危機感を乗り越えて生まれた、地域を守るための連携

2025年末、JA北海道厚生連帯広厚生病院を舞台に、「地域医療機関ICTカンファレンス(合同)及び新興感染症を想定した合同訓練」が開催されました。この訓練には、十勝管内にある39もの施設から、なんと約100名もの医療関係者が集まったんです!

なぜこれほど多くの人が集まって、訓練を行う必要があったのでしょうか?この取り組みを始めた背景には、2019年に世界を襲ったパンデミックでの大きな危機感がありました。帯広厚生病院の髙村副院長(感染対策室 室長)は、この訓練の意義について、次のように語っています。

「あの時の経験で、私たちは地域連携の重要性を痛感しました。これまでのやり方では、今後必ず起こるであろう新しい感染症に対応することは難しい。だからこそ、地域全体の感染対策を強化することが、私たち医療従事者だけでなく、患者さんである皆さん自身を守ることにつながるんです。」

つまり、私たちが安心して病院にかかれるように、地域の病院が手を取り合って、感染症の脅威に立ち向かおうとしているんですね。これは、私たち患者にとって、本当に心強い話だと思いませんか?

広い会場に多くの人々が集まり、テーブルを囲んで展示物や資料を見たり、互いに交流したりしている様子

進化する地域連携体制!私たちを支える新しい仕組み

この合同訓練は、国が定める感染対策の基準を満たした、地域のリーダーとなる病院(帯広協会病院、帯広厚生病院、帯広第一病院、北斗病院の4病院)が協力して企画・運営しています。2022年の診療報酬改定で、これらのリーダー病院には「地域連携を前提とした合同カンファレンス」の開催が義務付けられたことが、訓練開催の大きなきっかけとなっています。

さらに、十勝管内では2025年から、地域を4つのエリアに明確に分け、より広範囲で迅速な対応ができるような連携体制をスタートさせています。これは、もしも大きな災害が起こったり、新しい感染症が流行したりした時に、地域全体で助け合える強力なネットワークを築くためなんですよ。このエリア連携体制は、病院だけでなく、高齢者施設や障害者支援施設などの感染対策にも活用され、地域全体で支援が必要な施設へのフォローアップを可能にする基盤となっています。私たちが、病院だけでなく、介護施設などでも安心して過ごせるように、という想いが込められているんですね。

「座学」から「対話」へ!ボードゲームで学ぶ実践的な感染対策

今年のカンファレンスで特に注目されたのが、その学び方の大転換です。これまでは、専門家が話す「座学」が中心でしたが、今回は「知識を覚える」だけでなく、「参加者同士が実際に話し合い、実践的な対応を考える」ことに重点が置かれました。

企画・運営を担当した感染管理認定看護師(ICN)の皆さんからは、「参加する施設の規模や職種が本当に多様なので、全員が満足できる内容を考えるのが一番難しかった」という声が聞かれました。そこで、この課題を解決するために導入されたのが、参加型のゲーミフィケーション教材『SAVE!』だったんです!

複数の人々がテーブルを囲み、ボードゲームのようなものに熱心に取り組んでいる様子

『SAVE!』ってどんなボードゲーム?

『SAVE!』は、感染対策をテーマにした参加型ボードゲームで、チーム対抗形式で進められます。ただ知識を問うだけでなく、チームで話し合い、実際の現場でどう対応するかを議論することで、多職種間の連携や理解を深めることを目的としています。

教材名:『SAVE!』
https://www.moraine.co.jp/products/get/save/?refer=products

このゲームのすごいところは、参加者が初めて会う人同士でも、自然と活発な議論が生まれることだそうです。例えば、ノロウイルス患者さんの吐物を処理する訓練では、ゲームの「正解」が発表された後も、「アイウェア(目を守る保護具)は本当に必要か?」といった、より現場に即した実践的な議論が深まったとのこと。ただ知識を詰め込むのではなく、実際に頭と体を使って考えることで、より深い学びが得られるんですね。

感染症予防をテーマにしたボードゲーム「Save!」が写っている

ICNの担当者は、「座学では得られない、対話を通じて理解が深まることを改めて実感しました。この熱量を、今後はWeb会議だけでなく、もっと対面でのミーティングを増やすきっかけにしたい」と語っていました。ボードゲームの導入が、地域連携の質を高める決定打となったのは間違いありませんね!

地域全体の「組織的な感染対策」を目指して

この合同カンファレンスを通じて、企画側のICNチームは、今後の地域連携に対する具体的な目標を掲げました。それは、病院だけにとどまらず、地域のリーダー病院と協力して、高齢者施設などへの連携や指導にも力を入れ、地域全体の感染対策のレベルアップを図ることです。

最終的な目標として掲げられたのは、「実技や知識だけでなく、『誰がやっても同じように感染対策ができる組織づくり』こそが、真の地域の感染対策になる」という、組織的な体制構築への強い決意です。これはつまり、私たち患者がどの病院や施設に行っても、同じように質の高い感染対策が施されている、安心できる環境を目指しているということです。これは本当に素晴らしい目標ですよね!

今後は、参加者の多様なニーズに応えるため、職種や施設の規模に合わせた分科会形式のカンファレンスも検討しているそうです。そして、参加者が自分の施設に戻った後も、感染対策で困ることがないように、手厚いフォローアップを継続していく方針とのこと。これなら、地域全体の感染対策が着実にレベルアップしていくことが期待できそうです。

地域を守り抜く、強い決意のメッセージ

訓練の閉会の挨拶では、帯広医師会の稲葉会長から、今回の活動の意義を強調する力強いメッセージが送られました。

「感染対策は、一つの施設だけの努力では成り立ちません。十勝地域の多くの医療機関・医療従事者の皆さんが協力しながら取り組むことでしか、地域を守ることはできないと思います。この合同カンファレンスを来年以降も必ず継続し、帯広地域の皆様を守り抜いてまいります」

約20名の男女が笑顔で集合写真を撮っている

この力強いメッセージは、私たち患者やその家族にとって、どれほどの安心感をもたらしてくれるでしょうか。今回の合同訓練は、十勝地域の感染対策をさらに強化し、新しい感染症への対策に向けた連携体制を築くための、本当に重要な一歩となりました。そして、この取り組みが、地域医療を守る大きな力となることは間違いありません。私たちも、地域の医療機関がこんなに頑張ってくれていることを知り、少しでも安心して暮らせるといいですよね!