Kids Publicの10周年:オンラインで支え続けた家族の健康
Kids Publicは、2015年の設立以来、多くの家族の健康をオンラインでサポートしてきました。小児科医である橋本直也氏の実体験から生まれた「小児科オンライン」は、「病院で待っているだけでは健康は守れない」という切実な思いからスタートしました。
設立から「小児科オンライン」「産婦人科オンライン」へ
2016年に「小児科オンライン」がサービスを開始し、2018年には「産婦人科オンライン」も加わりました。これにより、妊娠・出産から子育てまで、切れ目のないサポート体制が整えられました。このサービスは、特に夜間や休日、あるいは核家族化で孤立しがちな子育て世帯にとって、大きな安心材料となりました。
自治体との連携とコロナ禍での貢献
サービスの価値はすぐに認められ、2018年には鹿児島県錦江町と埼玉県横瀬町が全国で初めて自治体として導入しました。これは、住民が抱える「相談できる場所がない」という悩みが、自治体の「地域医療の逼迫」や「子育て支援の不足」という行政課題と深く結びついていたからです。
2020年には、コロナ禍という未曾有の健康不安に対応するため、経済産業省からの委託を受け、全国民へ一時的な無償提供を実施しました。そして2022年には富山県が県単位で導入するなど、その輪は広がり、2025年12月時点ではなんと237もの自治体で導入されています。
相談件数と登録者数の実績
これまでの10年間で、Kids Publicのサービスは累計登録者数約15万人、累計相談件数は30万件以上という圧倒的な実績を積み重ねてきました。これは、多くの家庭がオンライン相談を通じて、子育てにおける不安や疑問を解消し、安心を得てきた証拠です。



オンライン相談がもたらす安心感:自治体の課題解決と早期発見の鍵
皆さんは、産後や子育て中のメンタルヘルスについて、どんな課題を感じていますか?
株式会社ジチタイワークスが2025年に行ったWebアンケート調査によると、自治体が抱える課題として「不調を抱える方を早期発見できない(34%)」と「住民が気軽に相談しにくい環境(28%)」が挙げられています。これは、多くの家庭が直面している現実を映し出しています。

早期発見とセーフティネットの役割
Kids Publicの「産婦人科・小児科オンライン」では、相談内容から虐待や産後うつ、育児不安などのリスクが疑われる場合、相談者が住む自治体へ連携する体制を整えています。この仕組みは非常に重要で、サービスがリスクを感知し自治体へ連携したハイリスク者のうち、実に70.7%がそれまで自治体による積極的な支援を受けていなかったことが分かっています。
これは、Kids Publicのサービスが、自治体が最も課題視する「不調を抱える方の早期発見」において、まさにセーフティネットとして機能していることを示しています。オンラインという手軽な窓口が、見過ごされがちなSOSをキャッチしているのですね。
利用者の満足度向上と気軽な相談環境
オンライン相談を導入した自治体からは、「来庁困難な住民への対応ができた(53%)」や「利用者の満足が向上した(33%)」といった声が上がっています。これは、時間や場所の制約なく相談できるオンラインの利便性が、住民の皆さんの「気軽に相談したい」というニーズにしっかり応えている証拠でしょう。

確かなエビデンスに基づく取り組み:科学が証明する安心
医療や健康に関わるサービスだからこそ、その効果が科学的に証明されていることは、私たち利用者にとって大きな安心材料ですよね。Kids Publicは、「成育過程の健康を守り、その向上に貢献する」というミッションを掲げ、医学的・科学的エビデンスに基づいたサービス提供を重視してきました。
多数の論文・学会発表
その結果、同社は10年間で論文発表20本(総説含む)、学会発表(招待講演等含む)61件という、目覚ましい実績を上げています(2025年12月時点)。これは、サービスが単なる便利さだけでなく、確かな効果を持っていることを裏付けています。
産後うつ病リスク軽減の研究成果
特に注目すべきは、横浜市と国立大学法人東京大学の研究チームが主体となって実施された「産後うつ病の症状予防におけるオンライン相談サービスの有効性(ランダム化比較試験)」です。700名以上を対象としたこの大規模な研究により、「産婦人科・小児科オンライン」を利用したグループは、利用していないグループに比べて、産後うつ病の高リスクとなる人の割合が33.5%減少したことが証明されました。
産後うつ病は、お母さんだけでなく、赤ちゃんや家族全体に影響を及ぼす深刻な問題です。オンライン相談がそのリスクを大きく減らせるというのは、本当に希望の光と言えるでしょう。

その他の実証実験の成果
Kids Publicは、他にも多角的な視点からオンライン相談の有効性を実証しています。
-
行政DXの推進: 東京都との実証実験では、オンライン相談の導入によって、既存の相談窓口単独の場合と比べて、産後住民の相談者数が3.1倍に増加しました。これは、潜在的な悩みを掘り起こす効果があることを示しています。
-
地域医療格差の是正: へき地での研究では、住民の「子どもの病気、妊娠、出産に関する疑問が解決できている」割合が2.1倍向上しました。これにより、地域による医療格差の是正に貢献できることが示されました。
-
小児の予防医療: 国立成育医療研究センターとの共同研究では、適切なスキンケア指導によって、生後4か月時点のアトピー性皮膚炎の有症率が13%低下するという成果も上げています。
これらのエビデンスは、Kids Publicのサービスが、私たちの健康と生活の質を向上させるために、いかに有効であるかを物語っています。病気や健康の不安を抱える皆さんにとって、このような科学的な裏付けは、サービスを利用する上での大きな信頼につながるはずです。
これからの10年:「成育過程」を支えるインフラへ
Kids Publicは、これまでの「妊娠・出産・子育て」に特化した相談窓口から、さらに一歩進んで、子どもが大人になるまでの「成育過程」全体を支える存在へと進化していきます。これは、私たち一人ひとりの健康を、より長く、より深くサポートしてくれるという、とても心強いビジョンです。
1. オンライン診療の新しい形「D to P with N」モデル
皆さんは、オンライン診療にどんなイメージがありますか?「自宅で手軽に診察を受けられるのは便利だけど、本当に大丈夫なの?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。
Kids Publicが実証を進めているのは、「D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)」という新しい小児オンライン診療モデルです。これは、看護師が常駐する公共施設などで、看護師が専用デバイスを使って患者さんのデータを取得し、遠隔地の小児科医がそのデータをもとにオンライン診療を行うという仕組みです。

このモデルの最大のポイントは、患者さんの側に看護師さんがいること。看護師さんがバイタルサインを測定したり、必要に応じてインフルエンザなどの迅速検査を行ったりすることで、医師はより詳細な情報を得て、より的確な診断と対応が可能になります。患者さんにとっても、看護師さんがそばにいる安心感は大きいでしょう。
そして、この取り組みにおける「場所は自治体が提供し、医療責任はKids Public関連医療施設が負う」という役割分担は、日本で初めての試みです。これにより、地域の中核病院や医師会に新たな負担をかけることなく、持続可能な小児医療体制が構築できると期待されています。医療格差のない未来に向けて、大きな一歩となることでしょう。
2. 自治体・地域連携のさらなる強化
オンラインだけでなく、地域に根差したリアルな支援も重要です。Kids Publicは、医療機関、ドラッグストア、産後ケア施設、病児保育施設など、地域の様々なリソースと連携を強化していきます。オンラインで受け止めた相談を、地域の適切な支援の場へ確実に繋げることで、地域全体で子どもの成長を見守り、新たな価値を生み出す仕組みを構築することを目指しています。
3. プレコンセプションケアの強化
「プレコンセプションケア」という言葉を聞いたことはありますか?これは、将来の妊娠を考えて、若い世代が今の自分の体と心を知り、生活を整えることです。将来の健やかな妊娠・出産につながり、次世代を担う子どもたちの健康の可能性を広げる、とても大切な考え方です。
これまで妊娠中、産後、育児期を中心にサービスを提供してきたKids Publicですが、これからは妊娠前の段階からのサポートも強化していきます。将来の妊娠や妊活に関する知識の提供はもちろん、男性も知っておくべきヘルスリテラシーの啓発など、幅広い情報提供が期待されます。
4. 思春期向けサービスの開発
子ども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現において、思春期世代の健康支援は非常に重要です。この時期の子どもたちは、親や学校には気軽に相談しにくいデリケートな悩みを抱えることも少なくありません。Kids Publicは、若者の自殺対策や性教育の領域も含め、思春期世代の悩みに寄り添える新しいサービスの開発に取り組んでいきます。もし今、誰にも言えない悩みを抱えている人がいたら、きっと頼りになる存在になることでしょう。
5. 安心と信頼を担保した、人とAIの共創
AIが日常に浸透する時代だからこそ、Kids Publicは「人間が介在する価値」を大切にしています。AIは便利なツールですが、生命や心に関わる医療・健康、育児といったセンシティブな領域では、正確な情報提供に加え、人の心に届く「手触り感」が不可欠です。
同社は、AIを否定するのではなく、AIと人間がどのように協力し、最大の価値を生み出せるかという挑戦を続けています。人が担うべき役割と、AIをはじめとするテクノロジーが担うべき役割。その最適解を探求し続けることで、私たちはより安心で信頼できるサービスを受けられるようになるでしょう。
社会全体で支える「成育過程」の健康:代表からのメッセージ
株式会社Kids Publicの代表であり小児科医の橋本直也氏は、「社会が成育過程の健康を守る」ことが当たり前の未来を目指すと語っています。
子どもが少なくなり、社会の課題が変化する時代において、一人ひとりが大切に育まれ、心身ともに健やかに過ごせる社会を築くこと。そして、課題を個人の責任にするのではなく、社会全体で解決していくこと。これこそが、Kids Publicが次の10年で実現したい姿です。
Kids Publicは、自治体や企業、そして私たち一人ひとりとともに、この国の未来をより良くするために歩んでいきたいと願っています。次の10年も、「成育過程の誰もが健やかに生きられる未来への旗振り役」として、その実現に向けて社会に発信し続けていくことでしょう。
もし今、病気や子育てのことで不安を感じているなら、Kids Publicのサービスが、皆さんの心強い味方になってくれるかもしれません。
株式会社Kids Publicについて
2015年に小児科医の橋本直也氏によって設立されました。2016年に「小児科オンライン」、2018年に「産婦人科オンライン」、2023年には「日中助産師相談」を開始。小児科医、産婦人科医、助産師が企業運営に直接関わり、24時間365日のオンライン相談体制を構築しています。230以上の自治体と連携し、遠隔医療の実証実験や研究にも注力。妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を通じて、誰もが成育過程を健やかに過ごせる社会の実現に貢献しています。
-
会社名:株式会社Kids Public
-
所在地:東京都千代田区神田美土代町11−8 SK美土代町ビル5階
-
代表者:橋本直也
-
設立:2015年
-
従業員数:35名(2025年12月現在)
-
所属医療者数:267名(2025年12月現在)
