ロッテHDがバイオ医薬領域に新たな一歩!OmicInsight社への出資でヘルスケアの未来を拓く
お菓子やアイスでおなじみの株式会社ロッテホールディングスが、ヘルスケア・バイオ医薬領域において、また新たな挑戦を始めました。同社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じて、米国カリフォルニア州に拠点を置くOmicInsight Corporation(以下、OmicInsight社)への出資を実施したことが発表されました。これは、ロッテホールディングスのHB-CVC(ヘルスケア・バイオ医薬領域CVC)にとって、通算6件目となる重要な投資案件です。
OmicInsight社ってどんな会社?最先端の解析技術に迫る!
OmicInsight社は、2024年に設立されたばかりの新しい企業ですが、その技術力は非常に高い評価を受けています。実は、2015年から空間オミクス解析の分野で実績を積んできたRebus Biosystems社の高度な技術資産と知的財産を継承・統合しているんです。
彼らが特に力を入れているのが、「空間オミクス解析」と「マルチオミクス解析」という、ちょっと聞き慣れないかもしれない最先端の解析技術です。

空間オミクス解析って何?
「空間オミクス解析」とは、細胞が組織のどこに位置していて、どんな働きをしているかを、まるで地図を見るように可視化し、解析する技術のことです。これまでの解析では、細胞を組織からバラバラにして調べていたため、細胞がもともとどこにあったのか、周囲の細胞とどう関係していたのかといった「空間的な情報」が失われてしまうことが課題でした。しかし、この技術を使えば、細胞が本来あった場所の情報を保ったまま、その機能や状態を詳しく調べることができます。
マルチオミクス解析って何?
そして「マルチオミクス解析」は、遺伝子やタンパク質、代謝物質など、複数の生体情報を統合して分析する手法です。人間の体は、遺伝子、タンパク質、代謝物といった様々な要素が複雑に絡み合って機能しています。これらの情報を個別に解析するだけでなく、統合して多角的に分析することで、病状や細胞の状態をより深く、正確に理解することが可能になります。例えるなら、体の各部品をバラバラに調べるだけでなく、それらがどう連携して動いているのかを全体として捉えるようなものです。
OmicInsight社は、これらの解析を可能にする独自の「合成開口光学(SAO)プラットフォーム『Esper™』」を開発しました。この『Esper™』は、AI(人工知能)や機械学習と組み合わせることで、単一の細胞や細胞の中のレベルで、非常に高い解像度でマルチオミクス解析を大規模に実行できるんです。
合成開口光学(SAO)ってすごい!
「合成開口光学」とは、特殊な光学技術を使って、広範囲の細胞を非常に細かく、しかも高速で撮影できるイメージング技術のこと。このSAO技術は、従来の高解像度イメージング技術と比べて、なんと50倍から100倍もの処理能力を持っていると言います。これは、これまでの解析に膨大な時間とコストがかかっていたことを考えると、まさにゲームチェンジャーとなる革新的な進歩と言えるでしょう。
この技術が医療の未来をどう変える?
OmicInsight社の技術は、私たちの健康や医療に大きな影響を与える可能性を秘めています。
創薬のプロセスを加速!
まず、創薬の分野です。新しい薬を開発するには、まず病気の原因となるターゲットを見つける必要があります。OmicInsight社の技術を使えば、組織全体を単一細胞レベルという超高解像度で解析できるため、疾患メカニズムをこれまでにないほど深く理解できるようになります。これにより、より有望な創薬ターゲットを効率的に特定し、薬剤開発の初期段階から臨床試験までを一貫してサポートすることが可能になります。開発プロセスが加速されれば、新しい薬が患者さんの手に届くまでの時間も短縮されるかもしれません。
診断精度の向上と個別化医療の実現!
さらに、診断事業への展開も期待されています。細胞の状態を詳細に分析する能力は、病気の早期発見に直結します。例えば、がんの早期発見や、特定の疾患の進行度を正確に把握することに役立つでしょう。
そして、この技術が最も貢献すると期待されているのが「個別化医療」の実現です。個別化医療とは、患者さん一人ひとりの遺伝子情報や病状に合わせて、最適な治療法を選択する医療のこと。OmicInsight社のプラットフォームを活用することで、製薬会社は患者さん個々の細胞レベルでの情報を詳細に分析し、その人に最も効果的な薬剤や治療戦略を特定できるようになります。これにより、治療の成功率が向上し、患者さんの予後改善に大きく貢献することが期待されます。
ロッテHDの出資がOmicInsight社にもたらすもの
今回のロッテホールディングスからの投資は、OmicInsight社にとって非常に大きな意味を持ちます。この投資を受けて、OmicInsight社は以下の事業ロードマップを加速させていく計画です。
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トランスレーショナルおよび臨床研究における戦略的パートナーシップの拡大: より多くの研究機関や製薬会社と連携し、研究成果を臨床応用へとつなげる取り組みを強化します。
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「エンドツーエンドの創薬支援」の実現: 創薬の最初から最後までを一貫してサポートする体制を構築し、製薬会社の薬剤開発を強力に後押しします。
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AI・機械学習の高度化: 解析技術の中核をなすAIや機械学習のさらなる開発を進め、より精度の高い、効率的な解析を可能にします。
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診断事業への展開: 将来的には、前述の通り診断分野への本格参入を目指し、病気の早期発見や個別化診断に貢献していきます。
この投資は、ロッテホールディングスのHB-CVCが掲げる「ヘルスケアイノベーションの推進、および精密医療における未充足のニーズに対応する革新的技術を支援する」というコミットメントにぴったり合致するものです。ロッテホールディングスが持つ国内外の広範なネットワークは、OmicInsight社の顧客基盤拡大や市場浸透を強力に推進する手助けとなることでしょう。
HB-CVCのマネージングパートナーであるDr. Joon Paek氏も、「OmicInsight社の革新的なイメージング技術とトランスレーショナルリサーチおよび診断分野への戦略的な転換が、製薬業界に多大な影響を与えると確信しております。同社のさらなる成長とイノベーションを支援できることを、大変誇りに思います。」とコメントしており、今回の出資に対する期待の高さが伺えます。
ロッテホールディングスってどんな会社?
今回の出資元である株式会社ロッテホールディングスは、1948年に日本でチューインガムの製造・販売から事業を開始しました。現在では、日本と韓国に本社機能を持ち、世界約30の国と地域で幅広いビジネスを展開するグローバル企業です。
中核事業である菓子・アイス領域はもちろんのこと、プロ野球球団の運営、不動産、ファイナンス、ホテル、ヘルスケア、コンテンツIPなど、多岐にわたる事業を手掛けています。近年では、食品事業のイノベーションに加え、日本と韓国の事業シーズを掛け合わせたビジネス創出にも積極的に挑戦しています。
ロッテグループは「Lifetime Value Creator」というグループ統一のビジョンを掲げ、人々のライフサイクルのすべてにおいて価値を提供し続けることを目指しています。ヘルスケア・バイオ医薬領域への投資も、このビジョンに基づいた取り組みの一つと言えるでしょう。
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株式会社ロッテホールディングス 公式サイト: https://lotte-hd.com/
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ロッテホールディングス CVCサイト: https://lotte-hd.com/healthcare/japanese/
OmicInsight Corporationについて
OmicInsight Corporationは、独自の人工知能(AI)技術を駆使し、高感度・高スループットの空間オミクス解析を提供することに注力しているバイオテクノロジー企業です。カリフォルニア州サンタクララに本社を構え、そのプラットフォームは生体組織内でこれまでにない分子解像度を提供できるよう設計されています。これにより、薬剤発見、精密医療、および基礎研究に対するより深い洞察を可能にしています。
- OmicInsight Corporation 公式サイト: www.omicinsight.com
まとめ
ロッテホールディングスがOmicInsight社に出資した今回のニュースは、ヘルスケア・バイオ医薬分野における大きな一歩と言えるでしょう。OmicInsight社の革新的な空間・マルチオミクス解析技術は、創薬のスピードアップ、診断精度の向上、そして究極的には患者さん一人ひとりに最適な医療を提供する「個別化医療」の実現に大きく貢献することが期待されます。
ロッテグループの持つ幅広いネットワークとOmicInsight社の最先端技術が融合することで、きっと私たちの健康と医療の未来は、より明るく、希望に満ちたものになることでしょう。今後の両社の動向に注目していきたいですね!
