医療従事者の「もっと寄り添いたい」という想い
訪問看護の現場では、療養者やそのご家族との「対話の質」が非常に重要視されています。しかし、言葉だけでは伝えきれない、あるいは言葉にするのが難しい状況も少なくありません。例えば、聴覚に障がいがある方、認知症の方、あるいは精神的な負担からうまく話せない方など、コミュニケーションに何らかの困難を抱える療養者もいらっしゃいます。
そんな中で、「もっと患者さんの心に寄り添いたい」「言葉の壁を越えて心を通わせたい」と願う医療従事者の努力が、今、形になり始めています。その一つが、2026年2月14日(土)に株式会社eWeLL本社で開催された手話体験イベント「手話ミライフェス 〜手でつながるコミュニケーション〜」です。

このイベントは、日本精神科訪問看護協会が主催し、在宅医療の質と生産性向上をDXで推進する株式会社eWeLLが共催しました。訪問看護師をはじめとする医療・福祉従事者や一般の方々が参加し、「相手を注視して意を汲み取る手話の特性」を通じて、言葉に頼らず相手と心を通わせるコミュニケーションを体験したのです。
手話に学ぶ、心と心をつなぐコミュニケーションの原点
手話の起源には諸説ありますが、16世紀のスペインの修道院で、「沈黙の誓い」を立てた修道士たちが、静けさの中で互いに意思疎通を図るために用いたジェスチャーがルーツの一つと言われています。この話からもわかるように、手話は聴覚障がいの有無にかかわらず、誰もが「心を通わせる」ために生まれたコミュニケーションツールなのです。
訪問看護の現場において、療養者との意思疎通は信頼関係構築の第一歩となります。医療的な処置だけでなく、多様な背景を持つ療養者やご家族一人ひとりの想いを汲み取り、日々の暮らし(療養生活)をより充実したものになるよう支える訪問看護師にとって、言葉で表しきれない相手の心の内までを深く読み解くことは、より質の高い支援を行うための重要なカギとなります。

手話は、単に言葉を手の動きに置き換えるだけではありません。表情や身体全体を使ってメッセージを受け取るプロセスは、まさに「傾聴」や「承認」といった非言語コミュニケーションスキルそのものです。相手の目を見て、心を傾け、全身から発せられるサインを読み取る。これは、日常のケアにおける観察力や共感力を高めるのに非常に適していると言えるでしょう。
このイベントでは、手話特有の「相手の目を見て、心を傾ける」プロセスを通じて、コミュニケーションの原点に回帰しました。参加者は、言葉の壁を越えて互いに向き合うことの大切さを再認識し、より深い相互理解への第一歩を踏み出す場となったことでしょう。

フェスで体験!「伝わった!」「つながれた!」喜びの声
「手話ミライフェス」では、参加者たちが実際に手話を体験できるプログラムが用意されました。日本精神科訪問看護協会所属の看護師である服部明日香氏が講師を務め、実践的な学びを提供しました。
プログラムの一つは「手話 歌チャレンジ」。西野カナさんの「Best Friend」を題材に、3つのグループに分かれてワンフレーズずつ手話で表現するリレーソングに挑戦しました。グループワークを通じて、参加者同士の一体感が生まれたことでしょう。歌に合わせて手話を表現することで、言葉のリズムや感情を手の動きに乗せる楽しさを感じた参加者も多かったに違いありません。

また、医療・福祉現場で実際に遭遇する場面を想定した「実践的ケーススタディ」も実施されました。挨拶、道案内、救急車要請など、具体的な状況設定の中で一対一の手話実践が行われました。これは、いざという時に手話でスムーズにコミュニケーションを取るための、非常に貴重な経験になったはずです。



参加者の多くは、「相手の立場をより深く理解したい」という思いや、「将来の聴覚障がい者対応に備えたい」という自己研鑽の意識を持ってこのイベントに参加されたそうです。会場は大いに盛り上がり、手話を介して「伝わった」「つながれた」という実感が、学びへの大きな手応えとして共有されました。
参加者からは、「なかなか上手くいかなかったのですが、皆さんと一緒にやれたこと、繋がれたことが、すごく楽しく充実した時間になりました。手話をもっと学びたいと思いました」という声が寄せられました。また、「コミュニケーションの幅が広がるのを感じ、伝えることの大切さを実感しました」との感想もあり、相手に向き合う姿勢そのものが学びになったことがうかがえます。
イベント後には、4月から本格的に手話勉強会への参加を決意する方も現れるなど、継続的な学習意欲が高まる機会となったことは、このフェスの大きな成果と言えるでしょう。
eWeLLが描く、テクノロジーと「人の温かさ」が融合する在宅医療
株式会社eWeLLは、「ひとを幸せにする」をミッションに掲げ、在宅医療のプラットフォーマーとして、全国47都道府県で6万3千人以上の看護師等の業務を支援し、延べ92万人以上の在宅療養者を支えています。同社が掲げる「在宅医療の質と生産性の向上」において、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化は重要な手段の一つです。
しかし、eWeLLが真に目指しているのは、事務作業などの負担を軽減することで、看護師や専門職の方々が療養者一人ひとりと向き合う「対話の時間」を創出し、その時間をより深く温かいケアに充てられる環境を整えることです。テクノロジーは、あくまで医療従事者が「人」と向き合う時間を増やすためのサポート役であり、決して人の温かい触れ合いを代替するものではない、という強い信念が感じられます。

手話を通じた「相手を見て、感じ取る」という学びは、療養者の言葉にならない想いを汲み取り、より質の高いケアを実現する一助となることでしょう。たとえば、聴覚に障がいを持つ方だけでなく、認知症で言葉が出にくい方や、痛みや不安で話すのがつらい方に対しても、表情や体の動き、雰囲気から心情を察する「非言語的コミュニケーション」のスキルは非常に有効です。
eWeLLは、このような手話体験イベントを共催することで、テクノロジーとヒューマンスキルの両面から、すべての人が安心して暮らせる地域共生社会の実現に貢献しようとしています。これは、医療の現場が単なる病気の治療だけでなく、一人ひとりの人生に寄り添う、より人間らしいケアを目指していることの表れだと言えるでしょう。

eWeLLは、訪問看護向け電子カルテ「iBow」や、地域全体の医療リソースを最適化し病院の退院支援を効率化するマッチングプラットフォーム「けあログっと」などを展開しています。これらのサービスは、医療従事者が本質的なケアに集中できる環境を作るためのものです。テクノロジーの進化が、人の温かみのあるケアを後押しする未来は、きっとすぐそこまで来ていることでしょう。
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eWeLL公式サイト: https://ewell.co.jp
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eWeLL IR情報: https://ewell.co.jp/ir
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iBow公式サイト: https://ewellibow.jp
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けあログっと公式: https://carelogood.jp

あなたの「伝えたい」が、きっと届く未来へ
病気や障がいと向き合う中で、言葉にできないつらさや不安を感じている方々へ。今回の「手話ミライフェス」は、医療従事者たちが、あなたの心に寄り添い、言葉の壁を越えて理解しようと努力していることの証です。
テクノロジーの力で効率化を進めながらも、最終的には「人」と「人」との温かいコミュニケーションを大切にする。そんな医療の未来が、着実に築かれつつあります。あなたの「伝えたい」という思いが、表情や仕草、そして医療従事者の温かいまなざしを通じて、きっと届く日が来るでしょう。そして、それがあなたの療養生活をより豊かで安心できるものにする一助となることを心から願っています。
