調査でわかった3つの事実
今回の調査で、私たちは春の不調に関するいくつかの重要な事実に直面しました。
- 81.6%が春に不調を経験しているにもかかわらず、4月・5月・6月の違いを正しく知っている人はほぼゼロでした。
- 不調を感じた人の66%が「ミスが増える・進みが遅いレベル」と回答。仕事や日常生活への深刻な影響が浮き彫りになりました。
- 原因を知りたい、セルフケアしたいと答えた人は9割超に上る一方で、「何をすればいいかわからない」と感じている人も多く存在しています。
この結果から、多くの人が春の不調に悩んでいるものの、その原因や対策について正しい情報が届いていない現状が伺えますね。
4月病:環境変化と自律神経の嵐
春の不調の中で、最も症状が激しいと感じる人が多いのが4月です。調査では、46%の人が4月に不調を感じたと回答し、メンタル、睡眠、身体のいずれの不調もこの3ヶ月間で最も高い数値を記録しました。

データが示す4月の実態
-
メンタル: 908人がメンタルの不調を感じていました。内科医によると、新環境への適応ストレスが交感神経を過剰に刺激し、ストレスホルモン「コルチゾール」の過剰分泌により、不安やイライラが混在しやすい状態になるとのことです。
-
睡眠: 778人が睡眠に不調を感じています。交感神経が優位なままだと脳の温度が下がらず、「脳が徹夜している」ような質の低い睡眠になりがちです。これにより、十分な時間寝ても日中に強い眠気を招きやすくなります。
-
身体: 1,493人が身体の不調を訴えています。春特有の激しい寒暖差と新生活による精神的緊張が「自律神経の過負荷」を引き起こし、全身の血流不全や筋緊張によって、だるさや頭痛が多発すると考えられます。
医師の見解:4月病の正体は「適応反応の過負荷」
4月の不調は、単なる気の持ちようではありません。医学的には、新しい環境に適応しようとする体の反応が、その人の許容量を超えてしまった「適応反応の過負荷」の状態だと考えられています。不安やイライラの急増や睡眠の質の低下は、心身のバランスを保つシステムが限界に達し、オーバーヒートを起こしているサインなのです。
これは、深刻なメンタル疾患へ移行する前の「生体アラート」が鳴っている状態と言えるでしょう。この過負荷を放置すると、ゴールデンウィーク明けの意欲減退、いわゆる「五月病」へ移行するリスクが極めて高まります。4月の段階で心身の警告を適切に評価し、戦略的に休息を取ることが、症状の重症化を防ぐために非常に大切です。
4月のケアポイント
4月に一番大切なのは、意識的に副交感神経を優位にする時間を作ることです。
-
就寝90分前の入浴: 38〜40℃のぬるめのお湯に浸かるのがおすすめです。
-
腹式呼吸や深呼吸: リラックス効果が高まります。
-
「予定のない時間」を週に最低1〜2時間設ける: 何もしない時間を作ることで、心身を休ませましょう。
4月に「頑張りすぎない」ことが、5月・6月への不調の持ち越しを防ぐ最大の対策となります。
5月病:疲労の蓄積と無気力の波
5月になると、不調を感じる人の割合は49.3%と4月から減少しますが、メンタル・睡眠・身体の3つの領域でほぼ同じくらいの不調が続くのが特徴です。4月のように特定の症状が突出するのではなく、「なんとなくずっとしんどい」といった状態が続きます。特にメンタル面では、「無気力」が最多となり、4月の「不安・焦り」から質的に変化していることがわかります。

データが示す5月の実態
-
メンタル: 無気力、不安・焦り、判断力低下、イライラといった項目が均等に分散しています。内科医によると、4月の緊張が解けた後に疲弊が顕在化し、アドレナリンが切れて慢性疲労が「やる気が出ない」という形で現れるとのことです。
-
睡眠: 日中の眠気、眠りが浅い、寝つきが悪いという3つの症状が均等に残存しています。改善もしないが悪化もしない「疲労の高止まり」状態であり、ゴールデンウィーク(GW)による生活リズムの乱れが重なると悪化しやすい傾向にあります。
-
身体: 4月より全体的に減少するものの、広範囲にわたって不調が残ります。個人差が大きい時期で、免疫力が低下している人は体調を崩しやすく、回復が遅れることがあります。
医師の見解:5月病の正体は「4月病の後遺症+リズムの崩壊」
5月病は、新しい不調が発生するのではなく、4月に蓄積された心身のダメージが表面化している状態だと言えます。4月の過度な緊張や環境変化に対応するため、心の安定に関わる脳内物質「セロトニン」が大量に消費され、5月を迎える頃には「脳の貯金」が底をついたような“ガス欠状態”に陥ってしまうのです。
この状態でGWの連休に入り、張り詰めていた緊張(交感神経)がプツンと切れると、自律神経の調整がうまくいかなくなり、強い無気力やだるさといった「5月病」の症状が引き起こされます。さらに、連休中の不規則な生活による“社会的時差ボケ”が、セロトニンの再合成を妨げ、回復を遅らせる大きな要因となります。
5月のケアポイント
5月は「リズムを守ること」が何よりも大切です。
-
GW中も起床時間を±1時間以内に維持する: 生活リズムの大きな乱れを防ぎましょう。
-
昼寝は15〜20分以内にとどめる: 長すぎる昼寝は夜の睡眠に影響します。
-
「やる気が出ない」のは意志力の問題ではなく生理現象なので、無理に頑張ろうとせず、「小さなタスクを確実にこなす」戦略に切り替えることが重要です。
6月病:気圧と湿度が引き起こす身体の反乱
6月に入ると、メンタルや睡眠の不調は4月と比べて大幅に減少する一方で、身体の不調だけが再浮上するという、少し変わった現象が見られます。最も特徴的なのは、「だるさ」(327人)が3ヶ月間で最多の割合となり、むくみ、アレルギー症状、肌荒れといった症状が4月・5月よりも増加している点です。精神面が落ち着いてきたのに、体だけが悲鳴を上げる「逆転現象」が起きているのです。

データが示す6月の実態
-
メンタル: メンタルの不調は4月より大幅に減少します。新しい環境への適応が進み、精神的な落ち着きが見られる時期です。しかし、慢性的な疲れがまだ体の奥に残っている状態でもあります。
-
睡眠: 日中の眠気、眠りが浅い、寝つきが悪いといった症状は残ります。これは梅雨の低気圧が睡眠の深さに影響を与え、湿度による体温調節の乱れが眠りの質を下げていると考えられます。
-
身体: だるさが3ヶ月間で最多の割合を占めるだけでなく、頭痛・めまい、肩こり・腰痛、肌荒れなどの症状を訴える人が多くいました。低気圧の接近時には、頭痛やめまい、だるさが特に現れやすくなります。
医師の見解:6月病の正体は「気象病(天気病)」
6月の身体不調の主な原因は、梅雨という「気象条件そのもの」にあります。低気圧が接近する時期には、頭痛、めまい、だるさ、関節痛といった症状が現れやすく、これは“気象病(天気病)”として医療現場でも広く知られています。
また、高湿度環境ではダニやカビが繁殖しやすくなり、アレルギー症状が悪化する可能性があります。さらに、汗の蒸発が妨げられることで体温調節がうまくいかなくなり、肌荒れも起きやすくなります。「メンタルは落ち着いてきたのに体が動かない」という状態は、精神的なストレスではなく、純粋に気象や環境要因による身体への負担であることを示しています。
4月・5月とは根本的に原因が異なるため、対策も大きく変わってきます。
6月のケアポイント
6月は「気象変化に先手を打つ」という発想が重要です。
-
天気予報アプリで低気圧の接近をチェックする: その前日に十分な睡眠と水分を確保しましょう。
-
室内湿度を50〜60%に保つ: ダニやカビの抑制につながり、アレルギー予防に効果的です。
-
頭痛が起きた際は、暗所で横になって安静にすることが有効な場合があります。市販の鎮痛剤も適切に活用し、症状が続く場合は医療機関への相談をおすすめします。
構造的問題:「我慢が当たり前」になっている日本の春
調査では、不調を感じた人のうち、66%が「ミスが増える・進みが遅いレベル」と回答し、「最低限のことしかできないレベル」や「何も手につかないレベル」と答えた人を合わせると、約85%もの人がパフォーマンスの低下を自覚していることがわかりました。
これほど多くの人が困っているにもかかわらず、病院を受診することをためらう最大の理由として、「何科に行けばいいかわからない」が断トツ1位でした。次いで「忙しくて時間がない」「周りに迷惑がかかる」といった理由が挙げられています。
また、対策として最も多く行われているのは「SNSでの情報収集」ですが、一方で「何をしたらいいかわからない」と答える人も多く存在します。これは、情報が不足しているというよりも、「個別症状に合った質の高い情報が届いていない」という構造的な問題があることを示唆しています。
監修医師コメント:春の不調に「まとめてケア」は通用しない
今回の調査結果を受けて、内科医の橋本将吉医師は次のようにコメントしています。
「4月・5月・6月の不調は、それぞれ『自律神経の過負荷(4月)』『慢性疲労の顕在化(5月)』『気象病(6月)』という、まったく異なるメカニズムで起きています。これを『春だから仕方ない』『〇月病でしょ』とひとくくりにしてしまうことが、毎年繰り返される最大の原因です。」
「特に4月については、新環境への適応ストレスに加え、花粉シーズンのピークとも重なる点を見落としてはなりません。今回の調査では月別の原因内訳までは確認できていませんが、臨床的には花粉症による睡眠の質の低下や鼻づまりによる睡眠中の呼吸の乱れ、抗ヒスタミン薬の眠気といった要因が、自律神経の乱れにさらに拍車をかけているケースもあります。4月の不調が突出して多い背景には、こうした複合的な要因が重なっている可能性が高いと考えています。」

「また、『何科に行けばいいかわからない』という受診障壁の高さも深刻です。春の不調は、精神科、内科、皮膚科、耳鼻科と症状が多岐にわたるため、まずは総合診療医やかかりつけ医に相談いただくことをお勧めします。自己判断で我慢を続けることが、最もリスクの高い選択肢であることをお伝えしたいと思います。」
まとめ
春の不調は、時期によってその原因と症状が大きく異なります。漠然と「春だから」と諦めるのではなく、それぞれの月の「不調の正体」を正しく理解し、適切なケアを行うことが、快適な春を過ごすための鍵となります。
もしあなたが今、春の不調に悩んでいるなら、まずはこの記事で紹介した情報とケアポイントを参考にしてみてください。そして、もし症状が続くようであれば、我慢せずに医療機関に相談することも大切です。あなたの心と体が少しでも楽になるよう、正しい知識が届くことを願っています。
この調査について、さらに詳しい情報や資料をご希望の場合は、下記よりお問い合わせください。
- 調査結果問い合わせ先: https://hashimotomasayoshi.co.jp/contact/
株式会社リーフェホールディングスについて
リーフェグループは、「全ての世代が安心して生活できる社会」の実現を目指しています。医療に関する専門知識や製品、医療サービスを生活の中で一体として機能させることで、医療を特別なものではなく、日常に自然に存在する身近なものへと変えていくことを使命としています。
- 関連リンク: https://li-fe.co.jp/
