医師への道に立ちはだかる経済的障壁

フィリピンにおいて医師になるには、大学での学士号取得後、4年間の医学部課程、インターン、国家試験を経て、合計10年以上の学習と研修が必要です。専門医を目指す場合は18年以上かかることもあります。

この道のりを阻む最大の要因は費用です。私立医学部の場合、医学部4年間の学費だけで約120万ペソ、生活費や実習費などを含めると、約210万〜220万ペソ(日本円で約500万円前後)が必要となるケースがあります。一方で、フィリピンの一般的な労働者が4年間に得る収入は合計で約60万ペソ(約140万円)程度とされており、医学部進学に必要な費用には遠く及びません。

公立医学部と私立医学部の4年間の合計費用(学費、生活費、実習・教材・諸経費)を比較した棒グラフです。一般労働者の4年間の年収合計も示されており、医学部進学にかかる費用の大きさが視覚的に示されています。

この状況は、個人の努力や意欲の問題ではなく、構造的な課題として認識されています。

医療を受ける側にも影響する構造的問題

この構造は、医師を目指す側だけでなく、医療を受ける側の命にも直接影響を及ぼします。

フィリピンでは、医療機関の多くが民間に集中しており、これらを継続的に利用できるのは人口の約3割程度と推計されています。公的医療機関は慢性的な人材・設備不足に直面しており、特に地方や農村部では、医師1人が数万人の住民を診る地域も存在します。その結果、所得や居住地によって医療の質や受診のタイミングが大きく左右され、適切な医療があれば防げたはずの命が失われる事態も発生しています。

2021年のフィリピンにおける1~4歳児の死因状況を示すドーナツチャートです。主な死因は下痢・腸炎が64.5%と最も多く、次いで敗血症が18.2%を占めています。結核関連や髄膜炎、破傷風も含まれています。

看護師誕生が示す希望と残された課題

今回看護師となった学生は、これまで医療を受ける立場から、医療を支える立場へと歩みを進めました。これはDAREDEMO HEROが長期支援を通じて目指してきた目標の一つです。

しかし、彼女の最終的な夢である「医師になること」への道は依然として続いています。医学部進学に必要な費用をすぐに用意することは困難であり、現在は看護師として医療現場で働きながら、次の機会を待つという現実的な選択をしています。

4人の若い女性が、医療系の制服と思われる服装で笑顔で並んで立っている写真。それぞれ異なる学校のIDカードを身につけている。

NPO法人DAREDEMO HEROも、これまで多くの子どもたちの学習を支援してきましたが、医学部進学に必要な費用規模は非常に大きく、現在の支援体制ではすべての志ある若者を医師の道まで支えきることは難しい状況です。これは、医師を育成することが社会全体で支えるべき大規模な投資であることを示唆しています。

看護師の制服を着た女性が、ナイチンゲールランプとLEDキャンドルを持って笑顔で立っています。バッジには名前と「B. S. NURSING」と書かれており、看護学生のようです。

大口・継続支援が「次の扉」を開く

企業や個人からの大口・継続的な支援は、単なる寄付にとどまらず、以下の長期的な社会的リターンを生む投資となります。

  • 医学部進学という次の選択肢を現実のものにする

  • 働きながら学び続ける人材が、途中で夢を断たれない環境を構築する

  • 将来、地域医療を支える医師を育成する

今回の看護師誕生は、その可能性を示す最初の証明であり、「希望の連鎖」の始まりです。

看護師か看護学生と思われる制服姿の若い女性が笑顔で小包と聴診器を持っている写真です。小包には宛先情報が記載されています。

NPO法人DAREDEMO HEROは今後も、医療を受けられなかった経験を持つ人々が、医療を届ける側へと回っていく社会を目指し、教育支援と人材育成に取り組んでまいります。

本取り組みにご関心をお持ちの企業・団体・個人の皆様との連携を通じて、次の段階へ進めていければ幸いです。

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団体概要

  • 団体名: NPO法人DAREDEMO HERO

  • 代表理事: 内山 順子

  • 所在地: 兵庫県

  • 活動内容: フィリピンの貧困層の子どもへの長期教育支援、地域支援活動、文化交流事業

  • URL: https://daredemohero.com/