2026年4月施行!「治療と仕事の両立支援」って何だろう?

2026年4月1日に施行された改正労働施策総合推進法は、治療を受けている労働者からの相談に応じ、必要な体制の整備その他の措置を講じることを事業主の努力義務として定めています。法令上は「治療と就業の両立支援」と位置づけられ、一般向けには「治療と仕事の両立支援」として厚生労働省が周知を進めているんですよ。

これって具体的には、会社が皆さんの病状に合わせて、勤務時間や業務内容を見直したり、休暇制度を柔軟に使えるように検討したりすることです。「これで安心して働ける!」と思うかもしれません。でも、本当にそれだけで十分でしょうか?

「働き続ける」だけじゃ不安?休職が長期化したり、退職したりしたら…

厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%にのぼり、うち退職した労働者がいた事業所に限ると6.2%にもなるそうです(常用労働者10人以上の民営事業所が対象)。

うつ病などのメンタルヘルス不調は、無理をして働き続けると、かえって症状が悪化し、休職が長引いたり、最終的には退職せざるを得なくなったりするリスクも考えられます。そうなると、一番心配なのは「収入」のことですよね。

一時的に働けない時期を支える制度として「健康保険の傷病手当金」があります。これは業務外の病気やケガで働けず給与が支払われない場合に、一定の要件のもとで支給される制度です。しかし、支給期間には上限があります。

では、もし病状がもっと長く続いて、傷病手当金の期間が終わってしまったら? そんな時に知っておいてほしいのが「障害年金」という選択肢です。

「障害年金」ってどんな制度?なぜ退職前に知るべきなの?

日本年金機構によれば、障害年金は「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金」です。※ただし、初診日・障害状態・保険料納付状況などの要件があり、個別の状況による確認が必要です。

「障害」という言葉を聞くと、「自分には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかし、うつ病などの精神疾患も対象になることがあります。全国障害年金パートナーズが問題視しているのは、「この障害年金という大切な制度の存在が、退職前に労働者へ十分に伝わっていない」という現実です。

「障害年金なんて、誰も教えてくれなかった…」そんな切実な声が、実際に多く寄せられているといいます。

「誰も教えてくれなかった」当事者の声

実際にうつ病で休職や退職を経験し、後に障害年金を申請した方々からは、次のような声が届いています。

  • 「うつ病で2年半休職しており、退職が近づいていて収入がなくなることに悩んでいました」(50代男性/うつ病/2級認定)

  • 「心の中で常に、夫に対して迷惑をかけていることへの罪悪感や、早く収入を得なくてはという、漠然とした不安がずっとありました」(20代女性/うつ病/2級認定)

  • 「退職すれば病状も良くなると考えていましたが、改善されず。無収入の生活が約2年続き、貯金を切り崩して生活をしていました」(50代男性/うつ病/2級認定)

これらの声に共通するのは、「もし退職前に障害年金という制度を知っていたら、もっと安心して療養に専念できたのに」という後悔です。経済的な不安は、病状の回復にも大きな影響を与えます。だからこそ、この制度の存在を早めに知ることが、本当に大切なんです。

企業に求められる3つの実務対応

今回の法改正を機に、企業には「働き続けるための支援」と「働けない時期を公的制度につなぐ支援」の両輪を持つことが重要だと、社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズは考えています。彼らが提言する3つの実務対応は、私たち働く側にとっても、会社に期待したいポイントです。

1. 相談窓口に「生活支援制度」の情報も加える

病気と仕事の両立支援では、つい「どうすれば働き続けられるか」に焦点が当たりがちです。でも、もし就業継続が難しくなった時のために、傷病手当金や障害年金、さらには自治体の相談窓口など、生活を支える公的制度への案内体制も整えておくことが大切です。会社がこれらの情報を提供してくれれば、私たちはより安心して将来を考えることができますね。

2. 「復職できるか」だけでなく「今は休むべきか」を整理する

うつ病などのメンタルヘルス不調の時は、「会社に迷惑をかけたくない」と無理をしてしまいがちです。会社は、私たち本人、主治医、産業医、人事労務担当者の間で情報をしっかり整理し、「働き続けること」だけを前提にしない支援方針を持つことが求められます。時には「今はしっかり休むべきだ」という判断も、長期的な回復のためには必要不可欠です。

3. 退職前後の情報提供を仕組み化する

休職や退職の後で初めて障害年金の存在を知っても、申請の準備が遅れたり、必要な情報が集めにくくなったりすることがあります。会社が「あなたが障害年金をもらえるかどうか」を判断する必要はありません。ただ、「こういう制度があるよ」「どこに相談すればいいか」「申請には条件があること」を、早い段階で伝えてくれる仕組みがあれば、私たちの生活の不安を大きく減らす一助になります。

2026年4月施行「治療と仕事の両立支援」努力義務化

社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ代表 宮里竹識さんのメッセージ

「治療と仕事の両立支援は、病気を抱える方が働き続けるために重要な制度改正です。ただし、これを『病気でも働き続けるための制度』とだけ捉えると、うつ病で苦しむ方を追い詰めてしまう可能性があります。」と、社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズの代表である宮里竹識さんは語っています。

宮里さんはさらに、「必要なのは、働けるときには働き続けられる職場環境と、働けないときには安心して休める経済的支えの両方です。傷病手当金だけでは支えきれない長期の療養に備え、退職や収入断絶の前に障害年金という選択肢を知ることは、療養に集中するための大切な支援になります。」と強調しています。宮里さんの言葉は、病気を抱える人々の現実と、社会が本当に提供すべき支援のあり方を教えてくれます。

社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ代表 宮里竹識

まとめ:自分を守るために、知っておこう

病気と診断され、不安を抱えながら仕事と向き合っている皆さん。「治療と仕事の両立支援」の努力義務化は、私たちにとって心強い変化ですが、それと同時に「もしもの時」のための備えも、自分で知っておくことが大切です。

障害年金は、病気やケガで生活や仕事が制限される私たちを支えてくれる、大切な公的制度です。もし今、あなたが病気で働き続けることに不安を感じているなら、この制度の存在をぜひ頭の片隅に置いておいてください。

そして、もし会社がこれらの情報を提供してくれないようであれば、自ら情報を探し、専門家に相談することも、自分を守るための一歩になります。安心して療養できる環境を整えることは、病気からの回復にとっても、とても重要なことです。ひとりで抱え込まず、利用できる制度は積極的に活用していきましょう。

関連情報

  • 社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ公式サイト:https://spartners.jp/