「フレイル」って、どんな状態のこと?

まず、私たちの未来を考える上で大切なキーワードが「フレイル」です。

「フレイル」という言葉、聞いたことがありますか?

簡単に言うと、フレイルとは「このままだと介護が必要になるかもしれないけど、今ならまだ元気な状態に戻れる」という段階のこと。つまり、「ただ年を取った状態」とは少し違います。

例えるなら、フレイルは「要介護」というゴールに向かう途中で点灯する「黄色信号」のようなもの。赤信号(要介護)になってから、どれだけリハビリや治療を頑張っても、完全に元の状態に戻るのはとても大変です。だからこそ、まだ引き返せる「黄色信号」の段階で気づくことが、何よりも大切なんです。

フレイルには3つの側面がある

フレイルには、主に3つの側面があります。

  1. 体の衰え(身体的フレイル)

    • 歩くのが遅くなった

    • 疲れやすくなった

    • 体重が減った

    • 握力が弱くなった

    • ちょっとした段差でつまずきやすくなった

    こうした体の変化は、筋力の低下や運動不足が原因であることが多いです。例えば、買い物に行くのが億劫になったり、掃除が大変になったり、日常生活に少しずつ影響が出てきます。

  2. 心の衰え(精神・心理的フレイル)

    • 最近、気分が落ち込みがちだ

    • 何をするにも気力がわかない

    • 楽しいと感じることが減った

    • 不安を感じることが増えた

    心の元気がないと、外出する意欲がなくなったり、人との交流を避けがちになったりします。これは、認知機能の低下にもつながる可能性があり、見過ごせないサインです。

  3. 人とのつながりの衰え(社会的フレイル)

    • 外出する機会が減った

    • 友達や家族と会うことが少なくなった

    • 趣味の集まりに参加しなくなった

    • 社会との接点が減った

    人と交流する機会が減ると、情報が入ってこなくなったり、孤立感を感じやすくなったりします。これが、さらに身体的・精神的なフレイルを進行させる悪循環に陥ることも少なくありません。

これらの変化が重なると、人は少しずつ介護に近づいていきます。だからこそ、しっかり食べること、体を動かすこと、人と会うこと、楽しみを持つことが、とても大切になるのです。

フレイル予防

「健康寿命」って、意外と短いって知ってた?

日本人は世界的に見ても長生きです。人生100年時代、なんて言葉もよく聞きますよね。でも、「長く生きること」と「元気に生きること」は、実は同じではありません。

ここで大切なのが「健康寿命」という考え方です。

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。厚生労働省の資料によると、2022年の日本人の健康寿命は、男性で72.57歳、女性で75.45歳とされています。

平均寿命が男女ともに80歳を超えていることを考えると、健康寿命との間には約10年もの差があることになります。「人生100年時代」と言われるのに、70代前半で「元気に動ける時間」が終わってしまうかもしれない…そう考えると、ちょっと驚きませんか?

行きたい場所、会いたい人、楽しみたいこと、自分らしく生きたいという願い。それがあるなら、未来はただ受け身で待つものではありません。

正しい知識を得て、備えて、健康に投資する。未来を少しでも良い方向に変えていく。この意識こそが、私たちの未来を豊かにする鍵となるでしょう。

目にもフレイルがある?それが「アイフレイル」

さて、この「フレイル」という考え方、実は「目」にも当てはまるんです。それが「アイフレイル」という概念です。

アイフレイルとは、年齢とともに目の力が落ちてきて、日常生活で困りごとが出始める状態のこと。「見えにくいけど、年のせいかな」「少しかすむけど、まだ大丈夫かな」「暗いところが見えにくいけど、こんなものかな」そう思って放っておくのが、実は一番危険なんです。

初期の段階では自覚症状が少ない病気もあります。例えば、白内障、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などは、気づかないうちに進行していることがあります。そして、症状が進んでから気づくと、治療しても完全に元の状態に戻せないことも少なくありません。

こんな症状があったら要注意!アイフレイルのサイン

もし、あなたの目にこんな変化があったら、それはアイフレイルの危険信号かもしれません。

  • 見えにくさ:以前より物が見えにくくなった、視力が落ちた気がする

  • かすみ:霧がかかったようにぼやけて見える

  • まぶしさ:光が以前よりまぶしく感じる、夜間の車のライトが特に気になる

  • もののゆがみ:直線が波打って見えたり、物がゆがんで見えたりする

  • 視野の欠け:物の一部が見えなくなったり、視野の端が見えにくかったりする

  • 段差の分かりにくさ:足元の段差が見えにくく、つまずきやすい

  • 暗い場所での見えにくさ:薄暗い場所で物が見えづらい、夜間の運転が怖い

  • 左右差:片方の目だけ見え方がおかしい気がする

これらの変化は、「年のせい」で済ませてはいけない大切なサインです。放置すると、取り返しのつかないことになるかもしれません。少しでも気になることがあれば、専門家に相談することが重要です。

目の衰えは、全身に広がるってどういうこと?

「アイフレイル」がなぜそんなに重要なのでしょうか?それは、目の問題が、決して目だけで終わらないからです。目の衰えは、全身の健康状態にまで影響を及ぼす、連鎖反応の始まりになることがあります。

想像してみてください。目が見えにくくなると、どんなことが起こるでしょう?

  • 外出が億劫になる、歩く量が減る

    • 「足元が見えにくいから、外に出るのが怖い」「人混みでぶつかりそうになる」といった不安から、だんだん外出を避けるようになります。運動量が減ると、筋力低下が進み、身体的フレイルへとつながります。
  • 転倒のリスクが増える

    • 段差や障害物が見えにくくなるため、つまずいたり転んだりする危険性が高まります。転倒による骨折は、そのまま寝たきりにつながることもあり、非常に危険です。
  • 読書や趣味が楽しめなくなる

    • 新聞や本を読むのがつらくなったり、手芸や料理といった細かい作業が必要な趣味ができなくなったりします。これは、精神的フレイルにつながり、生きがいや楽しみが失われる原因になります。
  • 人との交流が減る

    • 顔が見えにくい、文字が読めないといったことから、友人との会話が減ったり、社会活動への参加をためらったりするようになります。孤立感を感じやすくなり、社会的フレイルへと進行する可能性があります。

このように、目が見えにくくなることで、活動量が減り、心も沈みがちになり、人とのつながりも希薄になる…という負の連鎖が起こることがあります。結果として、身体的、精神的、社会的なフレイルが進行し、要介護へと一直線に進んでしまうリスクが高まるのです。

だからこそ、目を守ることは、単に視力を守るだけではありません。自分の足で歩く力、好きなことを楽しむ力、人とつながる力、そして何よりも自分らしく生きる時間を守ることにつながっているのです。

まずは、自分の見え方を確認することから始めよう

アイフレイルを防ぐための第一歩は、なによりも「自分の見え方の変化に気づくこと」です。

「なんだか最近、見え方が違うな」「前はもっとはっきり見えていたのに」といった些細な変化でも、見逃さないことが重要です。

本来は、定期的に眼科検診を受けていただくのが理想です。しかし、しばらく眼科検診を受けていないという方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、まず一度、ご自身の見え方を確認してみてください。

例えば、片目ずつ目を閉じて、物を見る。左右で見え方に違いはないか?ゆがみはないか?暗さや欠けて見える部分はないか?といったことをチェックしてみるだけでも、気づきがあるかもしれません。

もし、少しでも「おかしいな」と感じたら、「年のせい」で済ませずに、ぜひ眼科で専門医に確認してもらいましょう。早期発見・早期治療が、未来のあなたを守るための大切な一歩となります。

未来を変える第一歩は、今の自分の状態に気づくことから始まります。目の衰えを放っておかないこと。それは、これからの体と心と暮らしを守るための、大切な一歩なのです。


医療法人社団久視会 いわみ眼科

Iwami Eye Clinicロゴ

理事長:岩見 久司(医学博士・日本眼科学会認定 眼科専門医)
所在地:兵庫県芦屋市公光町11-2 CH158 BLDG HANSHIN ASHIYA 2F
公式サイト:https://iwami-eyeclinic.com/
TEL:0797-35-0183