足のだるさ、むくみ…もしかして「下肢静脈瘤」のサインかも?

「なんだか足がだるい」「夕方になるとむくみがひどい」「こむら返りが頻繁に起こる」――こんな足の悩みを抱えている方は少なくないでしょう。これらの症状は、単なる疲れや体質だと思われがちですが、実は「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という病気が原因かもしれません。

コヴィディエンジャパン株式会社が全国の30代以上の男女6万人を対象に実施した「足の不調と疾患/下肢静脈瘤に関する意識調査2025」では、下肢静脈瘤の一般的な認知度や症状の有無、そして治療に対する意識と実態が明らかになりました。この調査は2021年以来4年ぶり5回目となり、多くの人々の足の健康への関心が高まっている中で、重要な示唆を与えています。

症状を感じている人は約1割、女性に多い傾向

調査によると、「血管が以前と比べ透けて見える」「血管が浮き出ている」「血管にコブのようなものができている」といった下肢静脈瘤が疑われる症状を感じたことがある人は、全体の9.1%に上ります。特に女性では12.5%と、男性の5.3%に比べて高い有症率が示されています。これは、妊娠・出産が下肢静脈瘤のリスク要因の一つであることと関係しているのかもしれません。

「病気」だと知らない人が多数、治療できることも意外と知られていない

下肢静脈瘤の認知度は全体で19.0%と依然として低い水準にあります。2021年の調査(22.4%)と比較しても減少傾向が見られ、この病気が十分に知られていない現状が浮き彫りになりました。症状を実際に経験している人に限っても、認知度は47.3%と約半数にとどまっています。

さらに驚くべきは、下肢静脈瘤について知っていたり、聞いたことがあったりする人でも、「病院で治療できる」ことを知っているのはわずか32.0%という点です。多くの人が、この病気は自然に治るものだと思ったり、体質だから仕方がないと諦めてしまったりしている可能性があります。しかし、下肢静脈瘤は自然に治ることはなく、ゆっくりと進行していく病気なのです。

下肢静脈瘤の認知状況(病名の認知度)

下肢静脈瘤について知っていること 上位10項目

長年症状を放置し、生活の質(QOL)低下に悩む人々

下肢静脈瘤が疑われる症状が3年以上続いている人は57.5%にものぼり、1年以上症状を抱えている人は77.4%に達します。これほど長く症状と付き合っているにもかかわらず、医師に相談したことがある人は全体の29.5%にとどまっています。特に女性では25.3%と低く、男性の40.4%と比較しても、女性の方が一人で悩みを抱え込みやすい傾向が見られます。

医師への相談状況

症状が続いた期間

医師に相談しない理由として最も多かったのは、「日常生活での不便が特にないから」(57.1%)でした。次いで「放っておいても、改善する、または悪化しないと思ったから」(34.3%)、「なんとなく面倒だから」(32.7%)が続きます。これらの結果から、多くの人が下肢静脈瘤を病気として認識しておらず、その体への負担や将来的なリスクを十分に理解していないことが伺えます。

お茶の水血管外科クリニックの広川雅之先生は、「放置することで、知らず知らずのうちに心身ともに負担がかかり、QOL(生活の質)を下げていることが少なくありません。まずは下肢静脈瘤が治療できるということについて認知を広めていくこと」の重要性を指摘しています。

症状があったのに受診したことがない理由 上位7項目

若い男性も見た目や行動に悩みを抱えている

下肢静脈瘤の症状による困りごとや不満は多岐にわたります。全体では「人前で足を出すのが恥ずかしい」(46.3%)、「老けてみえる」(46.3%)、「長時間立っているような用事があると疲れきってしまう」(44.3%)などが上位に挙がっています。

注目すべきは、30代男性の意識の高さです。症状について「悩んでいる」と回答した30代男性は66.2%(全体39.8%)、「原因や病名を調べたい」は62.3%(全体47.0%)、「病院に行って相談したい」は55.8%(全体31.4%)と、全ての項目で全体を大幅に上回る結果となりました。

症状に対して思うこと

日常生活での困りごとでも、30代男性は特に見た目に関する悩みが顕著です。「自分が着たいと思う洋服を着にくい」が46.8%(全体23.7%)、「服装を選択する際、症状が目立たないように気にかける」が64.9%(全体38.8%)と、ファッションへの影響を強く感じています。また、「知人などから足の症状について指摘されたことがある」が54.5%(全体19.6%)、「不健康、病気っぽく見られるのではないかと思う」が55.8%(全体32.1%)など、他者の視線を気にする傾向も強く見られます。

さらに、「外出や歩くのが億劫になる、気が進まない」が46.8%(全体17.8%)、「やりたいアウトドアやスポーツがしにくい」が46.8%(全体15.2%)と、活動的な生活への影響も大きいことが示されています。身体的な不快感も強く、「足がだるかったり不快感もあり、夜すっきり眠れない」が54.5%(全体27.5%)、「朝方から頻繁に足がつることもあり、困る」が51.9%(全体32.3%)と、睡眠や体調にも影響を及ぼしているようです。

日常生活で困っている(困っていた)ことや不満に思っている(思っていた)こと

これらの結果は、下肢静脈瘤が年齢や性別を問わず、多くの人の生活の質に深く関わる問題であることを示唆しています。特に若い世代にとっては、見た目や活動への影響がより深刻な悩みに繋がりやすいのかもしれません。

諦めないで!下肢静脈瘤は治療できる病気です

下肢静脈瘤は、決して「我慢するしかない病気」ではありません。調査結果では、症状があることで困りごとや不満を感じている人の62.8%が、もし症状が解決できるなら病院で治療を受けたいと考えていることが明らかになりました。これは、多くの人が治療への潜在的なニーズを持っていることを示しています。

症状で困っているや不満に思うこと 上位7項目

症状を病院で治療することで困っていることや不満に思っていることが解決するとしたら今後病院で治療を受けたいと思うか

近年、医療技術は大きく進歩し、高周波やレーザーを用いた焼灼術、さらには医療用接着材を使った血管内塞栓術(グルー治療)など、より体への負担が少ない治療法が普及しています。これらの治療は日帰り手術が可能で、保険診療の対象となっています。痛みやダウンタイムが少ないため、仕事や家庭の都合に合わせて治療を受けることも可能です。

広川先生は、「治療により、見た目の悩みや身体の不快感から解放されて、これまで気付かぬうちに損なわれていたQOLが向上し、より前向きな毎日を送ることができるようになります。実際に、治療を受けた患者さんから『もっと早く相談していれば良かった』と言う声も多く聞きます」とコメントしています。何年も症状を放置している方も多い現状ですが、早めに治療を受ければ、その分早く快適な生活を取り戻せるでしょう。

下肢静脈瘤ってどんな病気?原因とリスク要因

下肢静脈瘤は、足の静脈にある弁の機能が低下することで起こる病気です。通常、この弁は血液が逆流するのを防ぐ役割をしていますが、弁がうまく閉じなくなると、血液が足に滞留し、静脈がコブのように膨らんでしまいます。これが足のだるさ、むくみ、こむら返りなどの慢性的な症状を引き起こす原因となります。重症化すると、皮膚炎や色素沈着、さらには潰瘍に進行する可能性もあります。

日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあります(2)。主なリスク要因は以下の通りです。

    • 出産経験: 出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータがあります(3)。妊娠中のホルモン変化により静脈が柔らかくなり、弁が壊れやすくなるためと考えられています。

    • 遺伝性: 両親ともに下肢静脈瘤の場合、その子供も90%の確率で発症するというデータもあります(4)。

    • 立ち仕事: 長時間同じ場所に立ってあまり動かない仕事に従事する人は発症しやすく、特に1日8時間以上立っている人は重症化しやすい傾向にあります(5)。

    • 肥満: 下肢静脈瘤を悪化させる要因の一つです(5)。

まずは専門医に相談を!

もし、足のだるさ、むくみ、血管の浮き出し、こむら返りなどの症状に心当たりがあるなら、それは下肢静脈瘤のサインかもしれません。放置せずに、一度専門の医療機関に相談してみることを強くおすすめします。

コヴィディエンジャパン株式会社が運営する疾患啓発サイト「知ってください下肢静脈瘤のこと」では、下肢静脈瘤の原因、診断、治療法、日常生活で気をつけることなどが分かりやすく解説されています。ぜひ参考にしてみてください。

調査概要

今回の調査は、『足の不調と疾患/下肢静脈瘤に関する意識調査2025』として実施されました。

    • 調査時期: 2025年10月14日~10月15日

    • 調査方法: インターネット調査

    • 調査対象者: 全国の30代以上の男女60,000人(男性28,536人、女性31,464人)

      • このうち、足の「血管が以前と比べ透けて見える」「血管が浮き出ている」「血管にコブのようなものができている」のいずれかの症状を有する2,477人(男性685人、女性1,792人)に対し、さらに詳細な調査を実施しました。

(1) 小西ら 2005年 西予地区コホート研究
(
2) 平井正文,久保田仁,川村陽一他 脈管学 28: 415-420, 1989
(3) 平井正文,牧篤彦,早川直和:妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261, 1997
(
4) Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology. 20: 346-55, 1969
(5) He, Q.F., Cai, J.Y., Cheng, M. et al. Global prevalence and risk factors of varicose veins among health care workers: a systematic review and meta-analysis. BMC Nurs 24, 550 (2025).
https://doi.org/10.1186/s12912-025-03155-0

コヴィディエンジャパン株式会社は、ヘルスケアテクノロジーをグローバルにリードするメドトロニックの傘下企業です。メドトロニックは「人々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす」というミッションのもと、心臓ペースメーカ、手術支援ロボット、インスリンポンプなど、多岐にわたる医療技術と治療法を提供し、世界中の人々の生活を支えています。