冬の朝、なぜ登校が遅れがちになるの?

この調査は、小学生から高校生の子どもを持つ保護者262名を対象に行われました。特に冬は、気温の低下や日照時間の短さが重なり、体のリズムが乱れやすい時期です。朝に血圧や体温が上がりにくく、起床や活動開始が困難になる「起立性調節障害(OD)」の子どもたちにとっては、冬は一層つらい季節となる傾向があると言われています。

この調査の目的は、冬の登校時間の変化やその背景にある要因、そして家庭でできる工夫を明らかにすることで、起立性調節障害への理解を深め、日々の生活での気づきにつなげることでした。

約半数の家庭が経験!冬の登校の遅れ

まず、「冬は、その他の季節と比べて登校時間が遅くなることがありますか?」という質問に対し、「ときどき遅くなる」が39.8%、「よく遅くなる」が5.7%と回答しました。この2つを合わせると、約45.5%の家庭で冬特有の登校の遅れが認識されていることがわかります。

冬は、その他の季節と比べて登校時間が遅くなることがありますか?

「うちの子だけじゃないんだ」と、少し安心した方もいるのではないでしょうか。多くの家庭が同じ悩みを抱えていることがわかりますね。

冬になると登校時間が少し後ろ倒しに

では、実際にどれくらい時間が変わるのでしょうか?

冬以外の季節では、お子さんが家を出る平均的な時間帯は「7時半〜8時前」が47.7%と最も多く、8割以上の家庭が8時前に家を出ていることがわかりました。

冬以外の季節で、お子さまが家を出る平均的な時間帯を教えてください

しかし、冬(12月〜2月)になると、「8時〜8時半前」に家を出る割合が15.6%から18.3%へとわずかに増加しています。全体的に見ると大きな変化ではないように見えますが、普段より少しだけ家を出る時間が後ろ倒しになる傾向が見られました。

冬(12〜2月)お子さまが家を出る平均的な時間帯を教えてください

遅れる一番の理由は「布団から出られない」

では、なぜ冬は登校が遅れてしまうのでしょうか?その理由を尋ねたところ、最も多かったのが「布団からなかなか出られない」で31.3%でした。次に「家の寒さで動き出しが遅れる」が19.2%、「二度寝してしまう」が10.3%と続きます。

冬に登校時間が遅くなる理由を教えてください

これらの結果を見ると、「寒さ」が起床時や起床後の行動に大きく影響していることがわかります。温かい布団から出たくない気持ち、寒い部屋で動き出しが鈍くなる感覚…大人でも経験がありますよね。子どもたちも同じように感じているのです。これは決して「怠け」ではなく、生理的な反応や環境要因が大きく関係していると言えるでしょう。

家庭でできる対策は?

このような冬の朝の悩みを解決するために、今後どんな対策を取り入れたいと考えているのでしょうか?

最も多かったのは「部屋を暖かくしておく」で23.6%でした。続いて「就寝時間を早める」が18.5%、「起床時間を早める」が12.0%と続きます。また、「子どもの体調に合わせて柔軟に対応する」という回答も11.6%ありました。

冬の登校時間に遅れないため、今後取り入れたい対策を教えてください

これらの対策は、どれもすぐに実践できそうなものばかりですね。特に、朝の部屋の温度を快適に保つことは、子どもがスムーズに布団から出て、活動を開始するための大きな手助けになるでしょう。また、睡眠時間の確保や、子ども一人ひとりの体調に合わせた柔軟な対応も、冬の朝を乗り切る上で大切なポイントです。

「怠け」ではなく「体のサイン」かも

今回の調査結果から、冬の登校の遅れは、寒さや睡眠リズムの乱れといった環境要因が大きく影響していることが明らかになりました。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会の代表理事である竹田浩一先生も、次のようにコメントしています。

「冬は気温の低下や日照時間の短さにより、体内リズムが乱れやすくなります。起立性調節障害(OD)の子どもは特に、朝に血圧や体温が上がりにくく『起きたくても体が動かない』という状態に陥りがちです。大切なのは、無理に急がせることではなく、環境を整えること。部屋を暖める、就寝時間を少し見直すなど、小さな工夫が朝の負担を軽減します。冬の登校の遅れは“怠け”ではなく、体からのサインであることを、ぜひ知っていただきたいと思います。」

起立性調節障害で悩む人を助けたい 一般社団法人 起立性調節障害改善協会 代表理事 竹田 浩一

このコメントからもわかるように、子どもが朝起きられないのは、決して「怠けたい」わけではないのです。体がうまく活動モードに切り替われない、体温が上がりにくい、といった体の状態が背景にある可能性があります。

起立性調節障害(OD)ってどんな病気?

ここで改めて、起立性調節障害(OD)について少し詳しく見てみましょう。

起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで、立ち上がったときに脳への血流が一時的に低下し、めまいや立ちくらみ、倦怠感、頭痛、朝起きられないといった症状が現れる病気です。特に思春期の子どもによく見られ、朝に症状が強く出ることが多いため、学校への登校が困難になることもあります。

冬の寒さは、血管を収縮させ、血流を悪くする傾向があるため、起立性調節障害の症状を悪化させやすいと考えられています。また、日照時間が短くなることで、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌リズムが乱れ、朝の覚醒がさらに難しくなることもあります。

もし、お子さんが冬だけでなく、一年を通して朝起きるのがつらそうだったり、めまいや頭痛、倦怠感を頻繁に訴えたりするようでしたら、起立性調節障害の可能性も考えて、一度専門機関に相談してみるのも良いかもしれません。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会では、起立性調節障害に関する詳しい情報や相談先を提供しています。

一般社団法人 起立性調節障害改善協会

今日からできる!冬の朝を快適にする工夫

今回の調査で挙げられた対策や、専門家のコメントを踏まえて、私たち保護者が家庭でできることを具体的に考えてみましょう。

  1. 部屋を暖かくしておく

    • 起きる時間の少し前に暖房が入るようにタイマーを設定しましょう。暖かい部屋なら、布団から出るのも少し楽になるはずです。エアコンだけでなく、ホットカーペットや電気毛布なども活用して、足元から体を温めるのも効果的です。
  2. 就寝時間を早める・起床時間を早める

    • 冬は日照時間が短いため、体が「まだ夜だ」と勘違いして、睡眠リズムが後ろにずれやすくなります。少しでも早く寝る習慣をつけることで、十分な睡眠時間を確保し、朝の目覚めを良くすることができます。また、起きる時間を少し早めに設定し、余裕を持って準備できる時間を作るのも良いでしょう。
  3. 寝室の温度・湿度を整える

    • 寝ている間の環境も大切です。寝室が寒すぎたり乾燥しすぎたりしないよう、適切な温度と湿度を保ちましょう。加湿器を使ったり、寝具を見直したりするのもおすすめです。
  4. 朝の日光を浴びる工夫をする

    • 朝の光は、体内時計をリセットし、体を活動モードに切り替えるスイッチの役割を果たします。カーテンを自動で開けるタイマーを使ったり、起きたらすぐにカーテンを開けて光を取り入れたりする工夫をしてみましょう。もし窓から十分な光が入らない場合は、光目覚まし時計などを活用するのも一つの方法です。
  5. 子どもの体調に合わせて柔軟に対応する

    • 何よりも大切なのは、子どもの体調や気持ちに寄り添うことです。「また寝てる!」と叱るのではなく、「今日はつらいんだね」と声をかけ、無理強いしない姿勢が子どもを安心させます。時には学校に遅刻連絡を入れるなど、柔軟な対応も必要かもしれません。
  6. その他、生活習慣の見直し

    • バランスの取れた食事、適度な運動、寝る前のスマートフォンやゲームの使用を控えるなど、基本的な生活習慣を整えることも、体のリズムを整える上で非常に重要です。

最後に

冬の朝、お子さんの登校の遅れに悩むのは、決してあなただけではありません。多くの家庭が経験していることであり、その背景には、寒さや睡眠リズムの乱れ、そして起立性調節障害といった体のサインが隠れている可能性があります。

「怠け」と決めつけずに、まずは子どもの体の声に耳を傾け、家庭でできる小さな工夫から始めてみませんか?部屋を暖かくしたり、就寝時間を少し見直したりするだけでも、朝の負担はきっと軽減されるはずです。

もし、色々な対策を試しても状況が改善しない場合や、お子さんの体調が心配な場合は、迷わず小児科や心身医療科などの専門医に相談してみてください。早期の発見と適切なサポートが、お子さんの健やかな成長につながります。

冬の厳しい寒さに負けず、子どもたちが元気に学校に通えるよう、私たち保護者も一緒にできることを探していきましょう。