「社会不安症」って、どんな病気?
社会不安症は、人前での行動や人との交流に対して強い恐怖や不安を感じ、それが日常生活に大きな支障をきたす心の病気です。思春期から青年期にかけて発症することが多いと言われています。具体的な症状としては、次のようなものが挙げられます。
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人前で話すことへの強い恐怖: 会議での発言、スピーチ、自己紹介など、人前で話す場面で極度の緊張や不安を感じ、声が震えたり、言葉が出なくなったりする。
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注目されることへの抵抗感: 食事中や作業中に他の人から見られていると感じると、手が震えたり、汗をかいたり、顔が赤くなったりする。
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他人の評価への過度な心配: 自分の行動が他人にどう評価されるかを常に気にし、批判されることや恥をかくことを極端に恐れる。
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症状に対する予期不安: 不安を感じる状況が来る前から、「またあの症状が出るのではないか」と強く心配し、その状況を避けるようになる。
これらの症状は、単なる「性格」の問題ではなく、心の働きに変化が起きている状態です。そのため、本人の努力だけで乗り越えるのは非常に難しいことがあります。
「ただの性格」じゃない!放っておくと大変なことに
「こんなの、みんなも同じでしょ?」「私が弱いだけだ…」そう思って、社会不安症の症状を一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。
しかし、朝倉聡 北海道大学保健センター教授・センター長は、社会不安症を長引かせることによって、うつ病やアルコール依存症といった他の精神疾患を引き起こしてしまう危険性があることを指摘しています。症状が慢性化すると、社会生活への参加がさらに困難になり、孤立感を深めてしまうことにもつながりかねません。
だからこそ、「ただの性格だから」と諦めずに、適切な対応を考えることが大切なのです。
一人で抱え込まないで!治療の選択肢
社会不安症は、適切な治療を受けることで改善が期待できる病気です。主な治療法としては、以下の二つが挙げられます。
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薬物療法: 不安を和らげる薬や、気分を安定させる薬などを使用し、症状の緩和を目指します。専門医の指導のもと、症状や体質に合わせた薬が処方されます。
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精神療法: 認知行動療法などが代表的です。不安を感じる状況や思考パターンを特定し、それらに対処するための具体的なスキルを身につけていきます。専門家との対話を通じて、少しずつ不安な状況に慣れていく練習をすることもあります。
これらの治療は、一人ひとりの症状の程度や生活状況に合わせて、組み合わせて行われることが一般的です。治療を通して、不安を感じる状況への対処法を学び、自信を取り戻していくことができるでしょう。
周りの人ができること、自分ができること
社会不安症で悩んでいる人が身近にいる場合、周囲の理解とサポートが非常に重要です。朝倉教授は、家族や周囲の方の接し方、そして生活する上でのアドバイスについても解説しています。
周りの人ができること
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無理強いをしない: 不安を感じる状況に無理やり押し込むのは逆効果になることがあります。本人のペースを尊重し、少しずつ慣れていけるような環境づくりを心がけましょう。
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話を聞いてあげる: 「大丈夫だよ」「気にしすぎだよ」と安易に励ますのではなく、まずは本人の「つらい」という気持ちに寄り添い、じっくり話を聞いてあげることが大切です。
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受診を勧める: 「社会生活に支障を来す程の症状があれば、心療内科や精神科を受診してほしい」と呼びかけられています。もし、周りに思い当たる症状のある方がいらっしゃる場合には、専門家への相談を優しく勧めてあげましょう。
自分ができること
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症状を記録する: どんな状況で、どんな症状が出るのかを記録することで、自分の不安のパターンを客観的に把握できるようになります。これは治療を進める上でも役立ちます。
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小さな成功体験を積む: 不安を感じる状況に、ほんの少しだけ挑戦し、うまくいった経験を積み重ねることで、少しずつ自信につながります。
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リラックス法を取り入れる: 深呼吸や瞑想、軽い運動など、自分に合ったリラックス方法を見つけて、日常的に取り入れてみましょう。
「あれ?」と思ったら、まずは相談を
日本医師会は、社会不安症が「多くの方が苦しんでいるにも関わらず、あまり知られていないことがあった」と述べています。そして、「最新号で『社会不安症』についてぜひ、知っていただき、周りに思い当たる症状のある方がいらっしゃる場合には医療機関への受診を勧めてほしい」と強くメッセージを送っています。
もし、あなたが社会不安症かもしれないと感じたり、身近な人にそれらしい症状が見られたりするなら、どうか一人で悩まずに、心療内科や精神科といった専門の医療機関を受診してみてください。きっと、あなたの心のSOSに耳を傾け、適切なサポートをしてくれるはずです。
もっと詳しく知りたい方へ
日本医師会が発行した「健康ぷらざPlus」の最新号では、社会不安症についてさらに詳しい情報が掲載されています。ぜひ、一度ご覧になってみてください。
- 健康ぷらざPlus最新号: https://www.med.or.jp/people/plaza/plus/vol12/
日本医師会について

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これらの情報源も活用して、社会不安症への理解を深め、自分や大切な人の心の健康を守るための一歩を踏み出しましょう。
