良かれと思ってやっている「実はNG」な4つの習慣
「二日酔いを早く治したい」「翌日に響かせたくない」という思いから、ついやってしまいがちな行動がありますよね。しかし、その対策が実は胃腸や肝臓に追い打ちをかけ、体調をさらに悪化させてしまう可能性があることをご存じでしょうか。ここでは、特に注意したい4つのNG習慣を深掘りして解説します。
NG1:飲んだ後の「シメのラーメン」
お酒を飲んだ後、無性にラーメンが食べたくなる経験はありませんか?これは、アルコールが体内で分解される過程で、一時的に血糖値が下がってしまう「低血糖」の状態になるため、体がエネルギー源となる炭水化物を求める自然な反応です。しかし、この時の「シメのラーメン」は、残念ながら体にとっては大ダメージになりかねません。
アルコールを処理している肝臓は、すでにフル稼働しています。そこに、塩分や油分をたっぷりと含んだラーメンが胃腸に流れ込むとどうなるでしょうか。胃粘膜はアルコールの影響で荒れていることが多く、そこに高塩分・高脂肪の食べ物が加わることで、さらに負担が増大します。結果として、消化不良や胃もたれが翌朝まで続き、二日酔いの症状を悪化させる原因となってしまうのです。
もし、どうしても何か食べたい場合は、消化に優しく、胃に負担の少ない温かいスープや、軽いお茶漬けなどを選ぶのが賢明です。また、飲む前に軽く食事を済ませておくことで、飲酒後の過度な食欲を抑える効果も期待できます。
NG2:頭痛を抑えるための安易な「鎮痛薬」
「明日仕事だから」と、飲んだ後や翌朝にロキソプロフェンなどの解熱鎮痛薬を安易に服用するのは非常に危険です。アルコールは胃の粘膜を刺激し、バリア機能を低下させることが知られています。そこに、多くの鎮痛薬が持つ胃粘膜への刺激作用が加わると、胃へのダメージはさらに深刻化します。
特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる種類の鎮痛薬は、胃の保護作用を持つプロスタグランジンの生成を抑制するため、アルコールで弱った胃粘膜をさらに荒らしてしまうリスクがあります。最悪の場合、胃潰瘍や胃出血といった重篤な合併症を引き起こす可能性も否定できません。頭痛がつらい時は、まず水分をしっかり摂り、安静にすることが大切です。症状が改善しない場合は、自己判断で薬を服用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
NG3:良かれと思った「ウコンやシジミの濃縮サプリ」
コンビニエンスストアなどで手軽に購入できるウコンやシジミの濃縮サプリメントを「これを飲めばお酒がチャラになる」と過信し、過剰摂取していませんか?これらのサプリメントは、肝臓の働きをサポートすると言われている成分を含んでいるものが多いですが、使い方を誤るとかえって肝臓に負担をかけることがあります。
特にウコンの一種である秋ウコンには、鉄分が豊富に含まれています。鉄分は体に必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると、肝臓に蓄積され「酸化ストレス」を引き起こすことがあります。この酸化ストレスが、かえって肝機能を低下させる原因となり、「サプリメント起因性肝障害」という形で肝臓を傷つけてしまうケースが報告されているのです。サプリメントはあくまで補助的なものであり、過度な期待や過剰摂取は避けるべきです。バランスの取れた食事と適切な水分補給が、肝臓を守る基本であることを忘れないでください。
NG4:アルコールを抜くための「熱いお風呂・サウナ」
「汗と一緒にアルコールを抜こう!」と考えて、飲酒後に熱いお風呂やサウナに入るのは、絶対にやめてください。飲酒後の体は、アルコールの利尿作用によって極度の脱水状態にあります。アルコールは体内の水分を尿として排出しやすくするため、意識している以上に体は水分を失っているのです。
このような状態で熱いお湯に入ったり、サウナで大量の汗をかいたりすると、さらに脱水が進行します。脱水状態は、血液を濃くし、血栓ができやすい状態を作り出します。これにより、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重篤な病気を引き起こす引き金になりかねません。飲酒後の入浴は、ぬるめのお湯に短時間浸かる程度にとどめ、体を冷やさないように気をつけながら、まずは水分補給を優先しましょう。
医師が実践する「リアルな大人の回復術」
では、翌朝を快適に迎えるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。菊池院長が医療の現場で推奨する、本当に効果的な二日酔い回復術をご紹介します。
基本は水分と電解質の補給
二日酔い予防の第一歩は、なんといっても「脱水」を防ぐことです。アルコールには強い利尿作用があるため、飲酒中は体がどんどん水分を失っていきます。この脱水が、頭痛やだるさといった二日酔いの症状の主な原因の一つです。
飲んでいる最中、そして寝る前には、必ずお酒と同量以上の「水」または「スポーツドリンク(経口補水液)」を飲むように心がけましょう。水はシンプルに水分を補給してくれますが、スポーツドリンクや経口補水液は、汗や尿と共に失われやすい電解質(ナトリウム、カリウムなど)も同時に補給できるため、より効率的に体のバランスを整えることができます。特に、寝る前にコップ一杯の水を飲むだけでも、翌朝の体調は大きく変わるはずです。

翌朝の食事は「納豆×ブロッコリースプラウト」がイチオシ!
もし翌朝、残念ながら二日酔いになってしまったら、菊池院長がイチオシする朝食は「納豆×ブロッコリースプラウト」です。この組み合わせには、二日酔いの体を回復させるための栄養素がぎゅっと詰まっています。
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納豆:肝臓はアルコールの分解で疲弊しています。納豆には、肝細胞の修復に必要な良質なアミノ酸が豊富に含まれています。また、ビタミンB群も多く、アルコール代謝に必要な酵素の働きを助けてくれます。さらに、納豆に含まれるナットウキナーゼは血流を良くする効果も期待でき、体に溜まった老廃物の排出をサポートするかもしれません。
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ブロッコリースプラウト:ブロッコリースプラウトには、解毒酵素を活性化させることで知られる「スルフォラファン」という成分が豊富に含まれています。スルフォラファンは、肝臓の解毒作用を助け、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドの分解を促進すると言われています。これにより、二日酔いの原因物質を効率的に体外へ排出する手助けをしてくれるでしょう。
これらを混ぜて、消化の良いお粥やうどん、あるいはバドウなどの少しの糖質と一緒に摂ることで、アルコールによる低血糖状態からスマートに脱出できます。胃に優しく、栄養満点の朝食で、体の内側から回復を促しましょう。
入浴するなら「ぬるめのお湯に短時間」
飲酒後の入浴については、前述の通り熱いお風呂やサウナはNGです。しかし、全く入らないのも体が冷えてしまうと感じる方もいるかもしれません。その場合は、「ぬるめのお湯に短時間」浸かる程度にとどめるのが正解です。
体温より少し高いくらいのぬるめのお湯に浸かることで、血流を優しく促し、リラックス効果も得られます。これにより、体の回復を助ける効果が期待できます。ただし、長時間の入浴や熱いお湯は避け、脱水症状が悪化しないよう、入浴前後の水分補給も忘れずに行いましょう。
専門家からのメッセージとまとめ
用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長の菊池真大医師は、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医であり、最先端の肝臓検査機器「フィブロスキャン」に20年以上前から携わる肝臓・アルコール診療のスペシャリストです。菊池院長は、「アルコールチーム医療」による全人的なサポートや、時代に合わせた「減酒治療」にも注力しており、多岐にわたるメディアで医療監修・執筆を行い、お酒と健康の正しい付き合い方を発信しています。
これからの夏、お付き合いの場も増えるかと思います。インターネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、間違った情報に惑わされず、正しい知識とケアでスマートにお酒を楽しみましょう。もし二日酔いの症状がひどい、または頻繁に二日酔いになる場合は、一度専門医に相談してみるのも良いでしょう。ご自身の体を大切にしながら、楽しい夏の思い出をたくさん作ってくださいね。
