんを、社会復帰へと導いてきました。

彼の取り組みは、まさに「薬に頼りすぎない新しい治療」の可能性を示していると言えるでしょう。

鈴木宏院長の異色のプロフィール

鈴木宏先生の経歴は、本当にユニークで、その道のり自体が多くの人に勇気を与えるものです。

  • 1995年:福島県立医科大学を卒業後、麻酔科医としてキャリアをスタート。

  • その後:格闘家として、自身の心と体を極限まで追い込む経験を積む。この経験が、精神科医としての深い洞察力に繋がったと言われています。

  • 精神科医へ転身:格闘家としての経験を経て、精神科医の道へ。

  • 医学博士:信州大学大学院にてうつ病の運動療法の研究により取得。

  • 資格:精神保健指定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。

  • 元プロキックボクシングNJKF日本ウェルター級チャンピオン

  • 著書:『ドクター・キック』(三五館)

ドクターキック

格闘家として心身を鍛え上げた経験と、医師としての専門知識。この二つの全く異なる分野での経験が、鈴木先生の提唱する運動療法の説得力を高めています。

日本チャンピオン

あなたのうつ病にも、新しい希望の光を

もしあなたが今、うつ病で苦しんでいて、「もうどうしたらいいかわからない」と感じているなら、鈴木宏先生の提唱する運動療法について、少しでも関心を持っていただけたら嬉しいです。

薬物療法が合わない、あるいは効果が限定的だと感じている方にとって、運動療法は、きっと新しい選択肢となり得るでしょう。心と体は密接に繋がっています。体を動かすことが、心の状態を良い方向へ導くきっかけになる可能性は十分にあります。

まずは、この新しい治療法について、もっと詳しく知ることから始めてみませんか?

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この記事が、うつ病で悩むあなたの心の片隅に、小さな希望の光を灯すきっかけとなれば幸いです。