第14回「日本医師会 赤ひげ大賞」受賞者発表

日本医師会 赤ひげ賞

2026年1月7日、第14回「日本医師会 赤ひげ大賞」(主催:日本医師会、産経新聞社、協力:都道府県医師会、特別協賛:太陽生命保険)の受賞者が発表されました。選考委員を務めた黒瀬巌常任理事により、「赤ひげ大賞」に5名、「赤ひげ功労賞」に20名が決定したことが定例記者会見で公表されました。

「赤ひげ大賞」の目的と歴史

「日本医師会 赤ひげ大賞」は、地域の医療現場において住民の健康と生活を支える医師に焦点を当て、その活動を顕彰することで、各地の医療環境整備と医療活動の充実に貢献することを目指し、平成24年に日本医師会と産経新聞社によって創設されました。賞の名称は、山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚」に由来しており、同小説の主人公は江戸時代中期に貧民救済施設で活躍した小川笙船をモデルとしています。

創設以来、毎回5名の医師が「赤ひげ大賞」に選ばれ、第8回からは「赤ひげ功労賞」も設けられ、その功績が称えられています。

第14回選考会の概要

第14回となる今回は、昨年11月13日に日本医師会小講堂で選考会が開催されました。前回に引き続き、医学生(本年度は京都大学、京都府立大学、徳島大学に地域枠で入学した学生グループ)が選考委員として参加し、「将来このような医師になりたい」という視点から選考が行われました。その結果、都道府県医師会から推薦された候補者の中から25名が「赤ひげ功労賞」に、そのうち5名が「赤ひげ大賞」に選定されました。

第14回「赤ひげ大賞」受賞者5名とその功績

福島県医師会推薦 木村 守和 医師(66歳) 社会福祉法人楽寿会 理事長

木村 守和 医師

木村医師は、往診や訪問診療に取り組むとともに、特別養護老人ホームや訪問看護ステーションを運営し、多職種連携によるネットワーク構築に尽力してきました。東日本大震災後は、被災地域のために地域包括ケア、台風水害支援、新型コロナウイルス感染症対応を主導しました。25年以上にわたり学校医、産業医も務め、小中学生に認知症、在宅医療、がんなどについて伝える「いのちの授業」を展開しています。2023年に自身がALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した後も、医師であり患者でもある立場から、自身の声を読み上げるソフトウェアを用いて講演を続けています。

埼玉県医師会推薦 林 正 医師(93歳) 大宮林医院 顧問

林 正 医師

林医師は、産婦人科医として66年間、父の代から続く医院を継承し、これまでに1万人以上の出産に携わってきました。昭和50年代には、ラオスの内乱で国を追われ旧大宮市に移り住んだ約50名の難民の健康管理に協力し、言葉や習慣の異なる異国で不安を抱える妊婦10名の分娩、産前産後の健診を無償で行いました。「いのちのバトンを繋ぐこと」を代々受け継ぎ、女性の一生、思春期から老年期まで年代ごとの悩みや不調を解決するために寄り添うパートナーを自負しています。1年後の開院100周年を見届けることを目標に、今も現役で医療活動を続けています。

新潟県医師会推薦 川室 優 医師(80歳) 高田西城病院 理事長・院長

川室 優 医師

川室医師は、故郷である上越地域の精神科医として、30代から住民の「こころの病の健康・予防」に尽力してきました。現在まで二つの病院の「仁寿の精神」を受け継ぎ、地域医療を行っています。1980年代よりグループホームの前身となる共同住居活動を基に、1981年に社会福祉法人を創設し、医療の傍ら、精神障がい者が地域で暮らすための住居・就労ケア(工房でのパン作業、農作業など)を続けています。障がい者への「偏見・差別解消の理解」のため、「まあるい心で共ににっこり」をスローガンとして住民と共に、祭・音楽会・マラソン大会などを長きにわたり開催しています。

大阪府医師会推薦 出水 明 医師(73歳) 出水クリニック 理事長・院長

出水 明 医師

出水医師は、「家で療養したい」という患者の願いを叶えるため、1996年に出水クリニックを開業しました。以来、一般内科とペインクリニックの外来診療と並行して、在宅診療ではこれまで1500人以上に寄り添い、900人以上の看取りを行ってきました。他の診療所との相互連携により、24時間365日体制で在宅医療を提供する枠組み「岸和田在宅ケア24」を実現している他、在宅医療に関する医学生や研修医への指導、市民への講演、医師会の医療介護連携事業などにも尽力しています。独居高齢者や在宅看取り患者の家族への支援などにも取り組んでいます。

徳島県医師会推薦 前川 裕子 医師(50歳) 徳島県立三好病院 内科 副部長

前川 裕子 医師

前川医師は、東日本大震災に衝撃を受け岩手県宮古市に移住し、被災地支援にとどまらず、循環器科常勤医が不在だった病院で、24時間緊急対応可能な循環器診療の実現に尽力しました。2023年に故郷の徳島県に戻り、医師不足や高齢化が進む地域において、県立病院の内科に勤務しつつ、準無医地区の診療所にも赴く他、学校や高齢者施設との連携、地域住民への健康講話などにも力を注いでいます。2024年には能登半島地震の被災地支援に県医師会から日本医師会災害医療チーム(JMAT)として参加しました。平時も災害時も患者に寄り添う医療を掲げ、実践しています。

「赤ひげ功労賞」受賞者(20名)

  • 杉山茂(北海道)

  • 松永平太(千葉県)

  • 萩野正樹(福井県)

  • 伊勢村卓司(京都府)

  • 小野辰也(佐賀県)

  • 小野瀬好良(茨城県)

  • 中里厚(東京都)

  • 長田忠大(山梨県)

  • 大下智彦(広島県)

  • 山下昌洋(熊本県)

  • 尾形直三郎(栃木県)

  • 森島昭(神奈川県)

  • 林悦三(静岡県)

  • 安本忠道(山口県)

  • 吉田史郎(大分県)

  • 星野仁夫(群馬県)

  • 井村優(石川県)

  • 坂倉究(三重県)

  • 岡本啓一(高知県)

  • 森明人(鹿児島県)

(順列は北から、年齢は2026年1月7日現在)

選考委員

  • 羽毛田信吾(恩賜財団母子愛育会会長)

  • 向井千秋(東京理科大学特任副学長)

  • 檀ふみ(俳優)

  • ロバートキャンベル(早稲田大学特命教授)

  • 森光敬子(厚生労働省医政局長)

  • 医学生(京都大学、京都府立医科大学、徳島大学)

  • 城守国斗(日本医師会常任理事)

  • 黒瀬巌(日本医師会常任理事)

  • 羽成哲郎(産経新聞社常務取締役)

  • 河合雅司(産経新聞客員論説委員)

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