糖尿病と肥満、あなたの周りにもいませんか?

「最近、体重が気になるな…」「健康診断で血糖値が高めって言われたけど、どうすればいいんだろう?」

もしかしたら、あなた自身も、あるいはあなたの家族や友人も、そんな悩みを抱えているかもしれませんね。実は、日本では20歳以上の約1割もの方が、糖尿病の可能性を指摘されているんです※3。そして、その糖尿病の約9割は、生活習慣が大きく関係する「2型糖尿病」で、肥満がその主な要因の一つと言われています。

糖尿病は、膵臓だけでなく、脂肪組織や肝臓など、さまざまな臓器の働きが乱れることで引き起こされる複雑な病気です。だからこそ、一つの臓器だけをターゲットにするのではなく、もっと多角的なアプローチで予防や改善ができないか、と多くの研究者が考えているんですね。

そんな中、今回注目したいのが、インドネシア原産の植物「メリンジョ」の種子に含まれる、ある特別な成分についてです。

メリンジョってどんな植物?その秘めたる力「グネチンC」

メリンジョ(Gnetum gnemon L.)は、東南アジアを中心に広く分布する植物で、その種子は現地で古くから食用とされてきました。このメリンジョの種子には、ポリフェノールという体に良い成分がたくさん含まれているんです。

その中でも特に注目されているのが、「メリンジョ由来レスベラトロール」と呼ばれる一群のポリフェノール。これには、皆さんも耳にしたことがあるかもしれない「トランスレスベラトロール」のほか、そのレスベラトロールが2つ結合した「グネチンC」というユニークな成分、さらにはグネチンCに糖が結合した「グネモノシドA」や「グネモノシドD」などが含まれています。

これまでの研究で、メリンジョ種子エキスには、肥満を抑えたり、糖尿病に良い影響を与えたり、さらには「活性型アディポネクチン」を増やしたり、「サーチュイン」を活性化させたりする作用があることが報告されていました。でも、具体的にどの成分が、どのように体に働きかけているのかは、まだ詳しくわかっていなかったんです。

今回の研究では、特に体の中で長く作用してくれることが期待されている「グネチンC」という成分に焦点を当て、その抗肥満・抗糖尿病作用と、詳しいメカニズムが解明されました。これは、山田養蜂場 健康科学研究所と熊本大学大学院 生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センターの共同研究によって明らかになった、とても興味深い成果です。

研究結果の概要図

グネチンCのすごい力!〜脂肪と肝臓にダブルアプローチ〜

糖尿病や肥満の予防・改善には、大きく2つの重要な要素が関係していると言われています。それが「アディポネクチン」と「サーチュイン」です。

善玉物質「活性型アディポネクチン」って?

アディポネクチンは、私たちの脂肪組織から分泌されるタンパク質で、「善玉物質」として知られています。このアディポネクチンは、インスリンの効きを良くしたり(インスリン抵抗性の改善)、炎症を抑えたりする、私たちにとって非常にありがたい働きをしてくれるんです。特に「活性型アディポネクチン」と呼ばれるものは、より強い健康作用を持っていることがわかっています。

しかし、残念ながら、肥満の方や糖尿病を患っている方では、この活性型アディポネクチンが減ってしまう傾向があるんです。だから、この活性型アディポネクチンを増やすことができれば、糖尿病や肥満の改善に繋がるのではないかと期待されています。

長寿遺伝子「サーチュイン」って?

もう一つが「サーチュイン」です。サーチュインは、「長寿遺伝子」とも呼ばれていて、糖や脂質の代謝を良くする「FGF21」という物質の分泌を促す働きがあります。つまり、サーチュインが活性化すれば、2型糖尿病や肥満の改善に役立つ可能性がある、ということなんですね。

グネチンCが両方に働きかける!

今回の研究で、グネチンCはなんと、この「活性型アディポネクチン」の量を増やし、さらに「サーチュイン」を活性化させる、という二重の働きを持っていることが明らかになりました!

しかも驚くべきことに、グネチンCは、糖尿病に深く関わる「脂肪組織」と「肝臓」の両方に作用するんです。これまでの治療では単一の臓器や経路に作用するものが多い中、複数臓器に働きかける天然成分というのは、とても画期的な発見と言えるでしょう。これは、副作用のリスクを減らしつつ、より安全で多角的なアプローチで糖尿病や肥満の予防・改善ができる可能性を示しています。

具体的な研究結果を見てみよう!

それでは、実際にどのような研究が行われ、どのような結果が得られたのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

試験方法

この研究では、健康なモデルを5つのグループに分け、10週間かけて食事を与えました。最初の6週間は、高脂肪食を与えることで、モデルを肥満および高血糖の状態にしました。その後、以下の3つのグループには、さらに4週間、高脂肪食と一緒に特定の成分を与えました。

  • メリンジョ群: メリンジョ種子エキス 1,000 mg/kg/日

  • グネチンC低用量群: グネチンC 100 mg/kg/日

  • グネチンC高用量群: グネチンC 200 mg/kg/日

比較のために、通常食を与えた「コントロール群」と、高脂肪食のみを与えた「コントロール(高脂肪食)群」も設定されました。

10週間後、各グループの体重や血液、組織を詳しく検査し、どのような変化があったかを調べました。

結果1. グネチンCは体重と空腹時血糖を改善!

高脂肪食で肥満になったモデルにグネチンCを摂取させたところ、グネチンCを摂取させていないグループと比べて、なんと「体重」と「空腹時血糖」が有意に減少したんです!

体重のグラフ

上のグラフ(図1)を見ると、高脂肪食を与えられたコントロール群(②)では体重が増加していますが、メリンジョ種子エキス(③)やグネチンC(④低用量、⑤高用量)を摂取したグループでは、体重の増加が抑えられていることがわかります。特にグネチンC高用量群では、顕著な体重減少が見られました。

空腹時血糖のグラフ

こちらのグラフ(図2)は空腹時血糖値を示しています。高脂肪食コントロール群(②)では血糖値が高くなっていますが、メリンジョ種子エキス(③)やグネチンC(④低用量、⑤高用量)を摂取したグループでは、血糖値が有意に低下していることが確認できます。これは、グネチンCが血糖値のコントロールに役立つ可能性を示唆していますね。

さらに、総脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪の面積、そして肝臓の脂肪面積も有意に減少したという結果も出ています。これは、グネチンCがただ体重を減らすだけでなく、体の中の脂肪蓄積そのものを抑える働きがある、ということかもしれません。

結果2. グネチンCは活性型アディポネクチンを増加させた!

次に、血液中の活性型アディポネクチンの量を見てみましょう。

活性型アディポネクチンのグラフ

グラフ(図3)を見ると、高脂肪食コントロール群(②)と比べて、グネチンCを摂取したグループ(④低用量、⑤高用量)では、血液中の活性型アディポネクチンの量が有意に増加していることがわかります。特に高用量群では、その増加が顕著です。さらに、アディポネクチンを活性型にするために必要な酵素(DsbA-L)の遺伝子発現も有意に増加したとのこと。これは、グネチンCが脂肪組織の働きを良い方向に導いている証拠と言えるでしょう。

結果3. グネチンCはサーチュインを活性化させた!

最後に、長寿遺伝子として知られるサーチュインへの影響です。

サーチュイン発現量のグラフ

このグラフ(図4)が示すのは、肝臓中のサーチュインの発現量です。高脂肪食コントロール群(②)ではサーチュインの発現量が低いのに対し、グネチンCを摂取したグループ(④低用量、⑤高用量)では、サーチュインの発現量が有意に増加していることがわかります。これは、グネチンCが肝臓の代謝機能にも良い影響を与えている可能性を示しています。

FGF21分泌量のグラフ

そして、サーチュインが活性化することで分泌が促進される「FGF21」という物質の量も、グネチンCを摂取したグループで有意に増加しました(図5)。FGF21は糖や脂質の代謝を改善する因子なので、この増加はグネチンCが代謝全体を良い方向に導いていることを強く示唆していますね。

さらに、試験管内での実験では、グネチンCがサーチュインに直接結合することで、その活性を高めることが明らかになりました。しかも、その活性化能力は、同じレスベラトロールの仲間である「トランスレスベラトロール」よりも高いという結果も出ています。これは、グネチンCがサーチュイン活性化において、非常に有望な成分であることを示しています。

この研究が教えてくれること

今回の研究によって、メリンジョ種子エキスが持つ抗肥満・抗糖尿病作用の鍵となる成分が「グネチンC」であることが、より明確になりました。

グネチンCは、脂肪組織と肝臓の両方に働きかけ、善玉物質である活性型アディポネクチンを増やし、長寿遺伝子サーチュインを活性化させるという、複数の経路から私たちの健康をサポートしてくれる可能性を秘めているんです。

糖尿病は、複数の臓器が絡み合う複雑な病気だからこそ、一つのアプローチだけでなく、複数の臓器に働きかけることができる素材が求められています。グネチンCは、まさにそのような期待に応える天然成分として、今後ますます注目されていくことでしょう。

まとめ

20歳以上の国民の約1割が糖尿病を強く疑われる現状は、決して他人事ではありません。肥満がその大きな要因となる中で、メリンジョ由来のグネチンCが示す抗肥満・抗糖尿病作用は、多くの人にとって希望の光となるかもしれません。

今回の研究成果は、学術雑誌『Scientific Reports』に論文掲載されています。より詳しい情報に興味がある方は、以下の論文情報を参照してみてくださいね。

山田養蜂場は、これからも自然由来の素材の持つ素晴らしい力を活かし、予防医学の観点から私たちの健康寿命を延ばすための研究と商品開発を進めていくことでしょう。ミツバチ産品だけでなく、メリンジョのような植物由来の成分にも注目し、私たちの健康な毎日をサポートしてくれる日が来るのが楽しみですね!

論文情報

  • 論文名: Melinjo-derived Gnetin C restores metabolic balance via dual adipose and hepatic effects in high-fat diet mice

  • 掲載先: Scientific Reports. 15, Article number: 41801 (2025)

  • DOI: 10.1038/s41598-025-25705-x

関連研究成果

※3 「令和5年(2023年)国民健康・栄養調査」