佐賀大学とスプライングローバルが共同で「喘息トランジション」大規模検証を開始
佐賀大学医学部看護学科、佐賀大学医学部附属病院 呼吸器内科、および嬉野医療センター小児科は、スプライングローバル株式会社と協力し、気管支喘息を持つ中高生を対象とした教育研究プロジェクトを実施しています。このプロジェクトは、科学研究費助成事業(基盤研究C)の助成を受け、2025年10月から2026年2月にかけて実施されており、日本最大級となる1,000名規模の中高生を対象とした「喘息トランジション」の大規模検証が行われています。
「トランジション」とは、小児期発症の慢性疾患を持つ患者が、小児医療から成人医療へ切れ目なく移行するための計画的・継続的・包括的なプロセスを指します。気管支喘息の治療において、保護者の管理を離れて自身で受診や服薬を行う「トランジション」は、将来の重症化を防ぐ上で極めて重要な課題とされています。
ICTを活用した中高生のセルフケア支援
本研究の背景には、中高生がタブレット端末を保有する佐賀県のICT環境があります。この環境を活かし、双方向型の動画体験を通じて、疾患の有無に関わらず生徒一人ひとりが喘息を「自分事」として捉え、適切な受診や他者理解へと繋がる行動変容を促すことを目的としています。
プロジェクトの主な特徴
本プロジェクトには以下の3つの特徴があります。
-
1,000名規模のビッグデータ解析
佐賀県内の約10校の中学校・高校の協力を得て、1,000名以上の生徒を対象とした大規模な介入研究が実現されています。学校現場の保健体育の授業や、オンライン学習プラットフォーム(Teams、Classi)を経由した実施など、多様なシーンで検証が進められています。 -
インタラクティブ動画による能動的な疾患理解の促進
気管支喘息をはじめとする疾患理解を深めるため、視聴者が動画内で選択肢を選んだり、理解度を確認するクイズに回答したりするインタラクティブ型動画コンテンツが採用されています。授業や視聴後のアンケートでは、「自分で操作しながら学べるため理解しやすい」「クイズを通じて知識を再確認できた」といった生徒からの声や、教員からも疾患教育における有効な教材であるとの評価が寄せられています。

- データに基づくエビデンスの構築
動画の再生完了率やクイズの正答率(合格率93%など)、視聴者がどの情報に関心を示したかといった詳細なログが解析され、定量的データに基づく教育効果の評価が行われています。
“通信・音響の壁”を乗り越える実装モデル
本プロジェクトを通じて、学校現場におけるICT活用の課題とその対策が明らかになりました。佐賀大学の大坪助教は、学校関係者と連携し、以下の制約を乗り越えるモデルを実装しました。
-
ネットワーク負荷の分散: 全校一斉視聴による通信障害を避けるため、クラス単位での時差視聴や、通信環境の良い場所(広場やPCルーム等)での分散実施が行われました。
-
音響課題への物理的支援: 教室内での個別視聴を円滑にするため、研究チームがすべての生徒分のイヤホンを用意し配布しました。これにより、ヘッドセット等の備品が不足する現場でも、生徒が学習に集中できる環境が整備されました。
-
多様な学習ニーズとライフスタイルへの対応: 医療系キャリアに関心を持つ生徒から、部活動や学業に励む生徒まで、多様な層を対象としています。学校での一斉実施に加え、教育プラットフォーム(TeamsやClassi)を通じた自宅視聴の選択肢を設けることで、生徒の自律的な学習(PBL)が促されました。
-
教員の事務負担を最小化する配信設計: 学校側が日常的に活用しているICTツール上でのURL配信に特化することで、教員の準備負担が大幅に軽減されました。「hihaho」のログ分析機能を活用することで、大規模な検証においても、アンケート実施からデータ収集・分析までをシームレスに行える体制が構築されています。
研究実施体制と関係者のコメント
本研究は、佐賀大学医学部看護学科 小児看護学領域 助教の大坪美由紀氏が研究代表者を務め、佐賀大学医学部附属病院 呼吸器内科、独立行政法人国立病院機構 嬉野医療センター 小児科の在津正文氏、佐賀大学医学部看護学科 小児看護学領域 教授の鈴木智惠子氏が共同研究者として参画しています。技術支援はスプライングローバル株式会社が担当しています。
大坪助教は「インタラクティブ動画を活用することで、生徒自身が知りたい内容を能動的に学ぶことができ、クイズによる知識の再確認が効果的に行われています。このツールが、中高生の自立的な疾患管理と周囲の支援の輪を広げる一助となることを期待しています」と述べています。
スプライングローバル株式会社 代表取締役の藤松良夫氏は、「佐賀大学様が進める意義深い研究に、弊社の『hihaho』が貢献できることを大変光栄に思います。教育とテクノロジーを掛け合わせることで、医療の専門的な知識をより分かりやすく、楽しく学べる環境づくりをサポートしてまいります」とコメントしています。
スプライングローバル株式会社について
スプライングローバル株式会社は、インタラクティブ動画プラットフォーム「hihaho」を提供する企業です。動画DX・インタラクティブ動画プラットフォームの開発・導入支援を事業内容としています。
詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
