北海道小児膠原病の会が設立4周年イベントを開催

北海道小児膠原病の会は、2025年11月29日(土)に設立4周年記念イベント「お医者さんのきもち、わたしのきもち」を札幌エルプラザとオンラインのハイブリッド形式で開催しました。

このイベントには、小児科医、メディカルソーシャルワーカー、そして小児膠原病の当事者やその家族が集結。医療現場でしばしば感じる「コミュニケーションの壁」について深く掘り下げ、医師と患者が「チーム」として共に歩むために何ができるのかを、それぞれの立場を超えて真剣に考える時間となりました。

イベントのポスター

「分かってもらえない」と感じる前に

膠原病は症状が多岐にわたり、診断から治療まで長期にわたることが少なくありません。その過程で、患者さんやご家族、そして医師の間で、思いや認識のズレが生じやすいものです。「うまく伝えられない」「聞いていいのか分からない」といった戸惑いを抱える方も多いでしょう。

会の事前アンケートでは、医療現場でのコミュニケーションについて「難しい」と感じている人が多数を占め、その難易度は5段階中「4」という結果でした。また、「自分だけが悩んでいるのではないかと感じていた」「医師の気持ちが分からず、距離を感じていた」といった声も寄せられています。

こうした背景から、このイベントは、医師側の視点である「プロフェッショナリズム」と、患者側の視点である「患者力(エンパワメント)」の両方を学び、対話を通じて相互理解を深めることを目的として企画されました。

第1部:聞く時間〜専門家の視点からひも解く「相互理解」

1.「お医者さんのきもち」を知る

第1部では、まず当会顧問の小児科医、佐藤泰征医師が登壇しました。佐藤医師は、診療時間の制約や電子カルテ入力などの業務負担が、医療現場でコミュニケーションを難しくする背景にあると説明しました。そして、医師の「医学的視点」と患者さんの「生活者としての視点」の間に生まれやすい「認識のズレ」について解説。

近年重要視されている「シェアード・デシジョン・メイキング(SDM/共同意思決定)」についても紹介され、医学的根拠を大切にしつつ、患者さんの価値観や生活背景を尊重し、医師と患者が対等な立場で治療方針を決めていく考え方が示されました。医師の「プロフェッショナリズム」には、専門知識や技術だけでなく、ヒューマニズムや説明責任、利他主義が含まれることにも触れ、「患者さんからの言葉は、医師を成長させる宝物です」と語り、対話の積み重ねが医療を育てていくことの大切さを伝えました。

参加者からは、「医師も一人の人間なのだと感じ、心の距離が縮まった」「次の診察では、もう少し自分の思いを伝えてみようと思えた」といった声が寄せられ、医師の人間的な側面に触れることが、対話への一歩につながることが共有されました。

2.「患者力(エンパワメント)」を養う

続いて登壇したのは、メディカルソーシャルワーカーであり行政書士でもある山田純一氏です。山田氏は、「患者力(エンパワメント)」を、医療と患者が協力するために欠かせない視点として解説しました。

患者力は、次の4つの要素から成り立っています。

  1. 情報理解力
  2. 意思決定力
  3. 自己管理力(セルフマネジメント)
  4. コミュニケーション力

山田氏は、「医療を“任せる”から、医療と“共同する”へ」という意識の転換が、治療の質だけでなく、生活の質(QOL)の向上にもつながると語りました。

アンケートでは、「医師と患者、双方の立場が分かり、ズレが悪意ではないと気づいた」「逃げずに学び、向き合うことの大切さを感じた」といった感想が多く寄せられました。

第2部:考える時間〜夢を語る「マイレポート」の活用

第2部では、会の代表である佐久間しほこ氏と3名の患者さんが登壇し、座談会形式でコミュニケーションツール「マイレポート」の活用について意見交換を行いました。

「マイレポート」は、症状や困りごとだけでなく、「将来やりたいこと」「大切にしている価値観」といった前向きな希望を可視化するツールです。これを使うことで、自分の思いを整理し、医療者に伝えやすくなります。

「Hokkaido Syoni Kogen My Report」と題された冊子

参加者からは、「『子どもと走りたい』『復職したい』といった目標を主治医に伝えることで、治療を一緒に考えられるようになった」「病気の重さに関わらず、それぞれに“しんどさ”があると分かり、気持ちが楽になった」といった声が寄せられました。また、学校復帰や就労といった人生の転機において、自分自身を守り、伝えるためのツールとしての有用性も改めて実感する声が聞かれました。

事務局からのメッセージ〜4周年を迎えて

北海道小児膠原病の会は、この4年間で多くの小児膠原病を抱えるお子さんとご家族に出会ってきました。事務局からも、イベントを通じて「医師も一人の人間だと感じられた」「自分の思いを伝えてもいいのだと思えた」「一人ではないと感じられて安心した」という多くの声が寄せられたことに、深い喜びが感じられます。

改めて強く感じたのは、患者さんは決して、治療を受けるだけの受け身の存在ではないということです。そして医師もまた、私たちを「一人の人間として、生活者として理解したい」と願っています。私たちが「どう生きたいか」「何を大切にしたいか」を語ることは、わがままではありません。それは、最良の治療プランを一緒に考えるための、大切な情報なのです。

「自分だけが悩んでいるのではないか」「こんなことを聞いてもいいのだろうか」

もしあなたがそう感じているなら、どうか一人で抱え込まないでください。北海道小児膠原病の会は、あなたの「きもち」を言葉にし、未来への希望を共有できる場所でありたいと願っています。これからも、子どもたちが自分らしく将来の夢を描ける社会を目指し、皆さんと共に歩んでいくことでしょう。

※今回のイベントは、札幌市まちづくり活動促進助成金の支援を受けて開催されました。

北海道小児膠原病の会について

北海道小児膠原病の会は、小児膠原病を抱える子どもたちとその家族が、病気を正しく学び、安心して交流できる場を提供する患者会です。オンライン交流会(毎月実施)やLINEオープンチャットの運営の他、新千歳空港でのパネル展など、社会に向けた啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

会費はかからず、北海道にお住まいの方だけでなく、全国からの参加も可能です。患者さんやそのご家族だけでなく、患者さんを支援したいと願う方も参加できます。

  • 名称: 北海道小児膠原病の会

  • 代表: さくま しほこ

  • 主な活動内容:

    • オンライン交流会(毎月実施)

    • LINEオープンチャット

    • 情報発信

    • 啓発活動

  • 公式HP: https://www.h-syonikogen.com/

  • 本件に関するお問い合わせ先:

    • 北海道小児膠原病の会 事務局

    • Email:hokkaido.syoni.kogen@gmail.com