コロナ禍で失われた”歩く力”の現実
ここ数年、コロナ禍の影響で外出が減り、「運動不足だな」と感じた人も多いのではないでしょうか。気づかないうちに、私たちの体にはこんな変化が起こっているかもしれません。
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筋肉が減って、体が重く感じるようになった
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基礎代謝が落ちて、太りやすくなった気がする
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姿勢が悪くなって、肩こりや腰痛が増えた
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歩くのが億劫になり、疲れやすくなった
特に注目したいのは、体の奥深くにある「インナーマッスル」です。これらの筋肉は、私たちの姿勢を支え、効率よく歩くために非常に重要な役割を担っています。運動量が減ると、このインナーマッスルが衰え、体の不調につながることが少なくありません。
健康の鍵を握る「腸腰筋」ってどんな筋肉?
インナーマッスルのなかでも、特に私たちの「歩く力」に深く関わっているのが「腸腰筋(ちょうようきん)」です。この筋肉は、背骨、骨盤、そして股関節をつなぐ、まさに体の中心にある大切な筋肉。上半身と下半身を結ぶ役割を果たし、私たちの体を安定させています。
歩くときに脚を前へ振り出す動作や、正しい姿勢を維持するためには、この腸腰筋がしっかり働いていることが欠かせません。近年では、基礎代謝の向上、良い姿勢の維持、歩行能力の改善、さらには転倒予防との関連も注目されています。病気で体力が落ちている方こそ、この筋肉の重要性を知っておくべきでしょう。
長時間座りっぱなしの生活では、この腸腰筋が硬くなり、本来の働きを失いやすくなります。すると、次のような問題につながることが考えられます。
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猫背になり、見た目だけでなく呼吸もしにくくなる
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歩幅が狭くなり、ちょこちょこ歩きになる
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疲れやすくなり、少し歩くだけでも息が上がる
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腰痛が起こりやすくなる
「もしかして、私にも当てはまるかも…」と思った方、安心してください。今からでも対策できますよ。大切なのは、まず自分の体の状態に気づくことです。
「鍛える前にほぐす」が大切な理由
運動と聞くと、「つらい筋トレをしなければ」と構えてしまう方も多いかもしれませんね。しかし、カチカチに硬くなった筋肉をいきなり鍛えても、十分な効果は得られにくいものです。むしろ、無理な運動は体を痛める原因にもなりかねません。
まずは、筋肉をゆっくりと伸ばし、本来の柔らかさと動きを取り戻す「ほぐす」ことから始めるのが大切なんです。筋肉がほぐれて柔軟性が高まれば、その後の運動の効果もぐっと上がります。病気と向き合いながら運動を始める場合、この「ほぐす」というステップは特に重要です。
たとえば、エクササイズバンドのような軽い負荷の道具を使うと、目的に応じて様々な使い方ができます。
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ほぐす運動: 軽い負荷で、ゆっくり大きく体を動かしましょう。呼吸を止めずに、リラックスして行うのがポイントです。硬くなった筋肉を優しく伸ばしてあげてください。
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鍛える運動: 適度な負荷を感じながら、正しいフォームを意識して繰り返し行います。無理のない範囲で、少しずつ回数を増やしていくのがおすすめです。
このように、「ほぐす」と「鍛える」の両方を意識することで、筋肉の質を高め、より健康的な体へと導くことができます。焦らず、自分のペースで取り組んでいきましょう。

歩行を支えるもう一つの重要な筋肉「中殿筋」
お尻の横にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」も、健康寿命に深く関わる非常に大切な筋肉です。この筋肉には、次のような重要な働きがあります。
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片脚立ちをしたときに、体をしっかりと支える
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歩行時に体のバランスを安定させ、ふらつきを防ぐ
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転倒のリスクを減らす
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膝や腰への負担を軽減する
もしこの中殿筋が弱くなってしまうと、次のような変化が現れることがあります。
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ふらつきやすくなり、歩くのが怖くなる
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歩く速度が遅くなり、移動に時間がかかるようになる
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膝の痛みが出やすくなる
年齢を重ねても、そして病気と向き合いながらも元気に歩き続けるためには、腸腰筋だけでなく、この中殿筋も意識した運動が大切です。簡単な横向きの足上げ運動などでも鍛えられますので、ぜひ試してみてくださいね。
「健康寿命」より大切かもしれない「歩行寿命」
最近、「人生100年時代」とよく耳にしますよね。平均寿命は年々延びていますが、ただ長生きするだけでなく、「自分の足で元気に歩ける期間」や「誰かの助けを借りずに自立した生活を送れる期間」も同じように延びているわけではないのが現実です。
日本では、健康寿命と平均寿命の間に、男性で約8年、女性で約11年もの差があるとされています。つまり、多くの人が人生の最後の数年間を、何らかの支援や介護を受けながら過ごしているのです。病気で苦しんでいる方にとっては、この期間がさらに長くなる可能性も否定できません。
だからこそ、「長生きすること」と同じくらい、いや、それ以上に「長く自分の足で歩き続けられること」、つまり「歩行寿命」が重要になります。自分の足で歩けることは、行動範囲を広げ、社会とのつながりを保ち、心の健康にも大きく貢献してくれるでしょう。
なぜ人間は歩き続けられるのか
人類は進化の過程で「二足歩行」という素晴らしい能力を獲得しました。歩くことは単なる移動手段ではありません。私たちの全身の健康に良い影響を与えてくれる、まさに「究極の健康法」なんです。
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筋肉の維持: 歩くことで全身の筋肉が使われ、筋力低下を防ぎます。
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脳の活性化: 歩行は脳に良い刺激を与え、思考力や記憶力を保つのに役立ちます。
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心肺機能の向上: 有酸素運動であるウォーキングは、心臓や肺の機能を高め、疲れにくい体を作ります。
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生活習慣病の予防: 血糖値や血圧のコントロール、コレステロール値の改善にもつながります。
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認知症リスクの低下: 定期的な運動は、認知症の発症リスクを下げる可能性もあると言われています。
病気と向き合いながらでも、少しずつ歩くことを習慣にすることで、体も心も元気になれるはずです。無理なく、できる範囲で、毎日の一歩を大切にしてみませんか?
高齢化社会で増える「フレイル」と「ロコモ」
年を取ると、誰でも筋力が落ちたり、活動量が減ったりしますよね。これが重なると、「フレイル」と呼ばれる、心身が衰えやすい状態に近づいてしまいます。フレイルは、病気や介護が必要になる前段階とも言える状態です。病気を持つ方にとっては、さらに注意が必要な状態と言えるでしょう。
また、骨、関節、筋肉といった運動器の衰えによって移動能力が低下する状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といいます。ロコモが進行すると、次のようなリスクが高まります。
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転倒して骨折しやすくなる
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日常生活に支障をきたし、外出が困難になる
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最悪の場合、寝たきりになってしまう
生活習慣病の対策だけでなく、ロコモ対策も同時に行うことが、これからの健康管理には欠かせません。日々の運動で、これらのリスクを減らすことができます。
これからの健康管理は「自分で測り管理する時代」
「自分の健康は自分で守る」時代になってきましたね。最近は、スマートウォッチなどのウェアラブル端末がとても便利です。これらを活用すれば、次のようなデータを手軽に記録できるようになりました。
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歩数
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心拍数
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睡眠時間
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消費カロリー
これらの数字を「見える化」することで、自分の体の状態を客観的に知ることができます。例えば、「今日は目標の歩数まであと少し!」なんて、ゲーム感覚で運動を続けるモチベーションにもつながりますよ。病気と向き合いながらも、自分の体の変化を把握し、小さな目標を達成していくことは、大きな自信にもなるはずです。
健康管理は医療機関だけで行うものではなく、日々の生活の中で自分自身が体の状態を知ることが、とても大切なんです。ぜひ、あなたに合った方法で、自分の健康を見える化してみてください。
運動療法のゴールは「人生最後の日まで歩くこと」
「病気を治す」「血圧を下げる」「血糖値をコントロールする」…もちろんこれらも大切です。でも、本当に目指したいのは「人生の最後まで、自分の足で元気に歩き続けられること」ではないでしょうか。自分の足で歩けることは、何よりも自由で、豊かな人生を過ごすための基盤となります。
そのためには、特別なことではなく、毎日のちょっとした積み重ねが重要です。
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毎日少しでも歩く習慣を続ける
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筋肉を維持するための軽い運動を取り入れる
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良い姿勢を意識する
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転ばないように注意し、安全な歩行環境を整える
病気でつらい時もあるかもしれませんが、諦めずに、できることから始めてみませんか?今日、一歩多く歩くことが、未来のあなたの健康への、最高のプレゼントになるはずです。小さな一歩が、きっと大きな変化につながります。

第6回ようが健幸教室のご案内
もっと詳しく知りたい、実際に体を動かしてみたいという方へ、用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニックの菊池真大院長が講演する「第6回ようが健幸教室」が開催されます。
今回は「気候変動を考慮した運動療法の提言 ~実践編~」をテーマに、安全で効果的な運動習慣について、実際に体を動かしながら学べます。病気と向き合う方にとっても、具体的な実践方法を知る良い機会となるでしょう。
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開催日程:2026年11月14日(土)14:00~15:30
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参加費:予約不要、無料
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開催場所:玉川区民会館(玉川総合支所4階)第1集会室
- 世田谷区等々力3-4-1(東急大井町線等々力駅からすぐ)
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お問い合わせ:03-3702-1675
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講演者:菊池 真大(きくち まさひろ)院長
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用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長 / 医学博士
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日本医師会認定健康スポーツ医、健康運動指導士の資格を持ち、医学的根拠に基づいた運動療法を提案されています。
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