眠っている間の「呼吸」って、意識したことありますか?
「なんだか最近、疲れが取れないな」「朝起きてもスッキリしない」「日中もぼーっとすることが多い」…もしかしたら、そんなあなたの体の不調は、眠っている間の「呼吸」に原因があるのかもしれません。
私たちは、起きている間は意識的に呼吸をコントロールできますが、眠っている間は無意識に任せていますよね。でも、その無意識の呼吸に、実は奥深い世界が広がっていて、体調不良の原因が「隠れ低呼吸」という見えない問題にあるかもしれない、というのです。
今回は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を受けている方や、CPAP治療を中断してしまった方、あるいは特に自覚症状はないけれど、なんとなく体の不調を感じている方に向けて、最新の研究で明らかになった「隠れ低呼吸」の真実に迫ります。
CPAP治療だけじゃない?見過ごされがちな「隠れ低呼吸」の現実
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が止まったり、浅くなったりする病気で、高血圧や心臓病など、さまざまな病気のリスクを高めると言われています。このSASの標準的な治療法として広く知られているのが「CPAP(シーパップ)」です。
CPAPは、鼻や口に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げて呼吸を助ける装置で、医学的にもその有効性が認められています。しかし、一方で、CPAP治療には課題も存在します。マスクの装着による違和感、寝返りなどでのマスクのズレ、二酸化炭素がマスク内に滞留してしまうこと、そして結果的に睡眠の質が低下してしまうことなどから、治療を中断してしまう人の割合が30〜50%にものぼると報告されているのです。
気道が開いていても呼吸が弱い「隠れ低呼吸」とは?
CPAP治療を中断した人の多くが、実は「気道が塞がること」だけでなく、同時に「胸郭(きょうかく)の動きが浅くなる」という現象を抱えていることが分かってきました。これが、今回注目する「隠れ低呼吸」です。
この「隠れ低呼吸」は、その名の通り、本人がほとんど自覚することがありません。なぜなら、気道自体は開いていても、呼吸が弱くなってしまうという構造的な現象だからです。気づかないうちに、体内の環境が静かに悪化していく可能性があるのです。
新事実が明らかに!睡眠中の呼吸構造に関する独自研究
トラタニ株式会社が行った独自研究では、睡眠中の顎(あご)・舌・気道の構造変化に加えて、仙骨(せんこつ)から肋骨(ろっこつ)まで連動する「S字の全身運動」が睡眠中に阻害されることで、気道が閉塞していなくても呼吸が弱くなるという構造的な事実が確認されました。
この研究は、2024年から2026年の期間にわたり実施され、一般成人、CPAP使用者、SAS予備群、そして呼吸に自覚症状がない一般生活者を対象としています。睡眠時の顎・舌・気道の構造変化の観察や、呼吸の物理構造モデルによる解析、CPAP使用者からの聞き取り調査、既存医学文献の構造的再解釈など、多角的なアプローチで進められました。
この研究結果は、既存の解剖学や生理学のエビデンスとも整合性が確認されており、私たちが普段意識しない睡眠中の呼吸について、新たな視点を与えてくれます。
睡眠中に私たちの体で何が起きているの?驚きの6つの事実
独自研究によって得られた知見は、私たちの体で睡眠中に起きている、これまで見過ごされがちだった普遍的な現象を明らかにしています。
1. 睡眠中は全人類の顎・舌の支持筋が必ず弛緩する
年齢や性別、体格に関わらず、眠りにつくと、下あごを支える顎二腹筋(がくにふくきん)や舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)といった筋肉がゆるみ、下あごが自然と後ろに下がります。これは、誰にでも起きるごく自然な生理現象なのです。
2. 舌根沈下の“本当の原因”は下あご後退である
舌は下あごに付着しています。そのため、下あごが後ろに下がれば、舌も必然的に後方へスライドします。これが、気道を狭める原因の一つとされる「舌根沈下(ぜっこんちんか)」の本当の原因であることが示されました。

3. 下あご後退は「口半開き」を引き起こし、鼻呼吸を阻害する
下あごが後ろに下がると、口が半開きになりやすくなります。これにより、鼻で呼吸することが難しくなり、口呼吸が増えてしまいます。鼻呼吸が困難になると、鼻腔(びくう)で合成されるNO(一酸化窒素)という重要な物質が作られにくくなるのです。
4. NO不足は毛細血管の拡張を妨げ、血液の酸素受容性を低下させる
鼻呼吸ができずNOが不足すると、体内の毛細血管が十分に拡張せず、血液が酸素を取り込みにくくなることは、既存の生理学でも知られています。今回の呼吸構造モデルでは、下あご後退や口半開きによる鼻呼吸困難が、NO不足を引き起こす構造的な要因となることが示唆されています。
5. SASは“自覚がない”ため、重度で発覚するケースが多数
CPAP治療を始める人の多くが、実は「自覚症状が全くなかった」と回答しています。これは、睡眠中の呼吸の問題が、自分では気づきにくい形で進行していることを示しています。
6. 呼吸低下は「個人差」ではなく「構造的必然」
性別、体格、肥満度に関わらず、睡眠中は必ず顎がゆるみ、舌が後方へスライドするという構造的な変化が起こります。つまり、呼吸の低下は、特定の人の問題ではなく、誰もが経験しうる「構造的な必然」であると言えるでしょう。
胸郭の動きが浅くなると何が起きる?「静かなストレス連鎖」
眠っている間は筋肉が緩むため、胸郭の動きが小さくなります。そこに、先ほどの舌根沈下が重なると、呼吸はさらに浅くなります。すると、私たちの体内では、次のような「静かなストレス連鎖」が起こり始めます。
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酸素供給の不安定化: 体の隅々への酸素供給が不十分になる
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自律神経の乱れ: 体のオンオフを切り替える自律神経のバランスが崩れる
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代謝ストレスの蓄積: 体内で不要な物質が処理されにくくなる
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心臓への負荷増大: 酸素不足を補おうと心臓がより頑張る
これは、気道の閉塞だけでは説明できない、体内の「内部の酸欠」とも言える状態です。しかも、この内部の酸欠は、痛みや苦しさを伴わないため、気づいた時には数年単位で進行していることもある、というから驚きです。
新しい視点:気道だけでなく“体内環境”を見る必要性
海外の研究では、すでに低呼吸が自律神経を乱すこと、夜間の酸欠が代謝を悪化させること、深い呼吸が脳の老廃物排出に不可欠であること、断続的な低酸素が心臓負荷を高めることなど、「体内環境」の視点が重視されています。
トラタニ株式会社は、この視点を「呼吸の物理学」として体系化し、胸郭・舌根・重力の3つの要因から夜間の呼吸構造を再整理しました。呼吸は単に「気道が開いているかどうか」だけで決まるものではなく、仙骨から脊柱、頸椎、頭部、そして肋骨へと連動する「S字の全身運動」によって成立する物理作用である、というのです。
このS字運動が睡眠中に阻害されるだけで、たとえ気道が閉塞していなくても、呼吸が弱くなり、低呼吸や呼吸停止が起こりうるという結論に至りました。これは、睡眠時の顎・舌・気道の構造変化を物理モデルとして解析し、その体内環境への影響を生理学的に検証するという、世界的にも珍しい学際的なアプローチによるものです。
まとめ:自覚なき呼吸低下と、次のステップ
今回の研究で明らかになったのは、睡眠時の呼吸低下が、本人には全く自覚がないまま進行する構造的な現象である、ということです。CPAP治療を受けている方、離脱した方はもちろん、特に呼吸に問題を感じていない方も、もしかしたら「隠れ低呼吸」を抱えているかもしれません。
次回の報告では、気道だけでは説明できない「重力・寝具・姿勢」といった構造的なリスクについて、さらなる独自研究の結果が報告される予定です。私たちの健康を支える「呼吸」について、より深く理解するためのヒントが得られることでしょう。
調査詳細データ
今回の研究では、成人男女(20〜65歳)14名を対象に、ResMo テレメトリー式生体信号測定装置およびaams 呼吸解析システムを用いて、呼吸数・呼吸深度・胸郭可動性・IE比・呼吸波形を測定し、通常寝具とトラタニ株式会社の寝具の条件比較が実施されました。
呼吸の質を見つめ直すことが、健康な体への第一歩
呼吸は、私たちの体を毎日、24時間支えてくれている“静かな働き手”です。病気になってしまった体を治すのは医学の力ですが、病気になる前の体内環境を守るのは、私たち自身の意識と行動にかかっています。その最も大切な源流にあるのが、私たちが無意識に行っている「呼吸の質」なのです。
トラタニ株式会社は、これまで研究があまり進んでいなかった「睡眠中の呼吸環境」という領域に挑戦し、呼吸・睡眠・生理学・物理学・解剖学を横断する学際的なアプローチで、体内環境の根本的な構造を解明する研究を進めています。医学がまだ十分に扱えていない領域を体系化し、人類の健康に新しい選択肢を提供することを目指しているとのことです。
同社は、ショーツ開発で培った立体構造技術を応用し、身体にわずかな物理的負荷を与えることで「呼吸の質を高める」独自の技術を確立しており、24時間の体内環境を適正化する30件以上の特許技術を保有しています。事業内容としては、ショーツ(アパレル)の企画・製造・販売のほか、睡眠中の呼吸・酸素環境・身体構造に関する研究、寝具および関連技術の開発を行っています。
もし、ご自身の呼吸や睡眠の質について気になることがあれば、公式サイトで詳しい情報を確認してみるのも良いかもしれませんね。
- トラタニ株式会社公式サイト: https://toratani-kokyu.jp/
