70代以降の旅行需要における「健康不安」
国内旅行は幅広い年代にとって身近な余暇である一方、高齢化の進展に伴い、「行きたいのに行けない」という状況が拡大しています。観光庁の『令和7年版 観光白書(概要)』によると、観光目的の国内宿泊旅行をしなかった理由として、20〜60代では「休暇がとれない」「家計の制約」などが中心であるのに対し、70代では「自分の健康上の理由で」が31.3%、80代以上では53.0%と、高齢になるほど健康要因が顕著になります。

この状況は、個人のQOL(生活の質)だけでなく、社会課題としても捉えられます。厚生労働省のデータでは、令和4年時点で平均寿命と健康寿命の差は男性8.48年、女性11.64年とされており、人生の終盤に支援を要する期間が生じる可能性が示唆されています。また、同省の将来見通しでは、社会保障給付費が2040年度に約188〜190兆円規模に達する試算も示されており、不健康期間の長期化は社会保障の持続性にも影響を及ぼす可能性があります。加えて、外出機会の減少は心身機能の低下と関連する可能性があり、旅行や外出は健康維持・社会参加の観点からも重要であると考えられます。しかし、70代以降では「健康不安」が最大の障壁として顕在化しています。
バリアフリーだけでは不十分な「人的支援」と「医療・緊急時の安心」
観光庁が推進するユニバーサルツーリズムにおいても、段差解消などのハード面だけでなく、旅行者が安心して移動・滞在できる支援体制が重要視されています。観光庁の調査報告書では、トラベルヘルパーの視点から、旅行増加の条件として「バリアフリー・医療機関等に関する詳細な情報提供」や「旅行現地における緊急時のサポート体制の整備」が重要項目とされています。
これは、要介護者・高齢者の旅行を阻む要因が、移動や設備の問題に加え、人的サポートの不足や、体調変化時の医療的な安心の欠如にあることを示唆しています。
医療連携による安心感で利用者満足度向上を目指す
「フラットトラベル」が川崎臨港病院と連携して構築する24時間の遠隔相談・緊急時ホットラインは、70代以降に顕著な「健康不安」に対し、旅行中の判断と初期対応を医療のバックアップで補完する取り組みです。これにより、観光庁が指摘する「医療機関等の情報」や「緊急時のサポート体制」を具体的に実現するものです。
今回の提携により、以下の体制を構築し、「誰でも旅行に行ける世界」の実現を目指します。
-
旅行中の緊急事態発生時の24時間リモート医療相談
フラットトラベルの利用者が旅行中に体調の変化があった際、川崎臨港病院の医療従事者とホットラインで繋がり、適切な初期対応の指示や判断を仰ぐことができます。これにより、旅先での急な発熱や体調不良に対しても、医学的見地に基づいた迅速な対応が可能となります。
本提携に関するコメント
医療法人社団 和光会 理事長 渡邊 嘉行様

地域の医療・介護を「在宅療養支援病院」として担い、最幸の街づくりに貢献すべく、介護旅行の「フラットトラベル」として、総合川崎臨港病院は株式会社ふらっとけあと業務提携をさせていただきました。これにより、ご年配の方々、虚弱傾向の方々、要支援・要介護の方々の楽しい旅行を遠隔での緊急対応体制という形でご協力させていただきます。「できない」ではなく「どのようにしたら実現できるか」を株式会社ふらっとけあと共に今後も模索し続けたいと思っております。
株式会社ふらっとけあ 代表取締役 鈴木 颯斗

このたび、地域医療の中核を担う総合川崎臨港病院様と業務提携を締結できたことを、大変心強く感じております。介護旅行において最も大きな壁となるのは、旅行中の体調変化や緊急時に対する「健康不安」です。私たちは、介護スタッフの同行だけでは埋めきれない「医療的な安心」を旅に組み込み、24時間の遠隔相談体制を通じて、緊急時の旅先での判断と初期対応を迅速に行える環境を整えます。今回の連携を起点に、より多くの方が安心して一歩を踏み出せるよう、医療・介護・観光が連携した新しい旅のスタンダードづくりに取り組んでまいります。
関連情報
-
出典
-
観光庁『令和7年版 観光白書(概要)』図I-50(観光目的の国内宿泊旅行をしなかった理由): https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001890451.pdf
-
厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf
-
厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000207399.pdf
-
日本公衆衛生雑誌「地域在宅高齢者の外出頻度別にみた身体・心理・社会的特徴」: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/51/3/51_168/_article/-char/ja/
-
観光庁『ユニバーサルツーリズムに関する調査業務 報告書(令和5年3月)』: https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001754475.pdf
-
総合川崎臨港病院について
-
法人名: 医療法人社団 和光会 総合川崎臨港病院
-
所在地: 〒210-0806 神奈川県川崎市川崎区中島3-13-1
-
代表者: 理事長 渡邊 嘉行
-
設立: 1946年7月
-
病床数: 199床
-
診療内容: 医療業(内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、救急医療 他)、介護事業
-
法人概要: 「にんげん中心の総合病院」を理念に掲げ、急性期から在宅医療までをシームレスに繋ぐケアミックス型病院です。地域包括ケアシステムの中核として、患者様一人ひとりの「生きる」を支えるとともに、医療・介護・福祉の連携強化による地域社会への貢献を推進しています。
-
ウェブサイト: https://rinko.or.jp/
株式会社ふらっとけあについて
-
会社名: 株式会社ふらっとけあ
-
所在地: 〒210-0834 神奈川県川崎市川崎区大島2-2-6
-
代表者: 代表取締役 鈴木 颯斗
-
設立: 2025年10月28日
-
資本金: 500,000円
-
事業内容: 福祉領域におけるウェルビーイング向上事業
-
会社概要: 「老いを楽しめる文化を創る」というミッションのもと、寝たきり期間の長期化や家族介護の負担増などの社会課題に向き合う介護予防ベンチャーです。ユニバーサルツーリズム事業「フラットトラベル」を起点に、高齢者と社会との接点を増やし、日常に起伏と刺激が生まれ続ける仕組みづくりに取り組んでいます。
-
ウェブサイト: https://flatcare.jp/
