心臓リハビリテーションって、どんなこと?
「心臓リハビリテーション」、略して「心リハ」という言葉を耳にしたことはありますか?これは、心臓病を患った方が、病気を乗り越えて自分らしい生活を取り戻すための、いわば「心臓のための総合的なトレーニングプログラム」です。
具体的には、心不全、心筋梗塞、狭心症、そして心臓手術を受けた方などが対象となります。心リハの目的は、単に体力を回復させるだけではありません。病気の再発を防ぎ、再び入院するリスクを減らし、何よりも、患者さんが自信を取り戻して、快適な家庭生活や社会生活に復帰できるようサポートすることを目指しています。
心リハの3つの柱
心リハは、大きく分けて3つの大切な活動から成り立っています。
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運動療法
「心臓病なのに運動して大丈夫なの?」と不安に思うかもしれませんね。でもご安心ください。運動療法は、一人ひとりの患者さんの体の状態や心臓の機能に合わせて、専門のスタッフが慎重に計画し、サポートしながら行われます。安全な範囲で体を動かすことで、体力や持久力が向上し、日常生活での活動が楽になります。ウォーキングや自転車エルゴメーターなど、無理なく続けられる運動が中心です。体を動かすことで、血圧や血糖値の改善にも繋がり、心臓への負担を減らす効果も期待できます。 -
学習活動・生活指導
心臓病と上手に付き合っていくためには、病気に関する正しい知識と、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。この活動では、管理栄養士さんからバランスの取れた食事の摂り方について学んだり、薬剤師さんから薬の効果や飲み方、注意点について教えてもらったりします。また、喫煙や飲酒、ストレスなど、心臓病に影響を与える生活習慣についても、専門家と一緒に見直していきます。これらの知識を身につけることで、ご自身で病気を管理する力がつき、再発予防に繋がる大切な習慣を身につけることができるでしょう。 -
相談(カウンセリング)
病気と向き合う中で、不安や落ち込みを感じることは自然なことです。心リハでは、公認心理士などの専門家が、患者さんの心の状態に寄り添い、じっくりと話を聞くカウンセリングも行われます。心理的なサポートを受けることで、病気への向き合い方が前向きになり、心穏やかにリハビリに取り組むことができるようになります。心と体の両面からサポートすることで、より効果的な回復を目指します。
神奈川県で心リハを広げる「K-HOPEプロジェクト」
今回のプロジェクトは、神奈川県、特に湘南西部・県西・県央医療圏で暮らす皆さんの健康寿命を延ばし、心臓病の予防に貢献することを目指しています。この地域では、高齢者の人口が増え続けており、それに伴って心臓病で入院が必要な方が今後さらに増えていくと推計されています(出典:2014‐2023年度DPC導入の影響評価に係る調査 厚生労働省)。特に心不全の患者さんへの対応は、まさに今、力を入れるべき大切な課題だと考えられています。
このような背景から、東海大学医学部付属病院とバイエル薬品は、心臓リハビリテーションの重要性を広く知ってもらい、実際にリハビリを受けられる環境を整えるために手を取り合いました。この活動は「神奈川県心不全・心臓リハビリテーション アウトカム向上推進・教育事業」、通称「K-HOPEプロジェクト」と呼ばれています。
プロジェクトでは、心リハを実施している医療機関を「見える化」するためのマップ(WEB版と紙媒体)を作成したり、入院中から心リハの重要性を伝える啓発資材を制作したりします。これにより、患者さんはもちろん、医療関係者の皆さんも、心リハに関する情報をより手に入れやすくなるでしょう。

東海大学医学部医学科内科学系循環器内科学の伊苅裕二教授は、「心臓リハビリテーションは生活の質を向上させるだけでなく、病気の予後を改善する効果が明らかです。この連携を通じて、神奈川県における心リハの普及をさらに推進し、心疾患患者さんの生活の質の向上と予後の改善を目指します」と語っています。また、バイエル薬品の早崎剛典製品戦略本部長も、「心不全はバイエル薬品が注力する重要な疾患領域であり、この取り組みを通じて、より多くの心不全患者様の予後改善に一層寄与できることを期待しております」とコメントしています。
心臓リハビリテーションで、こんな「いいこと」が待っている!
心リハに取り組むことで、あなたの未来にはたくさんの「いいこと」が待っています。
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体力・持久力の向上:疲れにくくなり、日常生活が楽になります。
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再発や再入院のリスクが減る:病気と上手に付き合い、安定した状態を保つことができます。
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食事や服薬、体調管理のコツが身につく:ご自身で健康を守る力がつきます。
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趣味や外出がもっと楽しめるようになる:活動範囲が広がり、生活の質(QOL)が向上します。
心リハは、単なる治療の一環ではなく、あなたの人生をより豊かにするための投資だと言えるでしょう。
心リハを始めるにはどうしたらいい?
心臓リハビリテーションに興味を持った方、始めてみたいと感じた方は、まずはかかりつけのお医者さんに相談してみてください。心リハの適用になるかどうか、どのようなプログラムがあなたに合っているかなど、詳しくアドバイスしてくれるでしょう。
心リハには健康保険が適用されますが、期限(150日間)が設けられていますので、早めに相談することをおすすめします。専門の医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、公認心理士といった様々な分野の専門家がチームとなって、あなたの回復をサポートしてくれますよ。
明るい未来へ、一歩踏み出そう!
心臓病は、一人で抱え込むには大変な病気です。しかし、心臓リハビリテーションという心強い味方と、それを支える医療機関や企業の協力があれば、きっと明るい未来へと繋がる道が見えてくるはずです。
神奈川県で始まる「K-HOPEプロジェクト」は、そんな希望の光となるでしょう。病気で困っている皆さん、ぜひこの機会に心臓リハビリテーションについて知り、前向きに一歩踏み出してみてください。あなたの元気な笑顔が、また輝く日を心から願っています。
関連情報
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東海大学医学部付属病院: https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp/
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バイエル薬品株式会社: https://www.pharma.bayer.jp/ja/
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参考:2014‐2023年度DPC導入の影響評価に係る調査 厚生労働省
※上記リンクは2026年1月時点の情報です。
